9.ひとりごと sideアンジェ
私は、何も出来ない。
私は、何もわからない。
私は、何も感じられない。
そう思ってた。
あの人と出会えるまで。
***
ふわふわした意識のなかで淡々と入ってくる情報をまとめるだけの日々。
やるべきことも、できることもなくて。
何もできない私に生きる意味はなくて。
幼かった私でも、周りの気持ちは薄々感じてた。
今なら言葉にできる。
あれは『失望』っていうんだって。
***
でも、私にひかりをくれた人がいる。
私の目は何も見えないけれど、あれは確かにひかりだった。
からだが暖かくなって、こころがふんわりするような。
残念なのは最初の出会いをほとんど覚えていないこと。
たぶんあのころの私はなまぬるい意識のなかに沈んでいたから。
セトスさまは私にいろんなものをくれた。
ロッシュをくれたことは本当に嬉しかった。
でも、それだけじゃない。
私の部屋に来て、話しかけてくれるだけで私はとっても嬉しかったから。
それから私に『やるべきこと』ができた。
私が何かを『できる』ってこと。
毎日毎日、立つための練習をする。
足は痛いけど頑張ったらその分セトスさまは褒めてくれるし、できることが増えるから。
いつか、セトスさまと一緒に歩いて外に連れていってもらうんだ。
なんだかめちゃくちゃポエミーになりましたが(笑)
アンジェちゃん視点でした