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第十五話  ダミートラップ

登場人物


乙姫羽白オトヒメハジロ

 本作の主人公。

 性格が残念で変わり者な所がある。

 本人曰く、手先が器用な事と体を鍛えている事が長所。


●麦蒔まゆり(ムギマキマユリ)

 学校一の超絶美少女にして学年一の才女。

 しかしその正体は、性格が残念すぎる唯我独尊女。

 家から近いというだけの理由でこの高校に通っている。


●白鳥えみり(シラトリエミリ)

 茶髪でミニスカな、よくいる今風女子高生。

 顔は可愛くてスタイルも良い。誰にでも明るく接する性格。

 学内のリア充カーストで上位に位置する。


●朱鷺やよい(トキヤヨイ)

 一年A組担任にして生活指導担当教師。担当科目は国語。

 三十?歳で未だに独身。

 羽白曰く、見た目もスタイルも良いらしい。


   第十五話  ダミートラップ



 次の日の放課後。今日はもう週末だ。

 ぼくらは学生会室に集まって会議をすることにしていた。

「それで、D組の駿河秋沙ってのは関係なさそうだったのか?」

 昨日の尾行の件を話すと、やよい先生はそう確認してきた。

「はい、あれは関係ないと思いますよ……」

「どうやら結構有名なんだそうよ」

 ぼくが返答すると、麦蒔がつけたすように言った。

「気持ち悪いオタクがいるって。私のクラスの子達にそれとなく聞いてみたわ」

「うんうん。あたしもクラスで聞いてみたけどさ、女の子がエッチな格好したアニメとかを持ってきて見てるんだってさ。D組の中でも誰とも話さないらしいし……」

 白鳥も補足するようにそう言った。それを聞いたやよい先生は「ふむ」と言い、納得した様子でつぶやいた。

「乙姫予備軍ということか……。今度なにかで呼び出して指導してみるか……」

 人の名前を問題児の伏字みたいに使うな!

「いや、お前ほどの問題児は他にいないだろ。そんなこと言うと駿河に失礼だぞ」

「乙姫くん。駿河って人に失礼よ。謝ってきなさい」

「いやいや、まゆりん。謝るなら、ちゃんと地面におでこを着けないとだよ」

 何でここは敵だらけなんだよ! しかも最近は白鳥も酷いよね……。

「乙姫くん。話が進まないわ。自分自身にバニシュとデスを唱えてくれるかしら?」

 チート技とか懐かしいな!

「麦蒔……。お前ホントはいくつだよ? 乙姫もなんで知ってるんだよ……」

「ねえねえオッツー。『バニシュトです』ってなーに?」

 白鳥、とりあえず気にすんな……。

 ぼくは「ってか、話進めさせてもらいますけど」と前振りを入れて、話を元に戻した。

「一応、次の作戦を考えてはいるんですが――」

「ほう。それが本当ならば凄いじゃないか。私なんて『和泉の下駄箱にダミーの手紙を入れてみる』くらしか思いつかなかったよ」

「乙姫くん。本当に凄いわよ。私も『その下駄箱を見張る』くらいしか思いつかなかったもの。どんな作戦があるのか聞かせてもらいたいわね」

「……………………和泉の下駄箱にダミーの手紙を入れてみて、……………………その下駄箱を見張る……………………」

「…………からの?」

「ねえよ! まさにそれだよ! 悪かったな、たいしたこと思いつかないで!」

 ぼくが話を進めようとしたのだが、やよい先生と麦蒔に割り込まれた。そしてこの仕打ちだ。いったい何のご褒美なんだよ、これは!?

「だ、大丈夫だよオッツー! あたしも何も思いつかなかったし」

 もって言うなよ。せめてそれくらいは思いつけよ。ってか、白鳥に慰められるとか何かに負けた気がする……。

 落ち込んでいるぼくを無視して、やよい先生は机の下に置いてあった紙袋を机の上に置いた。

 中からは色々な機材とかパソコンが出てきた。

「とりあえず、和泉の下駄箱を見張れるような監視カメラを設置するぞ。乙姫、ちょっと下駄箱に行って取り付けて来い」

「へぇー。なんか本格的な機材ですね」

 ぼくは素直に感心してしまった。

「資金提供は私よ」

 と麦蒔。ぼくの感心を返せ!

 ってか、お前ホント羽振りいいな……。

「最近、なぜだか知らないのだけれど、私の財布に大金が入っていたのよ……。きっと私が善良すぎて神様が恩賞をくれたのね」

「何その露骨な記憶改ざん!? かつあげして得た金だろが!」

 お前のそのポジティブシンキングが恐いよ……。

 そんな麦蒔を無視して、ぼくはやよい先生に質問をした。

「ところでやよい先生。良く学校の許可が下りましたね。監視カメラの設置なんて」

 学校の中にカメラを設置するなんて会議やらなんやら色々しないと難しいだろうし。プライバシーだとかなんとか問題視する教師も多いだろう。しかも特定の生徒の下駄箱だけとか許可とるの難しいだろうに。そんな問題をどうやってクリアしたのだろうか。

「は? 許可なんて下りるわけないだろ」

 おい、こら、そこの教師。なに言ってるんだよ?

「まあ、あれだ。見つかったら乙姫が一人で勝手にやったって事で」

「しかも、ぼくの責任にされるの?」

「乙姫くん、重要任務よ。私も陰ながら応援してるわ」

「そんな任務いらないよ! 陰じゃなくて表で応援して欲しいよ!」

「オッツー! 何が問題なのかわからないけど頑張れ!」

「お前はもう喋るな! 少しは話を理解しろよ!」

 とか何とか言ってはいたものの、機材の設置は意外に面白くてノリノリでやってしまった……。手先が器用なぼくは、工作とか技術とか服飾とか、物を作る授業が大好きだったりするのである。

 一時間ほどで設置を終えて、学生会室に設置したパソコンに下駄箱の様子が映し出された。

 そのパソコンを覗き込むようにして見ていた白鳥は「すごーい。本当に映ってるー」とか言って感心していた。

 やよい先生も「ふむ。乙姫にしては上出来だな」とかツンデレしてた。

 しかし、こんな事でも褒められると嬉しいものだな。誰にも見つからないように苦労して作業した甲斐があったな。

 そんな感じでぼくがちょっと喜んでいると、麦蒔もぼくに声をかけてきた。

「乙姫くん、とうとう実際に罪を犯してしまったのね。はやく自首してきなさい」

 やっぱり麦蒔は酷かった。




読んでいただきまして、ありがとうございました。


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