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第3話 打ち明ける

これまでの登場人物

●神城 冬夜 (かみしろ とうや) 15歳 男性

 前の世界では両親の虐待とクラスメイト達のいじめで心を閉ざした。

 のちに両親への反抗として財布から現金を奪ったのちに

 コンビニへ行こうとしたところ…

 信号無視のミニバンに轢かれて死んでしまった。

 新たな世界では空き家にクワとジョウロと虹色の種

 そして分厚い農業の本があったため

 1人で食を確保しようと奮闘することになる。


●赤い瞳の少女 年齢不明 女性

 悪魔の村で暮らす少女。見た目は冬夜より少し年上ぐらい。

 人間と触れ合うのは実は初めてだが

 『学校の男子たちと同じように話せばいいでしょ!』の

 気持ちで話しかけているため、時々距離感がバグることがある。


 ジョウロに水を汲んだ冬夜(とうや)

 先ほど会った赤い瞳の少女を連れて畑へ戻ってきた。


 もう芽が出てる。

 少女は緑色の芽を出す植物に興味津々のようだ。


少女「なぁにこれ?芽が緑色だなんて珍しいわね。何を植えたの?」


 少女は完全に興味本位で訪ねてきた。


冬夜「家の中にあった虹色の種を植えたんだ。

   どうやら頭の中で野菜をイメージして植えれば

   本当にその実がなるらしいんだけど…。」


少女「その…トマト?っていうのがコレ?」


 少女は"トマト"という言葉を初めて聞くようで、ますます疑問が深まる。


 すると、少女の目つきが変わった。まるで獲物を見定めるライオンのように。


少女「アンタ、よく見たらこの世界の人じゃないわよね…?」


 鋭い目つきを冬夜に向けたまま少女は続ける。


少女「魔法が使えなくて、弱そうだけど…。

   でも何かに対する強い怨念を感じるわ…。」


 冬夜は少女に何かされるのではと思い顔を隠し防御の構えをとる。


冬夜「ひィッ!!せっかく親や同級生からの

   罵詈雑言から解放されたと思ったのに…!!」


 すると少女は鋭い目つきから一転、きょとんとした表情に変わった。


少女「親から罵詈雑言…?どうして親が子供にそんなことをするのよ?」


 少女に疑問の連続が続く。

 冬夜は深呼吸で心を落ち着かせ、少女にここに来た経緯を話す。


冬夜「実は僕、ここに来る前は違う世界にいたんだ。

   ここより道はしっかりしてるけど…建物だらけで

   おまけに頭のおかしい人が多い。」


 冬夜は話を続ける。これまでいた世界に対する怒りをぶつけるように。


冬夜「本とかで、子供と親が仲良くしているのは

   空想や物語の話だけかと思ってたんだ…。」


 少女はその話を聞いて1粒の涙が頬を伝う。


冬夜「そして、お店に向かって歩いていたら…

   道のルールを守らない人に思いっきりぶつけられて…。」


 彼が前の世界でどれほど痛い思いをしたのか。

 どれほど他人に理解されずに生きていたのか。


冬夜「もう限界を迎えて意識を失って…。

   次に目を覚ましたら、ここにいたんです。」


 冬夜がここに来た経緯を話し終えると

 少女の涙は止まることを知らず流れ続けていた。


少女「アンタって…誰にも愛されず

   あの世界で生きていたって事なの…?」


 冬夜が小さくうなずくと、少女は冬夜に抱きしめてきた。


少女「ごめんなさい…ごめんなさい…!

   最初は弱そうだとか、『畑なら耕せるでしょ?』とか

   バカにするような態度をとってしまって…!」


 冬夜は突然の出来事に顔が赤くなる。

 それと同時に、悪魔に対するイメージが思いっきり変わることになった。


少女「ねぇ…!日も暮れてきたし、水やり終えたら

   今日はアタシの家で止まっていかない!?」


 突然の提案。どうやら少女も人間に対するイメージが

 180度変わっていったようだ。


冬夜「え、悪いよそんなの…。

   キミの親御さんに迷惑かけるかもしれないし…。」


 しかし少女は冬夜の反対を真っ向から切り捨てる。


少女「そんなことない!!それに…

   アンタがこんなボロ家で寝泊まりするなんて

   考えたくないのよ!!」


 そして少女は冬夜の持つジョウロを奪い、芽に水を与える。


少女「今日は絶対アタシの家で寝泊まりさせるんだから…!!」


 水を与える少女の眼はメラメラと燃えていた。


 そしてジョウロの水が空になったのと同時に

 少女はすべての芽の水やりを終えたのだ。


少女「さ!アタシの家へ行きましょ!」


 そう言って少女は冬夜の手を引っ張って村へ走り出す。


冬夜「う、腕が取れちゃうよぉ…!!」


 少女は冬夜の壮絶な過去を聞いてからは

 『この人間を守りたい』そんな気持ちが芽生えることになる。




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