表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗闇の先には夢があるかもしれない  作者: カカリチョウ
1/2

1 始まりの書

町外れの荒れ地にぽっかり空いた穴

穴には階段があって

誰でも中に入る事ができる


階段を降りると扉があって

扉を開けた先はダンジョン


ダンジョンにはモンスターが居て

やっつけるとお金やアイテムが手に入る


それを生業とする者

「地下探索者」




オレは地下探索者だ

まだ初心者だけど地下探索者だ


町の探索者訓練所に登録してあれば

地下探索者になれる


なぜかは知らないけど

オレは地下探索者訓練所に居た

それ以前の事は覚えていない

生活に関する事などは理解してるけど

子供の時の事などはサッパリ覚えていない

特に不具合は無いので考えても仕方がない

ないないずくしなのだけども

訓練所では地下探索に必要な知識や

モンスターの事を教えてくれる

勿論、モンスターをやっつける方法とか

アイテムをどうするのかとか


訓練所の定める訓練をこなすと

認定証が貰えて地下探索者となれるのだ

そうすれば身分証にもなるし

生活する事ができる


先日、認定証を貰ったオレは

初心者地下探索者なのである


オレと同時期に認定証を貰ったやつは5人居て

ダンジョンに入る前のテンプレの場所

酒場?飯屋?通称「ダンジョン酒場」に集まっている


「とりあえずなんだけど一緒に行かない?」


不安なんだろう

とりあえずには

ちっとも「とりあえず」っぽくない感じがした


「オッケー!オレは一緒でもいいよ」


誘ってきたのはケン

ガタイの良いファイター認定された男

ファイター技能試験の成績は良い方なのに

戦闘では少しサボリ気味で手抜っぽくしてたから

訓練所の先生によく怒られてた


オレも同じファイター認定

名前はチョー

ケンとは同じファイター認定なので顔見知りだ


「ほかに一緒に行くやつは?ってか行かない?」


オレは声をかけてみた

というか、ファイター二人では心細い

主にプリースト認定のカズに向けて声をかけた

やっぱりヒーラーは鉄板でしょ?

プリーストだって一人では困るでしょ?

一緒に行こうぜ?


「オレはとりあえずソロで入ってみたいんです」


なんと!

オレの声はしっかり届いていたけど

進路は決まってたらしい・・・残念・・・


「お前らは?どうする?」


他の二人はマジシャンとシーフ

マジシャン認定のユージ

シーフ認定のオサム

訓練所の成績は最低ランク

あんまり関わりのないオレでも知ってる

ギリギリ認定を貰った奴等

正直なところ一緒にはちょっと・・・


「あい、一緒に行きます」

「・・・・いきます」


一緒ね?来るのね?


「わかった、じゃー後でチーム申請しよう」


ちょっと!ケン待って!即決!ってか考えてないでしょ?

まじで?ダメな方で有名だよ?


「あい!よろしくー」

「よろしくお願いします」


よーし、よしよし!わかった!

理解した、飲み込んだ!


「オーケー準備はどうだ?すぐ行けるか?」


「あい」

「・・・」


実際に見た訳じゃないし

先入観はよくない


「じゃー出発!」


ケンが号令を掛けて出発することになった


「じゃー俺、行きますね」


カズは行ってしまった

これで始まっちゃうのかー

オレの地下探索・・・




なんか不安しかない気がする




ダンジョンの中は薄暗いけど

明かりが必要ってほどではない

ここは訓練所で教わった通り

でも、教わったけどさー

こんなに広いとは思わなかったなー

もっと狭く感じると思ってた

全部がこんなに広いわけじゃないって事だけど

それにしても広いわー

幅は30m位ありそうで高さもおんなじ位?

スゲーなー


ケンの後ろでキョロキョロしながら歩く

後ろのダメ二人もキョロキョロしてる

ケンも上を見上げて歩いてる


意味の無い1列の行進

ふと気が付いて


「隊列どうする?」


「ん?このままでいいんじゃない?」


「あれボクは前に出るのはーダメなんでー後ろにしてもらってーいいですか?」


「・・・」


「あーー!オメーもなんか言えよ!」


「・・・すいません」


「声が小せぇ!でっかい声で喋れよ」


「・・・はい」


ほぼ初対面なのに文句言っちゃったよ

パーティーなんだからさー

意思の疎通は大事じゃねーのかよ!


「あーいや、いきなり悪かったよ。でも即席パーティーでもパーティーなんだから、話くらいちゃんとしようぜ!」


「・・・はい」


あーーーー!

声が小さい!


「あれボクは後ろでいいっすよね?」


なんで あれ って言ってから話すの?

なんだかなー


なんもしてないのに疲れてきちゃったよ


「ケンもなんか言え」


「オレはムリかな、チョーに任せるよ。チョーはリーダー役が向いてるんじゃない?早速コミュニケーションとってるしね」


へ?なになに?


「あれチョーさんよろしくお願いします」


「・・・」ペコ


なんとなく決まった?


「なんだよこれは!あーもーわかった!オレがリーダーね!ハイハイ!んじゃーパーティー名はチョーカルテットね(笑)」


「了解、リーダー」


「チョーカルテット」


「・・・」ペコ


「いや、待って!ちょっと考えるから止めて!」


パーティー名考えなくちゃ!

なんだろなー初めてダンジョンに入ったのに

緊張してないなー

案外これで行けるんじゃない?


「モンスター」


「は?」


話に気をとられ過ぎてモンスターに気が付かないなんて!

ダンジョンだものモンスター出るよね!

気を抜いてちゃダメだ!


「どんなの?」


言いながら剣を抜く

でもケンの前にはなにも居ない


「スライム」


「どこっ!」


「オレの足」


うおっ!居たっ!

水みたいな感じのが動いてる!

訓練所で習った通りの姿だ!


「スライム」

水みたいな見た目をしている。

体の中に取り込んでから消化液で何でも溶かして吸収する。

取り込んだ分だけ大型化する。

報告があったもので最大10m位


ケンの足元に居るのは1m位

小さいから気が付かなかった!

ケンは上ばっかり見てたから!


「足あげろ!」


オレは剣をスライムに突き立てた!

ケンのブーツが少しだけ溶けてる

つーかケンも抜け!せめて足で踏め!


何度か剣を突き立てたら、水蒸気みたいな煙を出し

ちっちゃくなって、最後はポン!て消えた

残ったのはビー玉みたいな丸い玉

これはモンスターの玉、スライム玉だ

モンスターの玉は売り物になる

玉には魔力がこもっていて、様々な用途に使われるからだ

武器、防具の錬成や魔力道具の動力源、時にはマジシャンの使う魔力の代わりに・・・


スライム玉では魔力が少ないからカスだけど


「びっくりしたよ」


「オレもびっくりした!つーか、油断し過ぎ!」


「壱階層ではあんまりモンスター出ないって教わったから、気にしてなかったよ」


「オーケーわかった、気を付けようぜ!教わった事だけじゃなくて、自分達でもちゃんと気を付けようぜ!」


「わかったよ、リーダー」


役割決まっちまったんだけど


「あれ玉拾った方がいいっすか?」


「大したものじゃ無いけど取っておこうよ」


「あい!じゃーボク拾っときますんで」


「なんか言え」


「・・・初めて」


「おー、オレも初めて見たよ。ケンのブーツはどう?オレの剣は問題無さそうだけど?」


「問題ないよ、先に進もう」


改めて前を見てみたら、先の方に何かがある。扉かな?


進行方向の左に扉があった


「扉を調べてくれ」


「あい!」


ユージは扉を調べるために近付いたら

扉が急にこっち側に開いた


「開きましたー」


何にもしてないのに開く、怪しい、罠がありそうって思って

ユージに声を掛けようと手を伸ばしかけた時に気付いた

ユージの足元が板状にへこんでいる?


やばっ!もう罠に掛かってるんじゃね?


ユージの足元から白い粉が勢い良く吹き出して

ユージは真っ白になった!


「あれ罠に掛かってるんですけどーこの罠は危険じゃないんでー大丈夫っすね」


いやいや真っ白になってんじゃん?

罠に掛かってるんじゃん?

これはダメだ。


「1回帰る。パーティー登録してからもう1回来る。ユージは風呂入る。以上、何か意見はあるか?」


全員が頷いた

早速だけど、撤収!




初めてのダンジョンは、グダグダに幕を降ろした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ