第一章 悪魔なメイド(1)
・・・・ふむ。意味が分からない。
俺は確か古本屋で脱線したであろう電車に激突して死にかけててさっきまで「無の世界」にいたらしい。
なのに俺は今自宅のベッドにいる。
そして俺の側で立っているこの・・・メイド服を着ているこの若い茶髪の女性は誰だ?
ふむ夢か。あれだ、夢ならつねればいいと聞いたことがある。よしっ、一度つねってみるか。
「いってぇ」
つねって見たがやはり痛い・・・
すると側にいる女性が手を上げた・・・
「ん?」
パッシーン!!
「いってぇー!!」
いきなり殴られた・・・。
しかも凄い音がしたぞ?
今まででくらったダメージで一番痛い・・
いや2番目か。さっき死にかけていたのだから。
というか、全く意味が分からない・・・・。
俺が痛みを堪えてその女性を見るとその女性がおもむろに口を開いた。
「もしかして夢だと思ってるのですか?夢ではありませんよ?先ほどの会話をお忘れですか?あなたは生きながらえたのですよ。まさかお忘れなわけがありませんよね?マスター。」
凄く怖い笑顔で言ってきた。
・・・・つまりこいつがあの悪魔(?)か?
「お前・・・女だったのか?それよりも俺はさっきまで古本屋にいたはずだぞ?何故ここにいる??」
「マスター、失礼ですね。レディーに『お前は女か?』って聞くなんて。後でいじめますね?そうですよ、マスターの言うとおりです。マスターは古本屋のあった場所で生き返りましたよ?でもあんな場所で生きてる人間なんているはずがないでしょ。だからマスターの財布に入ってた生徒証を頼りにこの家までマスターを運んできたんですよ。てかさっさと起きちゃってください。顔を下に向けるの疲れます。」
「お前・・・どうやってこの家に入った?それよりお前さっきとかなりキャラだいぶ変わってないか?」
するとこの女はため息をついて言った。
「はぁ・・・・。さっさと起き上がりやがれと言っているのですよ、マスター。何ですか、今すぐ殴られたいですか?10秒以内に起き上がらないと殴りますよ?10・・・9・・・8・・・」
俺はさっきの痛みを思い出しすぐ起きた。
「分かった分かった。ほら起きたから・・・
質問に答えてくれ」
またこの女はため息をつきながら言った。
「はぁ・・・仕方ないアホなマスターですねえ。家にはあなたのズボンのポケットにあった鍵を使って入りましたよ。私がこの世界にくる時にある程度のこの世界の常識は知りましたよ。で・・・キャラが変わったって?変わってませんよ?元からこれです。もうこれでいいですか?もう夜です。食事にしましょう。言っておきますがもう私はもう単なる人間ですのでご注意を。だから勿論お腹も減りますし、呼吸もしますし死にもしますし・・・勿論マスターをいじめたくもなります。この世界の人間に転生する時に元々さっきの世界でもっていた力を失いましたのでそれは仕方ありません。むしろ感情を持てて嬉しいくらいです。」
力を失っただと?・・・・色々とこいつに言いたいこと、突っ込みたいことはあるが確かにこの女の言うとおり、お腹は空いてる気がするしこのまま自分の部屋で話す必要もない。とりあえずリビングにいくか。
だが・・・・
「分かった。あまり今の状況を理解できないが下へ行こう。だが俺をマスターと呼ぶ」
『ぐうぅぅぅ〜』
「・・・・のはやめろ。」
・・・・むっちゃ恥ずかしい。
会話中にお腹がなるとは・・・
この女笑ってやがる。
「クスクス・・・ええ、じゃあなんて呼べばいいのですか〜?食いしん坊の方がいいですか?」
「もうお前の好きにしろっ!下のリビングへいくぞ!」
俺は恥ずかしくてこの女を無視して下のリビングへ向かおうとした。
すると後ろからにこやかな声でこう言われた。
「そうそうマスター。この部屋にマスターの年齢にふさわしくない本が何冊かありましたので処分しておきましたよ?いいですよね?」
ふむ・・・ここでダメだと言えるはずがない。この家に俺の人権ははたしてあるのだろうか。
・・・・・・to be continued