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フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
42/77

#42 デート

遊園地


二人は日曜日の午前中に再度直人の部屋の最寄り駅に集合して練馬区にある遊園地に向かった。

日曜日ということもあり当然園内は混雑しており、ローラーコースターに乗る為に二人は手を繋ぎながら並んでいた。


「やっぱり人が凄いね」

「うん、やっぱ日曜日だからかな」

「ナオは遊園地よく来てたの?」

「小さい頃はね。それこそうちの家族と智美の家族で」

「そっか、そういえば話してたね。どこ行くのも二家族だったって」

「そう、小学生になってジェットコースターに乗れるようになってから初めて行ったんだけど。智美がダメでね。一回乗ったら大泣きしてそれから乗らなくなったな」

「智美さん、平気だと思ってた」

「あいつ意外とダメなの多いよ。お化け屋敷もダメだし、高いところもダメ」

「ナオは?」

「…なにが?」

「いや、お化け屋敷とか高いところ」


「今日は良い天気で良かったね」

「…ダメなんだな」

「そ、そんなことないよ?」

「じゃあこれのあと行こう。ここにもあるってさっき見たから」

「いや…今日はやってないんじゃないかな…」

「…素直に言いなさい」

「ダメです……」

「ってことはナオをお化け屋敷に連れ込んだらびっくりして私に抱きついてきたりする?」

「…その発想はこっちがするものじゃない?」

「ゲフフ」

「その笑いかたはやめなさい」


二人の順番が回ってきたのでローラーコースターに乗り込んだ。

悲鳴を上げながら楽しむ亜沙美に対して直人は終始無表情だった。


降りると亜沙美はふらつく直人を抑えながら

「ナオ?もしかして…」

「いや、平気だったはずなんだけど…」

「ダメになった?」

「だね」

「本当は?」

「いや、本当に。大学の頃も普通に乗ってたし」

「そんなこともあるんだね」

「あれだよね、毎年怖いものが増えていくのと同じなのかね」

「何それ」

「あれ?そういうの無い?昔は何とも思ってなかったことが急に怖くなったり」

「……あ!あぁ、あるね」

「無いならいいよ?」

「無いです。じゃあ今は何が怖くなってるの?」

「亜沙美を失うこと」

「そういうこと言えるなら平気だね。じゃあ次行こう!」

亜沙美はスタスタ歩いていった。

「ちょっ!待って!」



とは言いつつも直人の事を考えて亜沙美は絶叫系は乗るのをやめた。

二人は鏡で作られている迷路に入ることにした。


「ナオ、ぶつからないでね」

「大丈夫でしょ」

「…ぶつからないでね」

「あれ?もしかしてぶつかってほしいの?」

「うん、それで笑いたい」

「そういうことを言う人がぶつかったりするんだよね」

「ひどい、ぶつかって私にケガしてほしいなんて」

「…今、頭の中に理不尽って言葉が浮かんでるよ」


「ナオ、後ろ向いて?」

「ん?うん」

亜沙美はその場から少し離れ、比較的自分がいくつも映るだろう場所に移動した。

「いいよ、こっち向いて」

「何してるの?」

「本物の私はどこでしょう」

「ここ」

直人は簡単に亜沙美見つけ、肩に手を置いた。


「えっ?何でそんな早く気付くの?」

「……愛じゃない?」

「今の間が気になるな」

「だって後ろも鏡だから亜沙美が移動してるのわかったし」

「ちょっとそれズルくない?」

「ズルくはない。でも振り返ったら亜沙美がたくさんいたから、こわ……嬉しく思った」

「こわ?」

「ん?」

「怖かったって言おうとした?」

「あれ?可愛い人がいっぱいいる。あっ、亜沙美かって思った」

「話は迷路を出てからしようか」

「じゃあ出ない」

「はい、行くよー!」

亜沙美は直人の腕を引っ張りながらどんどん歩いていった。

「待って、ここってこんなスイスイ行ける迷路なの?」

亜沙美は迷うことなく迷路を脱出した。


「いやー、簡単だったね。じゃあ次行こうか」

「はい、その前にその辺で座れる場所探そうか」

「えっ?」


二人はベンチに座った。

「あの、ごめんなさい…」

「んー?何に対して?」

「先週、仕事中に少し寝ました」

「それは気付いてなかったけど、今知ったから火曜日に怒る」


「あのー、振り返ったら亜沙美がいっぱいいてね。何て言うのかな…。女神がいっぱいいたんだよね、そしたら亜沙美だった」

「私はたくさんのナオが振り返ったから怖かったけど」

「それ言っちゃうんだ……」



夕方になるとイルミネーションが点灯し、さっきまでとは園内の雰囲気がまるで違く見えた。

二人は何に乗るわけでもなく園内を散策していた。


「もう少し暗くなったらメリーゴーラウンド乗ろうよ」

「あっ、あの豪華なやつ?」

「そう!あれは暗くなってからだなぁ。って思ってたから」

ここの遊園地にあるメリーゴーラウンドは歴史的な物でもあるらしく、それ目的のみで来る人もいるとの事だった。それを聞いた亜沙美は乗ることを楽しみにしていた。


二人は少し休んだあと暗くなったタイミングで目当てのメリーゴーラウンドに向かった。

ちょうど良いタイミングだったのか、さほど並んではおらず二人は馬車のような二人がけのものに乗ることが出来た。

乗り込んでしばらく経つとメリーゴーラウンドは動き出した。

直人が座ってる方向が外側のため自然と亜沙美は直人にくっつき寄り添い、二人で景色を見ることになった。


「ここって結構ファミリー向けって感じだね」

「そうだね、あっ、なんか違った?」

「ううん、キレイだしナオと一緒に見れれば何でも素敵に見える」

「…家族になったらまた来よう」

「え?」

「ん?」

「もう一回言って?」

「また来よう」

「その前から」

「……ん?」

「ちょっと!」

「家族になったらまた来よう」

「もう一回」

「ヤダ」

「なんで?」

「恥ずかしいから」

「むー…」

「ふくれてもダメ」

直人はまた景色を見始めた。


「ナオ、こっち向いて」

「ん?」

振り返った直人の頬に亜沙美はキスをした。


「返事のつもりなんだけど…」

「もう一回」

「ヤダ」

「なんで?」

「なんでも」

「じゃあ…」

直人は亜沙美と唇を重ねた。


「…やっぱりズルい」

亜沙美はそのまま直人の腕を組み、肩に頭を乗せた。



メリーゴーラウンドを降りた二人は手を繋ぎながら遊園地を出ることにした。

「ナオ、今日も泊まっていい?」

「ん?いいよ」

「じゃあご飯食べて帰ろ?」

「うん」


二人はナオの部屋から近くにあるレストランに寄り食事をしてから帰った。

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