告白
『お~い、席に着けよ! 帰りのホームルーム始めるぞ』
斉藤先生が入ってきてザワザワしていた教室が静かになる。
『先日、行った健康診断の結果を配るぞーーーー』
と言って次々に名前を呼んで配っていく。
(あれ? 私の番号飛ばされている・・。)不思議に思う私
配り終えてから斉藤先生が
『杉原雪乃は、帰りに保健室でもらって帰るようにな!!』
と言われました
『えっ、なんで私だけ?』不安になっていた私。
『ゆーきーのーーーっ。ほら。笑って。海斗先輩とデートでしょ』
と、声を掛けてくれる親友の瞳ちゃん。
『うん。でも、保健室・・』
『海斗先輩についてきてもらう?』
と瞳ちゃん
『大丈夫、1人で行くよ』
と言って荷物を持って海斗先輩に保健室に寄るから遅くなるとlineをしてから保健室へ向かった。
『失礼します。杉原雪乃です』
保健室に入ると
『こっちに座ってくれるかしら』
先生の目の前の椅子を勧められ向い合って座ることに。
『早速だけど、この前の健康診断で、要検査項目があるの。心音に異常が見つかったの』
と言われボーッとしたまま保健室を後にした。遅かった私を心配して海斗先輩が迎えに来てくれた
『どうした? 雪乃』
心配をしてくれる海斗先輩
『・・・・・・』
ショックすぎて何も言えない私
『雪乃、とりあえず帰ろうか?』
と言って手を繋いで歩き出す。時々、きゅっと手を握る海斗先輩
ますます下を向くしか無かった。
『少し話そうか、雪乃? 俺じゃ頼りにならない?』
と俯く私の顔を上げさせ目を見つめて話してくれる。
(言わなくちゃ・・でも・・。)
『海斗先輩、雪乃・・心臓の病気が見つかったみたい』
正直に伝えた。
『重い病気だったら・・手術になったら・・・・
別れよう・・って続けようとしたら海斗先輩が
『雪乃、何考えてるの? 俺、別れないよ。雪乃を1人にさせない。俺が付いているから一緒に病気と向きあおう』
と言ってくれた。涙で何も言えない私に
『雪乃、頑張れる?』
と海斗先輩が問いかけてくれる。
『うん。頑張る』
小さな声でしか言えなかった私に、海斗先輩が私を抱きしめながら
『偉いなぁ。雪乃、ずっと支えていくから』
と言ってくれた。頑張ろうと思えた。
海斗先輩に抱きしめられたまま、海斗先輩の腕の中で
『海斗先輩、大好き・・・』
小さな声でつぶやいた。
(聞こえなかったと思ってんだろうなぁ・・)
雪乃のつぶやいた告白
『雪乃、ちゃんと届いてるよ』
今度は俺がつぶやく。
腕の中にいる雪乃は、やっと震えが止まってきた。
怖かったんだろうな、病気も俺に伝えることも・・・。
病気になったからって捨てるわけないのに、どんだけ俺が雪乃の事を想っているのかわからないのか?
バカだなぁ、雪乃は。迷惑かけるから別れよう。なんて考えてんじゃねーよ。
俺が支えるから、病気になんて負けんじゃねーぞ 雪乃。
小さな雪乃を抱きしめながら想っていた。
『ねぇ、海斗先輩』
『うん?どうした、雪乃』
いつも優しくどうした? の後に雪乃って名前を呼んでくれるところが、とっても大好きで何もないのに、つい呼んでしまうの。ふふっ。ねっ。呼んでくれたでしょ。苦しくて辛い治療も、海斗先輩がいてくれたら乗り越えられそうな気がする。
『がんばるね』
『ばーか。がんばるねじゃねーだろ、がんばろうね。だよ雪乃、2人の未来のために頑張ろうね、約束』
せっかく止まった雪乃の震えが、今度は涙と一緒に小さく震えている。抱きしめる力を少しだけ強める俺に、雪乃が小さな小さな声で(ありがとう 大好きだよ海斗)と言ってくれた言葉を俺は忘れることはないだろう。この先、何年たっても・・・。
辛い治療を頑張ったら『愛している』そう伝えてあげようと想っている。
(雪乃、愛してる)今は心のなかでつぶやく。