粉砕玉砕大喝采ッ!!!
俺達が最初の町を出てフィールドに出ると、そこには既に先客が居た。
2本のショートソードを持ち、回りにいるモンスター『ブルースライム』を切り刻んでいく。
周りに居た『ブルースライム』を3体倒したことで、その彼がこちらを向く。
「へぇ、もう僕の他にフィールドまでたどり着ける人が出たんだ。
てっきりまだ皆あたふたしてるのかと思ったよ。」
「いや、まだ他の奴等は慌ててるぜ。
それより、お前すごい動きだったな。あんな風に序盤から動ける奴は初めてだ。」
実際、コイツの動きは洗練されていた。
全ての攻撃を見事に回避し、そして全ての攻撃を直撃させる。
上手かった。もしかしたら名のあるプレイヤーかもしれない。
「有難う。
そうだ、僕達、フレンド登録をしておかないか?
何となくだけど、君達は何れ凄いプレイヤーになるような気がするんだ。」
「おお!いいぜ!」
寺本と彼がフレンド登録をした後、俺も彼とフレンド登録をした。
《セイ とフレンドになりました。》
同時にテロップが流れる。
そうか、セイというのか。
「シルトとテラーだね。わかった。覚えておくよ。
じゃ、僕はこれからもっと奥で狩りを始めるから。じゃあね。
お互いの健闘を祈るよ。」
「頑張れよ!」
「じゃあな。」
いやぁ、いい人だったな。感じが。
寺本にそう言うと、彼も「確かに。」と肯定した。
良かった、いい人と友だちになれて。
俺達が出会いに感謝していると、俺達の目の前でモンスターがポップした。
名前は、『ブルースライム』。さっきセイが狩っていたモンスターだ。
弱そうだな。実験台には持ってこいだ。
「よし、まずはコイツでDEXを確認しよ――――――――」
俺がそう言おうとした瞬間、視界が白で染まる。
視界が戻ると、そこにはあのチュートリアル役、アリスが居た。
「おー!
早速シルト君、戦闘をしようとしているね?
所で君、武器は持ってきたかな?
> はい
いいえ 」
成る程、戦闘のチュートリアルってとこか。
とりあえず、はいを選択する。
「さっすが!じゃあ、戦闘のチュートリアルに入るよ?
まず、今君の前にいる敵は『ブルースライム』。
このゲームの敵の中でも、最も弱いモンスターだよ!
さあ、まずはコイツに攻撃してみよう!
君は魔術士のようだから、早速この魔法を使ってみてね?」
アリスが言うと同時に、テロップが流れた。
《マジックバレット を習得しました。》
《マジックアロー を習得しました。》
すぐに、これらの性能を見る。
マジックバレット
魔力の弾を打ち出す。
MP消費0(0) 威力 固定ダメージ5
マジックアロー
魔力の矢を打ち出す。
MP消費10(10) 威力 150
うん、強くはないな。
そう思いながら、早速『マジックアロー』を使ってみた。
(『マジックアロー』!)
そう念じた瞬間、頭の思考力が強引に使わさせられたような感覚を受け、その直後に俺の手のひらから半透明の矢が『ブルースライム』に打ち込まれる。
13ダメージ!
という表記とともに、『ブルースライム』のHPバーが4割ほど減った。
「凄いね!もう無詠唱が使えるなんて!
でも、出来れば魔法名は口に出したほうがいいよ!
その方が思考力を取られにくいからね!」
「ちょっとまってくれ、思考力が取られるってのはどういうことだ?」
あれか?さっきの頭が強引に使わされるような感覚のことを言っているのか?
「ああ、言っていなかったね!
実は、魔法を使う時に必要なのは二つあるんだ!
一つ目はMP、2つ目は思考力!
MPは皆のMPから普通にとるけど、思考力は魔法を使う時に自動的に使わされる仕組みとなっているんだ!
ちょっと気持ち悪いかもしれないけど、慣れてね!
因みに、思考力は強力な魔法になるほど沢山使わせられるよ!
気をつけてね!」
成る程、要するにこのゲームでは詠唱をする代わりに思考力を使わさせられるタイプなのか。
VRならではのシステムだな。
一応思考力の吸収について纏めてみると、
・強い魔法になると沢山の思考力が必要になる。
・魔法名を口に出さないと思考力が大幅に必要になる。
こんな感じか。二つしか要点無いけど。
それを理解した俺は、無詠唱を試すことにした。
(『ファイアーボール』!)
俺が使える、最も強い魔法。
行使すると同時に俺の思考力が又もや遣わされるが、別段たいした量は使われなかった。
この程度ならば、気にすることもないだろう。
そう考えてると、『ブルースライム』の頭上に30ダメージ! という表記が出た。
と同時に『ブルースライム』のHPバーが全損し、『ブルースライム』が光の粒子となって消えた。
《『ブルースライム』を倒しました。》
「よーし!チュートリアルはここまで!じゃ、頑張ってね!」
アリスがそう言うとともに、再び俺の視界は白く染まった。
視界が再び戻ると、そこにはさっきと変わらない光景があった。
要するに、さっき倒したはずの『ブルースライム』が目の前にいた。
どうやら、あの場所はチュートリアル部屋かなんかだったようだ。
HPもMPも全快している。
それを理解した俺は、寺坂の肩を叩いた。
「寺坂。DEXの確認をするぞ。」
「あ、ああ。」
我に返った寺坂は、慌てながらも綺麗にヘヴィソードを振りかぶり、降ろした。
その動きは綺麗で、一種の芸術となる、筈だった。
急に、剣の軌道が変わり、『ブルースライム』を避けるように剣が動く。
「「!?」」
寺坂も驚いている所を見ると、単純にミスった訳ではないのだろう。
成る程、コレが………
「DEX0の恩恵って訳か……………。」
「そんな恩恵要らねえよ!?つーかこれ恩恵じゃなくてただの呪いだし!」
「いや、てかさ、普通に力強く握って速く振り下ろせばDEXの補正に抵抗できるんじゃねえの?」
「どういうこと?」
「それってさ、振ってる最中にDEXの補正を受けて軌道が曲がるってことだろ?
だったら単純に力強く握ってDEXの補正に対抗したり、速く対象に剣を届けることでDEXの補正を受ける時間を減らせばいいんじゃないのか?」
「お前、頭いいな。
早速やってみるぜ、『スラッシュ』!」
おお、これがコイツのスキルか。
ヘヴィソードが淡く光ると、そのまま寺坂が袈裟斬りを『ブルースライム』に当てた。
いや、ぶっちゃけDEXの補正のせいで掠っただけだけど。
それでも、ギリギリ命中した。
と同時に、『ブルースライム』の頭上にダメージが出る。
43ダメージ!
「ファッ!?掠っただけだよな!?」
勿論『ブルースライム』のHPバーは一瞬で消し飛び、そのまま光の粒子となった。
《ブルースライム をパーティメンバーが倒しました。》
「「…………………。」」
二人して絶句する。
流石にこれはちょっと攻撃力がおかしい。直撃したらどうなるんだ。
とりあえず、一言だけ言っておこう。
「きんにくの ちからって すげー。」
あとで聞いたが、物凄く虚ろな声だったそうだ。
1日目
シルト 男 レベル1
HP 100/100 MP 163/163
STR 0(0)
VIT 0(0)
INT 40(47)
MND 0(0)
DEX 0(0)
AGI 60(49)
スキル
火属性魔法 レベル3
ファイアーボール フレイムバレット
魔力探知 レベル1
危機一髪 レベル1
空間魔法 レベル1
跳躍強化 レベル1
中二病 レベル3
スキルポイント 0
武器 レッドスネークの本 本
INT+7% AGI+3% 火属性魔法+6%
上防具 ノービスウェア(上)
下防具 ノービスウェア(下)
アクセサリ1 なし
アクセサリ2 なし
†TERROR† 男 レベル1
HP 262/262 MP 100/100
STR 100(120)
VIT 0(0)
INT 0(0)
MND 0(0)
DEX 0(0)
AGI 0(0)
スキル
剣術レベル4
スラッシュ ワイドスラッシュ
歩行術レベル3
ステップ
危機一髪レベル3
スキルポイント 0
武器 ヘヴィソード 両手剣
STR+20% AGI-10% DEX-10%
上防具 ノービスウェア(上)
下防具 ノービスウェア(下)
アクセサリ1 なし
アクセサリ2 なし
感想、評価、感想を頂くとモチベが上がって次話をちゃちゃっと書き始めるかもしれないです(/ω・\)チラッ