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無限スキル使いの男〜クソザコだけど幼女と世界を救います〜  作者: ちゃこる
金の民救出作戦【クレア王国編】
57/63

クレアの地、最後の戦い。

ムースはフランキスから受け取った剣を振りかざす。


動きは素人同然だが、剣の切れ味は別格だ。


「その剣、お前には相応(ふさわ)しくないな」


バルクレアはムースを挑発しつつ、すべての剣を防いでいる。


「黙れ。バルト様の(かたき)!」


先ほどの余裕と打って変わって、怒りを(あら)わにした。


「お前達はなんにも。何にもわかっちゃいない!バルト様が望んで人々を苦しめてると思うのか!」


バルクレアも怒る。


「どんな理由があろうと、苦境を打破しようとするのが人間だ。自分達を神と偽り、情報を一切提供しなかったお前らが、今更なにをほざこうと知ったことか」


バルクレアは、旅の途中で、沢山の人を見た。


(ほとん)どの人は、大国の脅威に抗えずに衰退するものであった。


「何年も何年も、我は苦しむ人々を見てきた。今のホルダーがリトーになる前からずっとだ」


剣戟(けんげき)は勢いを増す。


「バルト様は私を救ってくださった。他にも沢山の人が救われた!」


「それは他者を切り捨てることの言い訳なのか!」


拮抗(きっこう)する戦いも、儚い金属音で突然終わった。


パキン。


ムースの剣、正しくはフランキスの剣、ベルラセポネが折れたのだ。


「クソッ!」


バルクレアは我に返ったように語り始めた。


「その剣は、過去に我がアルバドール・フランキスに与えたものだ」


ムースは膝から崩れ落ちた。


「我は昔から、我が信じたものには剣を与えてきた。我は剣の武器精霊。当たり前と言えば当たり前だが」


ムースの体がシュワシュワと音を立て始めた。


「奴はその力を持ってして、沢山の人を殺めた。そしてそのことをずっと悔やんでいた。もう殺したくない、だが、やらなくてはならない、とな」


「ああ、ああぁあ」


ムースはジュワジュワと溶けていく。


「奴が殺さなくては、奴の家族は殺される。今までのお前らのように。だが奴は、どちらも救いたいと考えた。結果、奴は家族もろとも自国の爆弾で爆破されたが、奴の行動があって、沢山の人が救われたんだ」


ムースの肉体は、ほぼ消え去った。


「そんな奴を、貴様が使ったことが許せん。それも、自分の身しか考えぬ貴様が!」


そこには透明のアンロックキーだけが残り、そのキーもパキン、と音を立てて割れた。


バルクレアは、消えていく自身の剣、ベルラセポネに別れを告げると、拠点へと足を向けた。


ーーー


閑散とした戦場で、一人、女が微笑(ほほえ)む。


「あら。誰もいなくなっちゃったわ」


彼女は右手を掲げると、何かを詠唱。

手元にはリモ電がある。


「もしもし。私よ、わ・た・し。クレア王国は何者かによって陥落。全く見たことのない方々ばかりでしたわ。でもその渦中には、やっぱりあの子。ウヅキ ミオウちゃん。後ついでにナガツキ クリカちゃんもね。ふふ、アリス・シュバルツァーもいたかしら」


彼女は詠唱で生成した黒い空間を突き進む。


「アリスちゃんったら、クリカちゃんが死んだことにも気付いてないのね。それにしても、ミオウちゃんの暴走みたいなやつ、なんなのかしらね。あなたにすんごく似てる」


彼女はもう遠くになった戦場を横目に歩き続けた。


「ね、サツキ様」

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