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無限スキル使いの男〜クソザコだけど幼女と世界を救います〜  作者: ちゃこる
遥かなる旅の始まり【エフォートビレッジ編】
3/63

あなたは幼女?俺はロリコンじゃない!

 立ち尽くす俺。


 だって!

 研究対象にされた挙句、結果に勝手に落胆されて無一文でほっぽり出されたんだよ!?

 何すればいいかわからないし!

 あぁ、これから物乞いして密やかに生きていくんだなぁ。

 ゲソゲソになって死んでいくんだなぁ。


 ため息を吐いて一呼吸置く。

 狼狽(うろた)えてても仕方なし!


 俺にしては珍しくポジティブシンキングだ。


 なぜなら、俺には無限に等しい数のスキル


ーーほぼ使い物にならないがーー


があるからだ。


 数日前の研究でスキルの能力の程度が知れたが、鍛えれば火起こし程度にはなるかもしれない。


 研究の間、スピーディーからスキルについて様々教えて貰った。


 スキルの数には底がなく、今も絶え間なく神によって創造され続けている。

 スキル書は、一度誰かが読むと効力が無くなる。

 スキル書とは、原石(オリジン)と呼ばれる不思議な石の粒子を紙に混ぜて()いた紙からできた本だ。

 スキルが創造される度、俺は習得しているらしい。


 まだ試していないスキル、知らないスキルが山程、いや、無限に存在する。

 中には使えるものがあるかもしれない。


 そう、優劣がない単純なスキルだ。

 炎系スキルはレベルが火力に反映され、水系スキルでは量に反映される。

 能力にレベルによる振れ幅がなければ。

 つまり、レベル1のままでも効果は変わらないスキルは思うように使えるに違いない。


 例えば、


テレポート(転移)!とかか?」


 『転移(テレポート)』に機能的質は無い。

 中途半端な転移という概念は存在し得ない。


 しかし、どの能力にも欠点があることをと思い知らされる。


 たった一度のスキル発動で。



ーーー



「どこじゃここはァァァァァァァ!」


 何度俺を困惑させれば気が済むんだ!

 確かに、後先考えずスキルを使った俺が悪いけども!

 ただでさえ地形がわからないこの異世界で、またわけのわからない場所に飛んできたんじゃどうしようもない。


 『転移(テレポート)』はレベルが上がるごとに、目的地の正確さが増すスキルであった。

 レベル1では思ったところに行けるはずもなく、この世界のどこに飛ばされるかわかったものじゃない。


 幸い近くに村があった。

 しかし、この村は、先程までいたところと違って過疎化しているようで、人の姿は見えない。


 ひきこもりで人見知りの俺だ。

 あまり人に話しかけるのは得意ではないが、異世界なら、と張り切って、人を探して色々と聞いてみることにした、


 が。






      「おにいちゃん、だれ?」






 見知らぬ少女


ーーこの世界の人は誰も見知らないがーー


に袖を引かれた。


 これほど小さな村だ。

 村人全員の顔は覚えているのだろう。

 だから瞬時に、俺が村人ではないと的中させたのだ。


 知らない人、それもロリに話しかけられ少し困惑した。


 その少女は、肌が真っ白、白髪、目がぱっちりしてて、少し痩せ型だ。

 至って標準体型で、とても可愛らしい。


 だが、あいにく俺はロリコンではない。

 何方(どちら)かと言えば豊満な胸をお持ちのお姉様の方がタイプだ。


 そんなことはどうでもよい。


「お兄さんは普通の人間だよ〜。怪しくないよ〜」


 今世紀最大の笑顔で言い放つ。


「俺は卯月 美扇(うづき みおう)。まるで女の子みたいな名前だが男だ。正直言って容姿端麗。学生時代、沢山の女子にアプローチされていた。しかし、俺の性格にその待遇は合わなかったらしい。人が周りに集まってきて、自由が利かない生活を送り続けた。元々人と話すのが苦手だった(というか避けてきた)俺は理不尽な不自由から怒りを覚え、何が吹っ切れたのか…引きこもりとなった。ちなみに17歳、彼女いない歴イコール年齢、趣味ゲーム、好きな食べ物ハンバーグ。以後よろしく」


早口で丁寧な自己紹介を添えて。


ーーー


「あたしを旅につれてって」


 どこをどう見たら旅の途中に見えるのだろうか。

 服装は引きこもってた頃とおな…じ…


 じゃねぇっ!

 あの科学者どもめっ!

 俺が肌身離さずずっと身につけていた寿()()T()()()()をどこに隠しやがった!?


 俺は研究員達に確かな憤りを覚えていた。


 俺は今どんな格好をしてるんだ?

 いやめちゃくちゃ異世界丸出しやんけ。

 厨二病みたいになっちゃってるよ!

 気持ち悪いよ!

 脱げないよ!


 これが異世界の旅の服か。


「お兄さんは旅をしている訳じゃあないんだ。この村にここいらの地域について詳しい人はいるかな?」


 少女の誘いをうまく断りつつ情報をいただく。

 我ながら素晴らしい算段だ。


「つれてってくれないなら、いい」


 あれれ?

 思ってた展開と違う。

 なんで!?

 ちょっと情報は!?

 何この子めちゃ賢いんですけど!?


 旅に連れていくわけには行かないが、背に腹は変えられない。

 少女に少しばかり悪いが、情報をもらうために嘘をついておこう。


「わかったわかった!旅に連れていくから誰か村の人を…」


「いない」


「へ?」


「いないの」


「いやいないって、誰かいるでしょ?誰が君を育ててるの?」


「気づいたらみんないなくなった。スキル使ってなんとか生きてるの。この村にはあたし一人。だからー」


 少女が涙ぐんだからか。

 俺は少女を抱き寄せた。

 ただ少女が不憫でならなくて。


「行こう。みんなを探しに」


 少女は腕の中でコクリと首を動かした。



ーーー



 今日旅に出発するのは不可能として、この村で休息をとっている。

 どうやら少女の持っているスキルは、『錬金』らしい。


 いや、強すぎるだろ。


 考えてみよう。

 俺の錬金スキルはLv1

 原子を多少いじれる程度。

 少女はそれに対してLv30。

 生まれてからずっと磨いているスキルで、今では砂を砂金に変えられるほどだという。


 スキルにはそれぞれレベルが存在する。

 それらは単純に使えば使うほど強化されるらしい。

 俺のスキルはレベルがすべて1だからこの強さだそうだ。

 また、人によってレベル上限が違うらしい。

 例えば同じスキルでも、Aさんは最大レベルが50、Bさんは100、と、センスや相性が起因するらしい。


 そんでもって俺は、




      全スキルレベル上限1。




 大絶望。

 鍛えることも出来ない。

 俺はスキルの鍛錬に触れられずに全スキルを所持している。


 泣きたい。

 いや、泣く。

 いつか実用性のある状況に置かれることを祈る。


 とりあえず、彼女はこの旅に必要な存在であるとわかった。


 それにしても今日は柄にもないことをしてしまったな。

 等と考えながら藁の上に寝転がる。

 隣にはもちろん少女がいる。


 今日はもう寝て、明日から旅の算段を始めようか…



ーーー



 少女の名はフィリア。

 この子の存在が、後に俺の運命を狂わせる。

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