脳筋紳士・公爵令嬢ちゃんと町を探索する・・・①
適当に酒場で酒を買った俺は公爵令嬢ちゃん達がいる宿に行き、現在、騎士くんと個室で相対するように机を挟んでソファーに座り酒を飲んでいる。
「シルンさん、すみません。気を遣わせてしまって……」
そう言いながら騎士くんは俺のグラスに酒を注いでくる。俺が持ってきた酒ではない。この部屋に備え付けられていた酒だろうか。
「良いんですよ。約束を持ちかけたのは私ですし……あっ、頂きますね」
俺はそう言いながら注いでくれた騎士くんに一度礼を言ってグラスに注がれた果実酒を煽る。
「んっ……美味しいですね」
もとは果実酒だろうか。18歳未満に対して発生するフィルターによって酒というより完全にフルーティーな炭酸飲料だったがとてつもなく上手い。今まで飲んできた数ある炭酸飲料の中でもベスト3に入る美味しさだ。
「どうやらこの果実酒が気に入ったようですね」
「ええ、とても気に入りました。この果実酒はどこで購入できるのでしょうか?」
「実はこの果実酒、アナさんの実家で作っているんですよ」
「なんと! そうだったんですね」
果実酒のお陰もあってそれから多少の雑談を挟みつつ酒を飲んだ。
「……さて、本題に入りましょうか」
ある程度雑談に区切りがついたので俺はグラスを机に置き、緊張で手が震えるのを抑えながら本題を切り出す。
「まず最初に聞きたいのですが公爵令嬢ちゃ……お嬢様を狙っているのはいったい誰なんですか?」
危ない。緊張しすぎて大事な場面で公爵令嬢ちゃんというところだった。
俺の言葉に騎士くんは少し驚いた後、騎士くんの顔に影が差す。
「…………言わないわけにはいかないでよね……」
騎士くんの暗い面持ちに俺の気も引き締まる。
「お嬢様の命を狙っているのは――――この国の第一王子です」
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さて、場所は変わって中央噴水広場。リスポーン地点であり、目印にしやすい噴水もあることから今日も多くのプレイヤーでいっぱいだ。
……まあ、あれだ、昨夜のことはひとまず置いておこう。今の俺がどうこうできる話ではないのだ。今一番優先すべきことは探索の件だ。
そして今、どこにいればいいのかわからないのでとりあえず噴水の前に立っているのだが。俺を見つけることができるのだろうか。
俺の中に一念の不安がよぎるが俺に向かって真っすぐ駆けてくる小さな人影が見えたことでその不安は消えた。
「シルン! ちゃんと遅刻してこなかったわね! 偉いわ!」
とてて、と可愛らしい走り方でこちらに駆けてきた公爵令嬢ちゃんが太陽のような笑顔を浮かべる。よほど街の探索が楽しみらしい。
「よく、こんな大勢の人がいるのに私の場所がわかりましたね」
「? 執事服を着たおじいちゃんなんてシルンくらいでしょ?」
なっ! お、おじいちゃん……だと?
……ま、まあちっちゃい子にはおじさんもおじいちゃんも同じだよな……でも、せめて「ちゃん」じゃなくて「さん」がよかったなぁ……
「おじいちゃんですか……」
「ん? どうしたのシルン? はやく探索に行きましょう!」
公爵令嬢ちゃんはそう言いながら俺に手を伸ばしてくる。
「そうですね……認識は後々改めさせるとして、探索に行きましょうか」
俺はそう呟くと公爵令嬢ちゃんの手を取る。巡る場所はたくさんあるのだ。
――――『『公爵令嬢と始まりの町探索』START』――――
クリア条件:公爵令嬢リーラ=ネグ=ファルファーと始まりの町を探索し、公爵令嬢リーラ=ネグ=ファルファーの満足値を一定基準満たす。又、襲撃者の撃退でクエストクリア。
――――――――クエスト推奨レベル:45




