三人の模索①
テルとエリーゼとスサノオは自分の教室に向かうため、エントランスに戻る廊下を進んでいた。その理由は数分前にさかのぼる。テルの提案を聞いた校長代理フリードはテル達三人の退学を辞めると告げた。しかし、すぐには判断を下すのは難しいということで一旦保留という形でその場は収まったのだ。
「しっかし、お前大人しいそうな顔をして結構エグイこと考えてるんだな・・・」
歩きながら、スサノオは両手を頭につけながらテルに言った。
「代理とはいえ、普通、校長は脅迫するか?」
「それは・・・弁解の余地はありませんね・・・すいませんでした。色々と驚かせてしまって・・・」
「本当よ!あんな荒業をするなんて思ってもいなかったわ・・・」
「まあ、マント野郎のおかげで退学を無しになったからいいとするか・・・」
スサノオがそう言うとなぜかテルは脚を止めた。残りの二人も続けて止まる。
「どうしたの?どこか痛むの?」
「いや、そうことじゃなくて・・・考えてみれば、自己紹介してなかったなって」
「そう言えばそうだな。色々とドタバタしてたからな・・・俺の名前はスサノオ・オオミ。マルタから来た」
「「マルタ!?」」
スサノオが簡易な自己紹介をすると、テルとエリーゼは驚いた。
「な、なんだよ・・・」
「だって、マルタって東の国よね?そんな遠くからきているなんて珍しいから・・・」
「そんなに珍しいのか?全く知らないで来たんだが・・・」
「隣国のチュートンやテンプルは移動手段がいくつかあるから生徒の何割かは留学生だったりするけど、マルタからフィアナに来るには蒸気機関車しかないからあまりいなかったはずだわ」
「なるほどな、確かに蒸気機関車しかなかったな・・・」
納得するようにスサノオは腕を組んで頷いた。テルはスサノオの腰についた刀を見ながら言った。
「スサノオ。貴方の腰につけている剣ってもしかして・・・」
「ん・・・?」
「カターナですか!?」
「・・・おい、なんか発音をおかしかったぞ!刀な!か・た・な!!」
「やっぱり!サーベルと刃の反り方が違うからもしかしてと思って・・・これがマルタの剣カタナですね!」
「まだ発音が怪しいが・・・確かにそうだよ」
「おおー!!もっと近くで見せてください!」
目が輝かせながら涎をたらしつつ、テルはスサノオに懇願した。
「どんだけ見たんだよ!つか趣旨違ってきてない!!?俺ら自己紹介したんだよね!?なんで俺の刀に注目いってるの!?どっちでもいいから自己紹介しろ!!」
困ったスサノオは大声でそう言った。その後、テルを止めたエリーゼと暴走が止まったテルは自己紹介をするのだった。