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フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
29/77

#29 酔ってるでしょ

夕方


部屋が暗く感じたので直人は電気を点けた。

空になったマグカップを洗い水切りかごに置き、そのままキッチンから話しかけた。

「ご飯どうする?」

「うーん、まだあまりお腹空いてないかも……」

「とりあえず腹ごなしがてら買い物行こうか」

「そうだね、そうしよう」

「前に行ったミニスーパーじゃなくて、ちょっと歩いて別のスーパー行こうか。色々あるから」

「いいね、準備するからちょっと待って」

「僕も準備しなきゃ」



二人は外に出て目的のスーパーまで歩き始めた。

「ナオ…」

亜沙美が左手を出してきたので直人は手を繋ぎ、二人は歩いた。


15分ほど歩いた所にそのスーパーはあり、亜沙美は店の名前を見て

「…あれ?この名前、あのデパートと一緒じゃない?」

「うん、そうだよ。系列のスーパーみたいだよ」

「へぇー、スーパーもやってるんだ」

中に入ると少し高級感漂う店内で入り口近くのパンコーナーもフロア中央辺りにあるワインも充実していた。

亜沙美は一気にテンションが上がった。


直人がかごを持とうとしているとすでに亜沙美はどんどん進んでいた。

「ちょっ!!」

直人もすぐに追いかけ

「亜沙美、速いって」

「ん?あっ、ごめんごめん」

亜沙美は笑っている。


「ナオ、何食べたい?」

「聞いちゃう?」

「やめておこう」

「え!?」

「得意料理とか言うでしょ」

「ダメ?」

「ダメ」

「なんで?」

「なんでも」

「得意料理無いから?」

「正解!!」

亜沙美はとりあえず直人の肩を叩いた。

直人は爆笑している。


「ちょっと笑いすぎじゃない?」

「いや、なんか面白くて」

「もう何にも作ってあげないからね」

「あっ、ごめんなさい。調子に乗りました」

「反省した?」

「反省しました」

「よろしい。では惣菜で唐揚げを買おう」

「亜沙美が好きな唐揚げ?」

「そう、いい?」

「うん、いいよ。あとは何にする?今日は全部惣菜で済ませちゃおうか?」

「そうしよっか。揚げ物だけだとあれだからそこそこバランス良く買おう」



二人は惣菜コーナーを練り歩き、それぞれ食べたいものをかごに入れた。

「お酒は?飲む?」

「……飲もう!ナオ、帰り持ってね」

「はい」

「ねぇ気付いてる?」

「何が?」

「何回かビンタチャンスを見逃してるんだけど」

「そのルールやめない?」

「実際ビンタしてないしね」

「肩は叩かれてるけど……」

「え?何か言った?」

「何も……」

直人は首を横に振った後、遠くを見た。



「ナオ、豆腐とわかめかネギはある?」

「ん?……あっ味噌汁?」

「そう、明日の朝の」

「無いから買っておこう」

「うん、どっちがいい?わかめかネギか」

「ネギがいい」

「じゃあ野菜の所行こ?」



「これで一通り買うものは入れた?」

「そうだね、レジに行こうか」

二人は会計をするためにレジに向かった。


レジで並んでいると直人が少しニヤついていた。

「…なに?ニヤニヤして」

「ん?ほら、ランチの時に話した」

「あぁ、それがやりたいのね」

「そういうこと」


前の客の会計が終わったので二人は数歩前に出た。

店員が商品を一つ一つスキャンをしてかごに置いていくのを直人はそわそわしながら見ていた。

全部の商品のスキャンが終わり合計金額の提示後、店員がレジ袋をかごに入れた。


直人はよしっ!とかごを持ちサッカー台に持っていった。

レジでは亜沙美がお金を払っていて、その姿もまたニヤニヤと見ていた。


会計が済んだ亜沙美が直人の元に来るとまず直人の左肩を叩いた。

「ちょっと、ニヤニヤしてて恥ずかしい」

「えっ?そんなにニヤニヤしてた?」

「してたよ、ずーっと」

「おかしいな」

直人は頬の辺りを手でぐりぐり回した。


「もう、なんかこっちずっと見てるし」

「可愛いなぁって思って」

「バッ…、ちょっと何言ってるの?ほら、袋に詰めて!」

「はいはい」

「もう……」

亜沙美は照れているのか耳の辺りの髪をぐしゃぐしゃと触りながら口元が緩んでいた。


直人はそれを見逃さずに

「ほら、今も可愛い」

「ちょっと!酔ってるでしょ!」

亜沙美はまた肩を叩いた。

「酔ってないよ。そう思ったから言ってるだけだから」

「褒めても何も出ませんよー」

「なんだ…」

「ちょっと、それはそれでおかしくない!?」

「ハハハ、ちょっと言い過ぎたかなと思って方向転換」

「しなくてよろしい。はい、終わったね。帰るよ」

ちょうど袋詰めが終わったので亜沙美は出口へさっさと向かっていった。

「ちょ!だから速いって」

直人は袋を持ち、かごを片して後を追った。


外に出たところで直人が追いつき、亜沙美の横を歩いた。

「怒った?」

「怒ってはないけど恥ずかしい!」

「二人きりの時ならいい?」

「それはいいけど…。じゃあ今私がナオの事を褒めるし良いところ言うね。それでおあいこ」

「わかった。何でも言っていいよ」

「……あれ?無いかも」

「え?」

「……うーん」

「ちょっと待って」

「………明日も晴れるといいね!」

「本当に無いの!?」

「アハハハハ」

亜沙美は左手を差し出し

「ウソだよ。手繋いで帰ろ?」

「う、うん」

二人は手を繋いで家まで帰ることにした。


しかし直人は途中で気付いた。

「あれ?何にも言ってもらってないぞ?」

亜沙美をふと見ると直人に気付き、笑顔になった。


その笑顔を見たら

「まっ、いいか」

と握った手の力を少し強くした。

すると亜沙美の手の力も少し強くなり、お互い手をギュッと握ったまま歩くことに直人は幸せを感じていた。



そして、二人は帰宅した。

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