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無限スキル使いの男〜クソザコだけど幼女と世界を救います〜  作者: ちゃこる
僕の夢への第一歩です!【大闘技会編】
31/63

They strived harder and harder.

「さあ!出発するか!」


もう少しゆっくりしていたかったが、お金も無限にある訳ではなく、『大闘技会』に間に合う為には仕方の無いことだった。

それに、今の実力では優勝など夢のまた夢のため、スキルや体技、アンロックキーの扱いなど、鍛えるべき部分は多くあった。

レアドに至っては、グーラから指導された『心眼』を会得するため、暇があれば集中状態に入る。

グーラは3日後に時の村を経つつもりだったが、レアド達が出発するなら、と、途中までついてきてくれるようだ。


グーラは謙遜していたが、剣の技術が無い訳はなく、寧ろとんでもなく強かった。

レアドはその差を少しでも縮めるため、余計に奮起しているのだ。


道中襲ってきた魔獣等は極力相手にし、『ラディアンス』全体のパワーはとても向上した。

成長の早いフィリア、レアド、リトーはもちろん、グーラも高レベルで上がりにくくなったレベルをじわじわ上げていた。

グーラの所持スキルは50を優に超えるらしく、その全てがスキル上限100、レベル50以上らしいのだ。

スキル上限は才能が起因するためどうしようもないが、使い方と種類によっては、レベル50でもレベル100に勝ちうるから分からない。


「もうそろそろ林檎川が見える頃だな。林檎川には飛び林檎が生息している。相当強いが、レベル上げには最適な敵だ。そこを狩場にレベル上げを行おう」


ボルダーさんの提案は最良であった。

林檎川に着いた『ラディアンス』とグーラは、飛び林檎相手に相当レベルと経験を積むことが出来た。

飛び林檎の動きは複雑怪奇で、『心眼』強化にも絶大な効果を発した。


「レアドもなかなか『心眼』に慣れてきたみたいだね。騎士になる前の訓練生で『心眼』を使える人なんてなかなかいないさ。誇ってもいいところだよ」


「いや、僕はいずれグーラに追いついて、肩を並べて戦えるようになる…ならなきゃ行けない」


ここで優越感にひたっている場合ではないと、食事後直ぐに『心眼』練習に入った。


ーーー


「私は疲れたから先に西の都市に入っちゃうわよ」


レアド、グーラ、ボルダーを残し、俺、フィリア、リトーは先に西の都市へ入り、宿を探すことになった。

通信は新型リモ電でとれるので、とても便利だと思う。


「お風呂はなきゃ嫌だよ」


フィリアの指摘をしっかりと聞き、お値段お高めの宿に入った。

フィリアとリトーが嫌そうな顔をするので男女別の部屋にした。

広すぎて一人には寂しい部屋でぼーっとしていた俺は、レアド達からの通信に覚醒させられた。


「やば、場所伝えんの忘れてた」


急いで連絡を取り、倒しまくった飛び林檎の果肉も持ってくるようにお願いした。


「ミオー。夕食は?」


ノックもせずに入ってきたフィリアに驚くも、


「…レアド達が飛び林檎持ってくるから、それで美味しい料理でも作ろうかなと」


林檎も使いようだ。

バターで焼いても美味しい。


「じゃあ調理室で待ってるから!」


バタン

忙しいやつだな…


俺も席を立つと、部屋に備えてある地図を元に調理室へと足を運んだ。


ーーー


調理室は広く、調理台が計10台。

そのうち5台は使われていたので、やや奥の方にある調理台をチョイスした。


「飛び林檎ってすごく多様性がありますね」


リトーの発言を皆が肯定した。


「今日だけで嘘のようにレベルが上がったよ。今までは数ヶ月に1レベルだったのに、今日は3も上がった!」


現在のレベル・()内上限

美扇:『全スキル』1(1)

フィリア:『錬金』43(75)

レアド:『空間交換(チェンジ)』39(80)

リトー:『切風(カマイタチ)』36(70)

ボルダー:『時間停止(ポウズ)』51(90)

グーラ:???


『生誕祭』に向け目標とするのは、全員のスキルレベルが50になること。


「僕は体技も使いこなしてきましたよ!」


もちろん、戦闘技術の面に関しても、著しい成長を見せていた。


習得体技

美扇:なし

フィリア:なし

レアド:『紅範囲・絶対禁止(レッドパージ)』、『亜次御・壱の舞(モノマイ)』、『亜次御・弐の舞(ジ・マイ)』、『亜次御・参の舞(トリマイ)』、『シャッフル』、『怒気・崩壊鍵(ジ・コンポウズ)

リトー:『熱圏・蒸化(ヒートワールド)』、『血抜(けつばつ)

ボルダー:『即危険・駒切り(チェックメイト)』、『御神楽』、『(じん)

グーラ:???


「飛び林檎…なかなか美味しいな」


川に生息しているからか一段とみずみずしく、ジュースのようだ。

魚のような見た目だがまったく魚の気はなく、100%林檎だ。


「今日はもう休もう。明日からはもっと上流に行くぞ。飛び林檎は勿論、より強力な敵も現れるから気を引き締めろ」


ボルダーの呼びかけに応じ、美扇、レアド、グーラは風呂場へと向かうことになった。

ボルダーはもう少し計画を練ってから入浴するそうだ。


「この3人でいるのは初めてだな」


レアドとグーラは互いを呼び捨てし合う仲だが、美扇は『転移』でメリーナ戦には居合わせなかったため、時の村入村時、初めて対面した事になる。


「と言っても、グーラとは飛び林檎との戦闘でもよくアドバイス貰えたからな」


「そう言えば美扇さんの新しい武器。見たことない形してますね」


グーラは改めて刀身を確認すると、ぎょっとした。


「これをどこで?」


俺はなにか不味いことでもあるのかと疑ったが、正直に答えた。


「い、いや。時の村で装備を買う際、店に連れてかれてな。その時に買ったんだ。確かに裏のありそうで危なそうな武器屋だったが…」


「そうですか…それならいいんです」


あれ?なにもないのか?

それとも重要なのはどこで入手したかだったのか?

グーラとは身分や情報の精通度が違すぎて、まったく理解できない。


「そんなことより。西の都市は温泉でも有名なんだ。様々な効能があって、休息には最適の地だよ」


グーラは足早に温泉を目指した。

到着が遅れることが、なにか負けたような心持ちなので、美扇とレアドも負けじとスピードアップした。


ーーー


温泉を出た美扇達は、湯冷めしない程度に風に当たるため、男子部屋のテラスに出ていた。

西の都市は相当な範囲に及び、裸視では全てを臨むことは出来ない。

ボルダーには秘密にしているが、幼少期の記憶があるレアドからすれば、通ったことがあったのであまり驚くべき光景ではなかったのだが、美扇達はレアドがエフォートビレッジ外に出たことがないことになっていたので、少々オーバーリアクションをとった。


「すごい広いですね。初めて見ました」


しかしその嘘はグーラには通用しなかった。『心眼』を体得している彼は、一瞬にしてその嘘を見抜くも、あえて口にはしなかった。


「そうだな、エフォートビレッジ、ホウルヴィル、時の村を足しても足りないくらいだな」


美扇は素直に感嘆の言葉を発した。


「王都は西の都市…よりも全然広いよ。そこにたどり着くまでには君達はとても進化しているんだろうね。楽しみだよ」


グーラは一種、余裕を感じさせる口振りで興奮を収めた。


この後ボルダーも部屋に来たので、消灯とした。


ーーー


グーラは一人、深夜に起きて、美扇の傍に立て掛けてある異様な武器に近づいた。

長剣の研がれた方面が片方しかないような形をしていて、頑丈そうだ。

その刀身には『霊切刀』と刻まれており、夜闇でも目視出来るほど黒黒と光っていた。


「…お父様」


まるで恨むかのような視線を刀身に落とし、静かに鞘にしまった。

そのまま自分の荷物を漁ると、なにか書き置きを残して西の都市を去った。


ーーー


「グーラがいないんです!」


レアドからそう告げられたのは起きてすぐのことだ。

『ラディアンス』の誰よりも強い彼がどこへ行っても不自由するように思えないので、別段気にする必要も無いのだと思ったが、どうやら書き置きを残していたらしい。


『これをミオウくんへ』


と書かれた手紙を受け取り、中身を取り出した。


『俺はこれ以上長居ができなくなった。このまま一緒にいると、おかしくなってしまいそうだ。君たちのせいではない。近々、君達になにか不幸があるように思えてならない。その折はリモ電で俺の事を呼んでくれ。挨拶もなく立ち去る俺を許してくれ。君達が王都にいち早くつくことを祈っているよ。また会おう

グーラ・ボア・ニュートリアス』


残念ではあったが、身分が違う。

仕方が無いことだ。

受け取れるアドバイスはたくさん受け取った。

ここからは自分たちだけでやるしかない。


「それじゃ、今日もレベル上げ、そして俺は剣術の腕磨きとスリングショットの腕磨き…頑張りますかね!」


準備を整え今日も訓練が始まる。


ーーー


2週間後


「西の都市…随分とお世話になっちまったな」


俺はこの2週間。

自分のステータスの存在に気づいた。

異世界に来た瞬間に気づくべきことだ。

意識的に表示できるそれには様々な欄があり、特定の条件を満たすと向上した。

その結果、グランドマングース(体長10メル越えのマングース)を『霊切刀』のみで倒すことも出来るようになった。

俺が特に鍛えたのは俊敏性の欄。

跳ねるように障害物をバネとすることも出来るようになった。

体技も1つ獲得し、『神風・瞬間跳躍(かみとび)』と名付けた。

この何決めた時、レアドとボルダーは驚いた表情をしていた。

ルーティーンは瞬きだ。

一定のリズムで瞬きをすることで、跳ねる場所を確認し、跳躍する。

自分で信じられないほどの跳躍力を得たため、ヒーローになった気がしてとても興奮するが、フィリアに窘められ、冷静になった。

俺以上に異常なやつは五万といるらしい。

フィリアは『錬金』以外の戦闘手段として、弓矢を覚えた。

スキルの多用は体力を使う為、出来るだけセーブしたいからだ。

最近様子が少し変わってきて、とても落ち着いた雰囲気になっているのも気になるが、まったく教えてくれない。

リトーはナイフの使い方を体得した。

グーラがアドバイスしてくれたらしく、長剣でなく、ナイフの体技を得たらしいが、まだ見せてもらっていない。

もちろん『切風』も鍛えたらしく、より小回りのきくスキルへとなっていた。

味方への攻撃はなさそうだ。

レアドは一番戦闘能力が向上した。

『心眼』なるものを体得し、敵が動くより先に手を打つことができるようになっていた。

また、時の村の村長から受け取ったという短剣。

これは過去にバルクレアが村長の息子に渡したものらしく、近くにバルクレアがいると、その効果は倍増する。

ボルダーは『大闘技会』に人一倍の熱意を秘めているらしく、もうそろそろ50歳なのに、相当力を入れて鍛錬している。


スキル

美扇:『全スキル』レベル1

フィリア:『錬金』レベル53

レアド:『空間交換』レベル54

リトー:『切風』レベル50

ボルダー:『時間停止』レベル58


当初の目標、全員のスキルレベル50越えは美扇の例外を除きコンプリートされた。


「よくやったなお前ら。これで堂々と『大闘技会』に受ける資格を得た。ということで…」


ボルダーはガザガサとバックパックを漁ると、三枚の紙を出した。

それと別にもう1枚。


「この3枚はおわかりの通り、私、レアド、リトーの『大闘技会』参加資格書だ。そしてもう1枚」


全く同じ紙をフィリアの前に滑らせた。


「今年から参加資格が訂正されて、12歳以上になった。今のフィリア嬢ちゃんなら張り合っていける」


嫌がるかと思ったが、実に嬉しそうに紙を受け取ると、


「あたしも役に立てる…皆に助けられるだけじゃなくて!」




役に立てることが嬉しいようであった。

残念ながら美扇は全スキルレベル1の為、参加できないかと思われた。


のだが…


「…そして、もう一枚…」


ボルダーはもう一枚同じ紙を出した!


「これはミオウ。君のだ」


俺の。

俺の参加資格書。


「ま、まじか…」


驚愕。

確かに俺も頑張って鍛えてきた。

その進化を見せるチャンスを得た。

地球では厄介扱いされていた俺が。


一種胸に込み上げるものがあったが、ぐっと堪えた。


「ボルダーさん。ありがとう」


こうして『ラディアンス』は五人とも参加することができることになった。

お互い当たっても手加減はしないことを約束した。


ーーー


「明日には西の都市をでるぞ。それまでに各自やり残したことをしておけ」


明日には西の都市を発ち、重要な地があるという背伸び村に向かうことになる。


『大闘技会』まであと一週間と少し。


次回は西の都市の続きと背伸び村編です。

重要な過去の写鏡とは一体…

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