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フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
51/77

#51 酒と泪と女と女

金曜日 ファミレス


亜沙美は由香と智美に誘われて三人で食事に来ていた。

「…単刀直入に聞いていいですか?」

「う、うん…」

「藤堂さんとケンカしてます?」

「……それがよくわからないのよ。これってケンカなのかしら。なんかすれ違いみたいな感じで…。私も悩んじゃって」

「きっかけは何だったんですか?」

亜沙美は説明をし、それを聞いた智美はやっぱりと下を向いた。

覚悟を決めて智美は飲み会の事、その帰りの事、三人で話したこと、キス以外の事は全て説明した。


「…智美さん、やっぱりそうだったのね」

「ごめんなさい…」

「ううん、何となくわかってたから。もしかしてって」

「でも本当に今は応援したいんです」

「ありがとう。それでナオは焦ったっていうかあんな感じになってたのね」

「…多分そうだと」

「……うん!私が大人にならなきゃダメだったんだね。それ聞いて安心した。ナオはナオなりに考えてくれてたんだなって」

「…じゃあ」


「鈴木さん、またあの時と同じになっちゃった。ごめんね。あの時みたいにまた連絡してみるよ」

「いえいえ!…その方がいいです。二人でいっぱい話してください」

「そうよね、元々他人同士なんだからわかってるつもりでもわかってない部分ってたくさんあるのよね」

「はい、そうだと思います」

「ありがとう」

亜沙美は二人にお礼を言ってから店を出た。



残った由香と智美はしばらく何も話さなかったが、智美が口を開いた。

「一ついいですか?」

「何ですか?」

「どうしてそこまで?」

「二人のためにってことですか?」

「はい」

「……じゃあ話しますね。秘密の話です」

「はい…」

「私は竹下さんの事が好きなんです。恋愛感情として」

「…それって」

「はい、それです。でもこの恋は叶わないとわかってます。今までもずっとそうでしたから」

「……」

「それで私は思うんです。好きな人が幸せならそれでいいって…」

「幸せなら…」

「そうです。だから今は竹下さんが幸せになれるようにしようと思って」


「…だから私が初出勤の日、あんなに」

「あの時はごめんなさい」

「い!いえ!今、全部わかりましたから。私も直人の幸せを願ってるから逆の立場なら同じ事をしたと思います」

「…ありがとうございます」

二人は食事を再開した。


酒も頼み、二人はファミレス飲みをすることにした。

「本当に損な役回りですね!」

「同感です!!」

二人は愚痴や不満を肴に飲んで食べた。



同じ頃、直人はさとみとあの日に来たレストランに来ていた。

さとみがどうしても話したいことがあるから絶対に来てほしいと何度も頼み、今二人でレストランにいる。


「さとみ、話って…」

「竹下さんとの事です」

「……うん」

「何があったんですか?島崎さんからも話はきいてますけど。藤堂さんは一体何をしているんですか!!」


「…どうしたらいいのかわからないんだ」

「何がですか?」

「だから今の状況」

「話はしましたか?」

「話?」

「藤堂さんが思ってることです。何を考えてどうしようと思ってて今は何をしたいか」

「話してないよ、話せないこともあったし」

「それも聞いてます。抱きつかれて二人で飲みに行こうとか言われたんですよね。そのあと島崎さんから…」

「……全部聞いてるんだ」

「はい、だから私は今ここにいます」


「…こんなこと聞くのは間違ってるとは思うんだけど、俺はどうしたらいいんだろう」

「はい、それを聞くのは間違ってます。何故なら簡単な話ですから」

「簡単?」

「さっきも言いましたけど二人で話しましたか?竹下さんと二人で話しましたか?」

「……いや、俺が自分本意で話しただけだ」

「なら、もうわかりますよね?」

「…わかるけど」


「あぁ!もう!!ウザったい!」

「…さ、さとみ?」

「今から言葉は選びません。あなたは今何を言ってるの?本当に情けない!あなたの事が好きだった過去の私が恥ずかしい!」

「…そ、そんな事言わなくても」

「いいえ、言わせてもらいます。私は今の二人を見るためにあの日泣いたんじゃない!私ではあなたを幸せに出来ない、それが出来るのは竹下さんだけ。そう思ったからあの日は先に帰ったんです!」

「……」


「知ってますか?あの後、私が泣いていたのを。翌日の朝に竹下さんの決意を示したのも!」

「亜沙美に?」

「はい!」

「……それは、わかった…けど」

「はぁ…。幸せになれって言ってるの!!」

「幸せに…」

「私じゃ無理みたいだから!だから竹下さんと一緒に幸せになってほしい!そう思ってる!!それは由香も島崎さんも同じ」

「……」

「このまま終わるつもりですか!?」

「……」

「何か言ったらどうですか!?」


「…話をすればいいんだよな?」

「そうです!」

「由香にも言ったけど、本当に情けない先輩でごめん。助けられてばっかりだ」


さとみは少し落ち着いた様子で

「今の私にもそう言ってくれる。それが藤堂さんの良いところです。私が好きになった藤堂さんです。他の人ならすでに怒って帰ってますよ」

「さとみ…、ありがとう」


直人はさとみにお礼を言うと店を出ていった。


「ふぅ…なんかスッキリした。何だろうやっぱり悲しいはずなのに」

さとみは何故か心が晴れた気がしていた。

ちゃんと終わらせることが出来た、そう思えたからかもしれない。

さとみは一人残った席で一筋の涙を流したがその顔は笑顔だった。

「由香に連絡しなくちゃ」


連絡したさとみは由香から呼ばれたので二人が飲んでいるファミレスに向かった。

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