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第十三話  名探偵・白鳥えみり

登場人物


乙姫羽白オトヒメハジロ

 本作の主人公。

 性格が残念で変わり者な所がある。

 本人曰く、手先が器用な事と体を鍛えている事が長所。


●麦蒔まゆり(ムギマキマユリ)

 学校一の超絶美少女にして学年一の才女。

 しかしその正体は、性格が残念すぎる唯我独尊女。

 家から近いというだけの理由でこの高校に通っている。


●白鳥えみり(シラトリエミリ)

 茶髪でミニスカな、よくいる今風女子高生。

 顔は可愛くてスタイルも良い。誰にでも明るく接する性格。

 学内のリア充カーストで上位に位置する。


●朱鷺やよい(トキヤヨイ)

 一年A組担任にして生活指導担当教師。担当科目は国語。

 三十?歳で未だに独身。

 羽白曰く、見た目もスタイルも良いらしい。


   第十三話  名探偵・白鳥えみり



 その日の放課後。

 ぼくと麦蒔と白鳥は、この辺りで一番大きな駅にいた。別に買物や遊びなんかの目的で来たわけではない。

 ぼくたちが何をしようとしているのかと言うと……。

 一言で言えば『尾行』だ。

 何でそんな事をしてるのかと言うと、昼休みも終わろうとしたあの時、白鳥が学生会室に駆け込んできて、こんなことを言ったからである。

「あの日、進路希望別の説明会の日、私より前の方かつ隣の列で、あの角度の写真が撮れる席に座ってた人がわかったんだよ!」

 進路希望別の説明会の日、そいつは窓側から二列目の一番前の席にいたんだそうで。

 駿河秋沙。

 一年D組所属。部活には入っていない。いわゆるオタクと言われる人種で、クラスの中でも浮いている存在だ。

 このプロフィールだけ見て白鳥は「絶対こいつだ! だって気持ち悪そうじゃん!」とはしゃいでいた。気持ち悪いから犯人って何が根拠なのか知りたいのだが……。

 とは言え、D組に所属してるってのはポイントが高そうな気がする。

 駿河はクラスで浮いていて友達がいない。なのでクラスの中に自分と同じ事(盗撮)をしてる人がいると知っても、直接的に声をかけたりはしないだろう。

 そのため、こういった回りくどいやり方をしたのではないか、と言う推論だ。

「尾行しよう尾行! だってその駿河って奴がどんな人間なのかわかるじゃん!」

 と白鳥が騒いだので、ぼくは仕方なく付き合うことにした。

 しかし、麦蒔は意外にも「……あなたたち二人で行きなさい」と消極的であった。なんでであろうか?

 でも白鳥が「まゆりんも一緒じゃなきゃ嫌!」とか騒いだので、結局三人で行く事になった。

 それで。

 駿河が教室を出るところから尾行を始め、今にいたるという訳で……。

「あ、改札出てまっすぐ東口の方に行くな……。郵便局に用事なのかな?」

「そうだよね。この道だと郵便局くらいしかないし……」

「…………」

 ぼくは人混みを避けながらも、駿河を見失わないように必死だった。ぼくのすぐ隣には、白鳥がぴったりと張りついている。麦蒔はぼくらの一歩後ろを無言で歩いていた。

「あれ? 郵便局は通り過ぎちゃったぞ……。あっちって何かあったっけ?」

「わからないよ……。なんだろう?」

「…………」

 うーん……。

 駿河も気になるんだが、後ろの子はもっと気になるんだよな……。

 終始無言の麦蒔を気にしてチラチラと後ろを振り返ってみたのだが「大丈夫よ、ちゃんといるわよ」と言ってまた無言になった。なんか怒ってるのか?

「そんなに気になるのなら、これでいいでしょ?」

 と言って、麦蒔はぼくのブレザーの後ろをつまんだ。まあそれならば無言でいても逸れたりしないだろうからいいけどさ……。

 とか何とかやっていると、白鳥がぼくの右腕をぐいぐいと引っ張った。

「オッツー、あれ、あれ。あそこに入って行ったよ?」

 駿河はどうやら目的地にたどり着いたようだ。えーっと、ここは……。

「アニメイト?」

 というお店のようだ。ってか、店頭のTVでアニメが放映されてるのだけれど、名前の通りのお店って認識でいいのかな?

「あーえっと……」

「これは……」

「…………」

 お店に入ると、可愛らしい女の子のキャラクターやキャラクターやキャラクターが出迎えてくれた。パット見はそんな感じだが、売っているものは本のようだ。そういったキャラクターが表紙の漫画やらなんやらしか置いていない本屋さんって所なのかもしれない。

 そんな感じで店内をうろうろしていると、駿河を見つけた。

「あ、いたよ……」

「うわ、カゴに本がいっぱい入ってるね……。あれ全部買うのかな?」

「…………」

 カゴいっぱいの本を購入した駿河は、店を出ると駅の西口側へ向かって歩き出した。ぼくらもそれを尾行する。そして到着した所は……。

「今度はゲームセンターか?」

 しかし駿河の目的は、店の入り口付近にある景品獲得型のゲーム、通称UFOキャッチャーのようだ。何を狙っているのか見てみると……。

「あれは、なんだ? 女の子の形をした人形?」

「……うん。人形じゃないかな?」

「…………」

 駿河は女の子キャラクターの人形をはじめ、三個の景品を獲得していた。

 後でネットで調べてみたのだが、最近のUFOキャッチャーの景品には、アニメの女の子キャラクターのフィギュアとか、そのキャラクターが描かれた商品(時計とかマウスパッドとか)があるのだそうで。

 景品を袋に入れた駿河は店を出て、すぐ隣にあるゲームセンターへと入っていった。

「…………」

「…………」

「…………」

 またもUFOキャッチャーでアニメキャラクターの人形や商品を獲得していた。

 細かく述べるとメンドクサイので、残りはざっと説明するが。

 その次はまたも漫画がいっぱい置いてある本屋さんだった。そこでも本を買っていた。

 その次もまた同様の本屋さんだった……。

 その次と次はゲームセンター……。

 その次はまたも本屋さん……。

 その次はゲームセンター……。

 最後にブックオフ……。

 そうして駿河は、購入した本やらゲームセンターの獲得品やらを両手いっぱいに持って、改札口の中へと消えていった。

「…………」

「…………」

「…………」

 うーん……。

 なんて言うか、多分ぼくらは同じ結論にたどり着いてしまったのだと思う。

「ぼくは、あいつは違うと思う」

「うん。あたしも違うかなって思った」

「…………ええ、あれは違うわね」

 あれだけアニメ世界にどっぷりなオタクさんならば……。

 現実世界の女の子には興味ないだろうな、きっと……。




読んでいただきまして、ありがとうございました。


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