突然でっかくなってしまった私。みんな、ごめん(ウソ)
※挿絵は生成AI画像です。
※この作品の解説を追記しました。
ZZZ……。
むにゃむにゃ……あーよく寝た。……えっと、スマホスマホ。
どれどれ。……なーんだ、『いいね』はこれっぽっちかぁ。
……はぁ、ゴロゴロしよ。
……ん? なーんか、部屋が小さいような?
……あれ? 部屋がどんどん小さくなって、壁がせまってくる……? あ、やばいやばい、ぶつかる……!
ズドドーン。
あっちゃ~、アパートが壊れちゃった。よいしょっと。
あれ? もしかして、あたしが大きくなってるの? あ~、みんな見てるよ見てる。あたしを見てる。
あっ、近所のおばさんが、あたしの事をひそひそ言ってる。
……あ、あれ?
あたし、さっきより大きくなったような……? あー、アパートの横が公園でよかった~。ここに足というかあたしの身体を置こうっと。
それにしても、こんだけあたしの体が大きくなってるのに、あたしの服は破れないのね? いっしょに大きくなってるみたい。
ほっ♪ よかった。
でもあたし、寝てた時のまんまの恰好じゃん。T-シャツに短パン。ちょっと恥ずかしいかも?
あ、あれクラスの男子じゃん。カズシくんに、ハジメくんもいるじゃん。ん? 何か言ってる。
「あれ、サトコちゃんじゃね?」
「……そうだな」
「……でっけえな!」
「うん、すごいなあ……でかい」
──え、そうかな? そうよね、あたし、すごい大きいもんね。……あれ?
あたし、小さくなってく……。
おはよう、カズシくん、ハジメくーん。
「あれー? サトコちゃん、小さくなったな~」
「ほんとだ」
「な~んだ。行こうぜ」
あれ、行っちゃうの? え~、待ってよぉ……。
待ってったら……あ~、あれ!?
あたしの身体が、どんどん……!?
ああ、すごい勢いで、あたしさっきより大きくなってく。公園やみんなが小さくなる。
……あ、止まった。
わ、みんなあたしを見てるよ。手のひらサイズの人たちが集まってくる。
どうしよ? なんか、大勢集まってあたしを見てる。でもさ、おっきくなってるから、あたしの顔、見えないよね? みんな。
よし、あたし、かがんじゃおう。
はい、どうぞ~。あ・た・しだよ♪ あ、みんなびっくりしてる。かわいい~。
みんな、ざわざわしてるな……、どっしよっかな? あ、そうだ。あたし、歌おうっと♪
みんな。あたし、歌っちゃうよ~♪ えっと、『あたしの宇宙♪』歌いま~す。
~♪ ♪ ♪ ~
──パチパチパチパチパチ
ちょっとドキドキしたけど、みんなあたしに拍手してくれてる。
ん、あたし、なんかシュルシュルっと小さくなってる?
みんなの顔がはっきり見える。
あたし小さくなったんで、みんなの声も聞こえるようになった……なになに?
「ひっどい歌よねえ?」
「そうね、ぶりっ子しちゃってさ~」
え、ひどい(悲) なんでそんなこと言うの!?
あっ、あたしの身体が~!?
わわわ、どんどんあたし大きくなる。さっきより大きくなってるよ。
みんながアリさんみたいになっちゃった。どうしよ、どこにあたしの足を置けばいいのかな?
よく見えないけど、あたしの下の方は大変なことになってるんじゃないのかなあ?
これって、みんな迷惑してるかな? あたしのせいで、家とか壊れちゃったの?
ゴメ~ン。みんな、怒ってるかな?
……あ、あれ、また!?
またあたし、どんどん大きく……というか、高くなってる。あ、雲だ。日本列島が見えるよ~。
まだあたし、止まんないよ~。
えっ、暗い? これって宇宙? あ、地球あるじゃん。かわいい~。はい、手乗り地球っと♪
みんな、ここにいるの? おーい。おーい?
ねえ、みんなどうしたの? 誰かあたしを見てよ。ねえ。
あれれ、地球ちゃんが小さくなってく……。見えなくなっちゃった。太陽さんしか見えないよ。
太陽さんも、どんどん小さくなって、針の先みたいな光になっちゃった。
な~んにも見えなくなっちゃった。星しか見えないよ。でも、あたしまだ大きくなってる気がするんだよね~。
おーい、誰か~。……返事がない。誰もいないの……?
あ、でもまだあたし大きくなる。
あたしどれくらい大きくなるのかな。
…………
……
宇宙と同じ大きさになったよ。
※解説
自我を捨てると、自分と世界の境界がなくなり、宇宙と一体になるそうです。
しかし、逆に、自我が極限まで肥大した場合も、同じように自我=世界(宇宙)となるのでは? というのが、作品のコンセプトです。
もし、人々の自意識が、体の大きさに比例するならどうなるのか……? ということを、ひとりだけにスポットをあててみました。




