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フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
31/77

#31 部屋の鍵

一月四日 早朝


直人は元旦と同じように聞き慣れない音と匂いで目を覚ました。

キッチンを見るとやはり亜沙美が料理を作っている。


「おはよう…」

「あっ、おはよう。起こしちゃった?」

「大丈夫だよ。美味しそうな匂い」

「もうちょっとで出来るから」

「うん、ありがとう。手伝うことある?」

「無いから大丈夫だよ。座って待ってて」

「わかった」


直人はテーブルの椅子に座り、ボーッとしていたが目を覚ますために顔を洗おうと洗面台に向かった。


テーブルに戻ると亜沙美がご飯と味噌汁を運んでいた。

「ナオ、出来たよ」

「ありがとう」

二人は椅子に座り

「いただきます」

と食べ始めた。


「亜沙美はいつも何時頃起きてるの?今日も早かったけど」

「五時には起きてるよ?」

「早いね!」

「これ作って食べて出掛ける準備してって、でもゆっくりはしたいから余裕持って起きてる」

「そっか」

「ナオは?この時間なの?」

「大体そうだね。八時過ぎぐらいに家を出てるんだけど、朝時間が無いとダメだからこの時間には起きてるね」

「じゃあちょうどいいのかな…」

「ん?なにが?」

「う、ううん、何でもない」

「え?気になるやつ」

「いや、ほら、起きる時間がね。二人ともちょうどいいのかなって」

「……ああ、一緒に住んだ時って事?」

「そう、二人で朝ゆっくりしてから出社出来るじゃない」

「そうだね。あっ、そうだ。ちょっと待ってて」

直人は寝室に向かいクローゼットから何かを取り出した。

テーブルに戻ってきた直人は亜沙美にそれを見せた。


「はい、これ」

「鍵?……えっ!いいの?」

「うん、持ってて。いつでも来ていいから」

「ありがとう!」

亜沙美は喜んだ。とても嬉しそうな笑顔で鍵を握りしめている。

「これでナオがいないときに来て罠を仕掛けられるね」

「あっ、やっぱり返して」

「返しませーん」

「罠はダメだからね」

「サプライズは?」

「それはいいけど、どんなの?」

「言ったらサプライズにならないじゃん」

「…まぁそっか」

「ナオが帰って来て玄関の電気点けたら足元に…きゃー!」

「それはサプライズじゃなくて罠!」



朝食を食べ終わった二人は片付けをしたあと、何やら亜沙美が何かを言いたげにしているのに直人は気付いた。

「…どうしたの?」

「あ、あのさ。昨日私寝ちゃったじゃない?」

「うん」

「怒ってる?」

「なんで?」

「大晦日も寝ちゃったから、なんか変に思われてないかなって」

「思ってないよ。大晦日の時はまだ仕事の疲れがあるんだろうなって思ったし、昨日はお酒が入ってたじゃん。だから別に大丈夫だよ」

「うん、ありがと。あのー、それでね?」

「ん?」

「シャワー借りてもいい?」

「うん、それはいいけど」

「じゃあ借りるね」

亜沙美はカバンから着替えを持ち風呂場へ行こうとしたが、直人はあることに気付き呼び止めた。


「亜沙美、タオルは?」

「ん?あっ……」

「無い?」

「忘れた…」

「ちょっと待ってて」

直人は再度寝室のクローゼットを開き、中からタオルを取り出した。

「はい、これ使って」

「ありがとう」

「ドライヤーも洗面台にあるから」

「うん、わかった。覗いちゃダメだよ?」

「覗かないよ」

「でもちょっとだったら覗いてもいいよ?」

「いや、覗かないって」

「覗いてよ!」

「なんで!?」

「あとで色々とからかう事が出来るから」

「じゃあ尚更覗きません」

「ちっ…」

「舌打ちやめて」

亜沙美は風呂場に入っていった。


直人はソファーに座り、スマホを手に取った。

特に通知は来ていなかったが亜沙美を実家に呼ぶための日にちを決めるために母にメールをした。

「…昼までには返事来るだろ」


テレビをつけてみたがどこもかしこもほとんど通常放送に戻っていて正月が終わったことを嫌でも実感させられた。

「あぁ、明後日から会社かぁ…」

直人は上を向き顔を両手で覆った。



午前十一時


二人は待ち合わせの為に準備を始めていた。

先程、智美からスーツを受け取ったから今から駅に向かうと連絡がきたからだ。


「ナオ、準備終わった?」

「大丈夫だよ。そろそろ出ようか?ゆっくり歩いてればいいし」

「あっ、ねぇ。焼肉屋には電話しておかなくて大丈夫かな」

「いや、しておこう。入れなかったら困るしね」

直人はチラシに書かれている番号に電話をかけた。

聞けば席の予約は受け付けられるとの事だったのでお願いをして電話を切った。


「大丈夫だった。それじゃ行こうか」

「うん」


二人は智美との待ち合わせ場所に向かった。

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