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第22話 再復活、大天使の見守り

これまでの登場人物

●神城 冬夜 (かみしろ とうや) 15歳 男性

 交通事故で死んだ後この世界にやって来て

 トマトを作っていたら2つの国の戦争を終わらせ

 5人の新規同居者に恵まれた。


●セラ・トミーガーデン 195歳 女性

 トマトの村で暮らす少女。見た目は冬夜より少し年上ぐらい。

 人間と触れ合うのは実は初めてだが

 『学校の男子たちと同じように話せばいいでしょ!』の

 気持ちで話しかけているため、時々距離感がバグることがある。

 冬夜のことがますます気になってきたようだ。


●セリカ 年齢不詳 女性

 蜘蛛族で下半身が本物の蜘蛛のように変身できる。

 額にも目が2つあり、視力はかなり良い。

 おっとりした性格で大抵はニコニコしている。


●シルビア 年齢不詳 女性

 手先が器用で裁縫が得意なダークエルフ。

 何に対しても興味を持ち、常に元気。

 作った服を村人たちに着てもらい

 喜んでもらうことを夢見ている。


●ティアール 年齢不詳 女性

 ヴァンパイア族で見た目は冬夜を除いて1番幼い。

 控えめで素直な態度をとる性格で、血を扱う魔法が使える。

 自己主張をしたがらないので

 相手に押されてばかりなこともしばしば。


●インテグラ 年齢不詳 女性

 猫耳を付けた獣人族。主に治癒の薬を作ることに専念している。

 だが用途通りに使われないことが多く途方に暮れている。

 暗い性格でよく自分を卑下するが

 本人は少しでも何とかしたいと思っている。


●アテンザ 年齢不詳(205歳以上) 女性

 元天使軍の兵士として天使の国を守っていた…が

 実際は拠点の門番役だったらしい。

 大空を飛ぶことに憧れ、自力で曲芸飛行を覚えた。

 いつか冬夜を抱えて雲の上の世界を見せてあげたいと考えている。



 夜が更けて、雲が晴れた。

 月明かりが一段と輝く時間帯になったとき

 冬夜は自身のベッドで目を覚ました。


 周りにはセラたち6人と大天使コスモノスが冬夜を囲んでいた。


セラ「冬夜ぁ…!!また生き返るなんて思わなかった…!!」


 セラは冬夜に抱き着き涙をにじませる。

 いきなりの抱擁に冬夜は多少戸惑ったが、すぐに抱き返した。


 冬夜はあたたかい。


 そのぬくもりを感じ取ったセラはさらに強く抱きしめる。

 冬夜は若干苦しそうな表情をしたが

 3度も殺された時の痛みに比べれば、全くもって平気だった。


 コスモノスは6人が笑顔になった様子を見て、釣られて笑顔をこぼした。


コスモノス「彼は…ここ悪魔の国や、僕たち天使の国を救っただけじゃなく

      こんなにも彼を大事にしてくれている仲間がいるんだね。」


 しばらくの抱擁が続いたあと、冬夜とセラ以外は部屋を出た。


 6人がリビングへ向かう途中、コスモノスがこんなことを聞いてきた。


コスモノス「そういえばここに到着した時、やけにいい匂いがしたんだけど…。

      あれは何だったんだい?」


 その答えにセリカが笑顔で答える。


セリカ「あれはカレーっていう、冬夜さんが前に住んでた世界で

    すごくおいしいと評判だった料理なんですよ~!」


コスモノス「ほう…冬夜くんは異世界からやってきたってことか。」


 直後、コスモノスの表情が真剣な目つきに変わる。


コスモノス「近頃、遠く離れた鳥人(ちょうじん)の国で、異世界人召喚をやるらしいんだ。

      30年前にも召喚をしたらしいんだが……。」


 30年前、鳥人の国では魔法の技術がほかの国よりも発展し

 これまで誰の手にも実現できなかった異世界からの召喚魔法を

 唯一実現できたという国。


 この件は他のどの国からも一目置かれ、尊敬する国もあれば

 危険で非難すべきだと言う国もあった。


 だが、召喚された異世界人は、鳥人の国での洗脳に失敗し

 戦闘員のツメで身体中をズタズタに引き裂かれて殺されたという。


 コスモノスは鳥人の国での惨状を話し終えると、少し微笑む。


コスモノス「冬夜くんを最初に見たとき、異世界人なのかと思っていたけど

      敵意は一切感じなかったね。

      だから、鳥人の国から来たわけではないと

      ひと目で分かったんだ。」


 するとコスモノスは肩を落としため息をついた。


コスモノス「はぁ…ボクもカレーとか言う料理を食べたかったなぁ…。」


 それを聞いたアテンザはコスモノスを慰める。


アテンザ「でしたら、家の隣にある畑にカレーに使うスパイスが植えてあるので

     収穫して作ってみてはいかがですか?」


 スパイス畑の存在を聞いたコスモノスは一気に表情が明るくなった。


コスモノス「本当かい!?ぜひともボクに収穫させてほしい!!」


 しかし収穫したスパイスはあの時作ったカレーで

 ほぼすべて使い切ってしまったのだ。


 その事実を聞いてもコスモノスは明るい表情のままだ。


コスモノス「なら、再収穫の時期まで待てばいいさ!

      数年程度なら全然待てる!!」


 やはり大天使だからなのか年単位でも「程度」と感じるところが恐ろしい。


 そしてアテンザはスパイスが実るまでの日数を伝えると…。


アテンザ「年単位も待つ必要はないですよ。確か……3日で育ちました。」


コスモノス「3日!!??エェ!?めちゃくちゃ早くない!?」


 あまりにも大きな驚きの声。その声は冬夜の部屋にも聞こえていた。

 冬夜とセラはドアを開け、心配したような表情をする。


冬夜「ど、どうしたんですか…!?」


セラ「ちょっと…!何かあったの!?」


 だが、アテンザは冷静に事情を説明する。


アテンザ「あ、すみません。大天使様が

     あまりにも早い作物の成長スピードに大層驚かれたようでして…。」


 そのことを知ると冬夜とセラはジト目になりコスモノスを見つめた。


冬夜「なーんだそんなことでしたか。」


セラ「あんまり騒がないでよね…。」


 コスモノスは頭を掻きながら謝った。


コスモノス「ごめんごめん…。」


 そしてコスモノスがこんな提案をする。


コスモノス「ねぇ、冬夜くん!よかったらさ

      そのスパイスを収穫させてくれないかな!

      ボクもカレーを食べてみたいんだ!!」


 そのキラキラした目つきは夜空を照らす星々よりも輝いている。

 そんな目をされては冬夜も断れなかったようだ。


冬夜「あ、いいですよ。記憶魔法があれば、本を渡すので

   それで読み取ってもらえると助かります。」


 冬夜は魔王が使った記憶魔法の事を言うと

 コスモノスの目がさらに輝きを放った。


コスモノス「やったぁ!!記憶魔法なんて使うのは670年振りだよ!」


 670年。冬夜がかつて生きていた世界では室町、南北朝時代までさかのぼる。

 冬夜は果てしない年月をアッサリ言うコスモノスに

 思考が一時停止してしまっていた。


 冬夜の思考が復帰すると、部屋から本を取り出し、コスモノスに見せる。


冬夜「これです。」


 カレーの作り方の本を見て、コスモノスは思わず声が漏れた。


コスモノス「おぉおぉお…!!じゃあ早速、記憶するよ…!」


 コスモノスは魔王様と同じように本に手をかざす。

 そして本が勝手にペラペラページがめくれていく。


 やがてすべてのページがめくれ終わると

 コスモノスは冬夜に感謝を伝えた。


コスモノス「ありがとう冬夜くん。スパイスは郵送でお願いね!」


 そう言うと、コスモノスは転移魔法を使って天使の国へ帰って行った。


 アテンザは冬夜に近づき肩に手を置く。


アテンザ「2つの国のトップがあなたの料理を絶賛してましたね。

     これはたくさん収穫できるようにするべきですね。」


冬夜「そうだね。魔王様からもコスモノスさんからも

   材料の調達を頼まれたし、明日の朝から頑張らなきゃね。」


 冬夜は十分に意気込んで部屋に戻り再び就寝することにした。

 そしてアテンザは外に出て雲の近くまで一気に上昇し

 月に向かって誓いを立てた。


アテンザ「神様。冬夜様がこれからも平穏に生きていくために

     私が生涯をかけて冬夜様をお守りすることを誓います。」


 アテンザは月に向かって手を伸ばす。


アテンザ「なのでどうか──

     安心して見守っててください。」


 その誓いに応えるかのように月は黄色い輝きを少し強く放っていた。





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