脳筋紳士・イベント?三日目
気づいたら二ヵ月更新サボってました。遅筆で申し訳ない……。
いつもよりちょっと文章多めです(当社比)
俺が着陸した場所を簡単に言い表すなら廃墟都市が一番適切だろう。
空は暗雲が覆いつくし、周りを見れば廃墟しかなく人のいる気配は全くしない。不気味な場所だ。
とりあえず廃墟都市の端まで行ってみたが見えるのは山と霧しかなく、山に囲まれた廃墟都市という新たな情報が更新されたくらいだ。
歩き疲れた俺は最初の町にあったのと同じ形をした噴水に腰を掛ける。
「……」
最初は運営の裏をかいてやったと意気揚々としていたが、なんだろうな……これさ、崖にぶら下がってた時と状況何も変わって無くね?
あのね、この廃墟都市さ、ガチでただの廃墟なんだよね。人がいないのは一目瞭然なんだけどモンスターすらいないんだよね……。
普通さ、廃墟都市言ったらさ、人の代わりにモンスターが住み着いてるとか思うじゃん? もう生命の気配を一切感じないんだよね。廃墟って植物の蔦とか伸びまくってたりすんじゃん? もうそれすらないんだよね。よくよく考えたら苔すら見てない気がするし。嘘だろって思ったよね流石に……
「あんまりじゃ……!」
(隠しステージだと思ってドキドキした俺の心を返せよ……! いや隠しステージかもしんないけどただの廃墟じゃん! マップはまた砂嵐になってて使いもんになんないし……!)
常時薄暗いせいで時間間隔が狂って今イベント三日目に入ってるの気づいたしさあ。俺以外にいる? イベント三日目にしてまだポイント0の奴?
「はぁ……」
やけになってアル中に廃墟都市の地面のスクショ数十枚送りつけたが後が怖いな……。
そういえばスクショ送り付けるついでにメニュー色々いじってた時にPT欄に「サツキ」とかいう知らない人のPNがあったけどあれが姉が野良とPTが組めない理由なのかな……まあどうでも良いかそんなこと……[NPC]って表示されてた気がするけど今の俺にはどうでも良いことだ……。
「マジで何してんだろ……」
着地成功した後のことを全く考えてなかったのアホすぎん?
てか何が「――これは一か八かの賭けだ」だよ。今思い返すと恥ずかしすぎるだろ。お前がやろうとしてることは賭けじゃなくて後先考えてないただのやけくそだと過去の俺に教えてあげたいわ。
(ここもダメだったらいよいよ自害ルートだな……)
そこはこの廃墟都市に着陸して一番最初に目に入った建物。寂れた大聖堂だった。
大聖堂と言えば町を代表するような大きな建築物、この虚無の塊のような廃墟都市でも流石に何かあるんじゃないか。何かあってくれ頼む。もうここを探索して何もなかったら死ぬしかねぇよ……。
ちなみに最後に回した理由は一番期待値が高いものがハズレだった時の心的ダメージがヤバいからだ。
半ば縋るような気持ちでシルンは大聖堂の中に入る。
「すごい……」
シルンの視界にはテレビなどでしか見たことのない美しい神秘的な空間が広がっていた。
どこからか差し込んでいる光が聖堂内部を薄暗く照らし、ほのかに光を帯びた空間は重厚でどこか神秘的に感じた。聖堂以外の建物は廃れていたり寂れているといった印象だったが、聖堂はその静謐で神秘的な様子から時が止まっているとしか思えなかった。
神秘的な光景に圧倒されながらも通路を歩いていくと、祭壇に辿り着く。そこには大きく、美しいステンドグラスが七つ、祭壇を囲むようにぐるりと飾られていた。
七つのステンドグラスにはこの都市の人々が信仰していた神なのか、それぞれ見た目の違う人物がステンドグラスに一人ずつ描かれていた。
「GJO内にも宗教があるらしいけどこれもそれ関連なのかな?」
まあ、俺は考察したりする脳みそはついてないので真相は一生闇の中だろう。
とりあえず鬼のようにスクショをしたがこのステンドグラスたち、外部からではなくステンドグラス自体が淡く、光を発しているようで祭壇がそれはもう幻想的で神秘的でヤバい。
「でもまあ、神秘的だったけど、うん。何もなかったな……え?」
結局収穫はなしかと肩を落としながら振り返ると――そこに来た道は無く、暗闇が広がっていた。
嫌な予感がして祭壇の方を振り返ると祭壇はなく、同様に暗闇が広がっている。
(おっと、これは望んでいた展開ではあるけどちょいとマズくないか?)
広い空間にいるのは何となくわかる。そして目の前になにかがいるのも。
素早くメニュー画面を操作しハンマーを装備する。
暗闇がザアッと音を立てるように引いていく。ハンマーを握る手に嫌でも力が籠もる。
そこは聖堂とは真逆の光景。
茜色に染まる空、石畳の広場、そして、ぐるりと広場を円状に囲む朽ちた磔の山――
『ユニークモンスター【《執行者》ヴェルゴール】が出現しました』
夕焼けの処刑場に首のない騎士が厳然と立っていた。
ブクマ、評価、そして感想、どれも励みになっております。




