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脳筋紳士・チュートリアルを受ける《前》

 目を開けるとそこは真っ白な空間だった。


「ここが仮想空間……」


「そう、ここは仮想空間。GJOのチュートリアル空間よ!」


「うおっ」


 気付いたら目の前に小学生くらいの見た目のワンピースを着た茶髪で緑の瞳の幼女が立っていた。

 幼女は俺に一礼した後自己紹介を始める。


「どうもはじめまして新しい来訪者さん。私はチュートリアルナビゲーターの一人、識別コード0027。気軽にニナって呼んでね☆」


「これが噂のナビゲーターちゃんか……」


 GJOでまず最初に出迎えてくれるチュートリアルをナビゲートするためのNPC。通称ナビゲーターちゃん。そのあまりの可愛さにすでに個体ごとのナビゲーターちゃんファンクラブも出来ているらしい。


「では最初にGJO内での名前を決めるよ! 来訪者さんはなんていうお名前なの?」


「そうだな……シルン。シルンで頼む」


 別に何か意味がある訳ではなくただ大抵のゲーム名をシルンにしてるからGJOでもシルンにしただけだ。


「シルン……シルンね、登録したわ! 次に容姿を決めてね。容姿はあなたの容姿を元に作ることもできるし一から作ることもできるわ!」


「じゃあ一からで」


「一から作るのはすっごい時間がかかりますし…なによりちゃんとイメージが固まってないと私がフォローするにしても限界がありますよ?」


 おっと俺を舐めてもらっちゃ困るぜ。俺はこの時のために受験勉強の傍ら何ヶ月も掛けて俺の理想の紳士像を固めてきたんだ。


「こちら何も手が加えられていないアバターになりまーす!」


 そうナビゲーターちゃんが言うとポンっと俺の目の前に真っ白なマネキンが現れる。どうやらこのマネキンがアバタ―の素体らしい。


「細かいことは随時教えていくので自由に作ってください!」


「なら遠慮なく」


 そうナビゲーターちゃんに言われた俺はさっそくアバタ―の作成に取り掛かった。


(白髪の初老で身長は180cm前後、糸目で少し目じりが下がっていてどこか柔和で優しさのある顔つき、細身でもつけるべき場所に筋肉がしっかりとついてて……)


 ひたすらにこの数ヶ月間練り上げてきた俺の理想像を惜しみなくアバタ―に注ぎ込んでいき……






「最後に私がちょこちょこっと微修正を加えて☆」


 そこには――


「うおおぉぉぉぉおおおお!!!!すっっっげえぇぇぇえええええ!!!!!」


 俺の理想の紳士(初老)がいた。


 やばい、興奮が収まらないなんてもんじゃない感動で涙が出てきそうだ。ていうか出た。仮想空間でも涙って出るんすね。

 ナビゲーターちゃんも驚いている。


「はえーすごいですねーここまで作りこむ人は中々いないですよー」


「当たり前だろ俺は毎日この理想の紳士の事ばかり考えていたからな!」


「そ、そうなんですかーすごいですねー。……とりあえずこのシルンさんに反映させてチュートリアルを進めますね」


「あっはい」


 ナビゲーターちゃん引かれた。ちょっと悲しい。


「さて次はGJOで1番の醍醐味である職業(ジョブ)を決めてくださーい!」


「紳士はありますか?」


「基本の職業にはないねー、でも気を落とさないでねあなたほどの熱意があればきっとチュートリアルの最後に獲得できるユニーク職業で紳士を獲得できるわ! ……多分ね!」


「紳士はユニークか……」


「ではではこちらが選べる職業一覧でーす!」


 ナビゲーターちゃんがそういうと俺の目の前にウィンドウが表示される。見てみると戦闘職から生産職までたくさんの職業がぎっちりと書いてあった。


 初期で設定できる職業はユニーク含めて二種類と説明された俺は十分ほどかけ【蛮族】を選んだ。何故紳士とは程遠い職業を選んだかというと単純に【蛮族】が選べる職業の中で1番STRに補正がかかるからだ。言ってなかったが俺はMMOもRPGも基本ステをSTRに振っている俗に言うSTR全振りという奴だ。その理由は後々説明するとして今はチュートリアルだ。


「じゃあ次は武器を何にするか教えてねー!」


「ハンマーで」


「ハンマー? う~んだったらこれとかかな?」


 ナビゲーターちゃんがそう言うと俺の前に1本の戦鎚が現れる。

 


「これで合ってる」


「わかったよ~。じゃあ次はステータスポイントだけどー」


「もちろんSTRに全振りで」


「本当に全振りしちゃって大丈夫? 割とこのゲームステータス大事だよ?」


「大丈夫、これが俺のゲームスタイルなんで」


「まぁ個人の自由だから別にいいけど~……後で後悔しないでね? さて、これでチュートリアル空間ですることは終わったからいよいよGJOの世界に召喚するね!」


「おう、どんとこい」


「あっ、言っとくけどGJOの世界に召喚されてもまだ少しの間チュートリアルは続くからね~それじゃあ……パチンッ☆」


 ナビゲーターちゃん可愛らしいポーズを取りながら指を鳴らした瞬間俺の視界が一瞬白く染まり思わず目を閉じる。

 そして目を開けるとそこは――草原だった。


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