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誕生日は黒猫の日

作者: 葵枝燕

 こんにちは。葵枝燕です。

 今日、十月二十七日は、私の誕生日です。なので、毎年恒例の“誕生日モノ”、です! 今年も誕生日ギリギリの投稿になってしまいましたが、そもそもギリギリ二十七日生まれですから、ちょうどいいんじゃないでしょうか、ね(毎回言い訳すみません)。

 今回も無理矢理誕生日モノにした気がする感じになってしまいましたが、読んでいただけたら嬉しいです。

 (ゆず)()が待ち合わせのカフェに着いたとき、()(ふう)は既にハヤシライスを半分以上食べ終えていた。

「ごめんね、遅くなって」

「いいよ、気にしないで」

 波風はそう言って、譲理にコップに入った水をすすめてきた。「飲んでいいの?」と言いながら、譲理はそれに口を付ける。

「注文ってどうすればいいの?」

 初めて来たカフェで勝手がわからず、譲理は波風に(たず)ねた。波風は、譲理の背後にあるカウンターを指差し、そこで注文するよう促す。

 カウンターに向かった譲理は、ショーウィンドウの前で悩むように視線を彷徨わせてから、注文を済ませて波風の待つ席に戻ってきた。

 そして、

「ジャーンッ! 見て!」

と、指先を向けるように両手の甲を波風に見せた。

 譲理の爪先は、青灰色と紫色のフレンチや、ラメやストーンで飾られていた。薬指の爪先には、金色のストーンでできたリボンを持った黒猫がいる。数時間前に家を出たときの譲理は、お月見モチーフのデザインネイルだったが、そこからガラリと変えたデザインだった。

「いいじゃん。似合ってる」

「でしょ? これで、オフ込みで七千円いかないの、信じられる?」

 そう言ってスマートフォンを触っていた譲理が、はたと手を止める。そして、その画面を波風に向けて差し出してきた。

「見て見て。今日って、〝黒猫の日〟なんだって」

 譲理の向けてきた画面には、今日が〝黒猫の日〟になった所以が書かれていた。イギリスの動物愛護団体が、保護猫として引き取り手のあまりいない黒猫の譲渡率促進のために制定した日——らしい。

「知ってたの?」

「まっさかー。偶然だよ、偶然。今日、イコール、〝テディベアの日〟って認識しかなかったもん。あと、なんだっけ——読書の日的なやつ?」

 そう言って、嬉しそうに黒猫のネイルを見つめる譲理。そんな譲理を、微笑ましげに見つつ、波風は言う。

「誕生日、おめでとう——譲理」

「……ありがと。ついに三十路ですわよ」

 嬉しそうに、照れくさそうに、譲理は笑った。波風は、手元にあったコップを譲理の元に滑らせつつ、

「飲む?」

と、勧めた。中身は、茶色に透き通った液体——コーヒーである。

「いらない」

「いいから。アメリカンだから」

「だから、薄いから飲めるって? んなわけあるか」

 渋る譲理に、なおもコーヒーを勧める波風。仕方ないとばかりに、譲理がコーヒーに口を付ける。

「あ、飲めそ……」

と、言ったのも束の間、譲理が顔を歪ませたのは、また別の話である。

 あとで書く、はず。多分。すみません。

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