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第20話 天界は大慌て (残酷描写あり)

これまでの登場人物

●神城 冬夜 (かみしろ とうや) 15歳 男性

 交通事故で死んだ後この世界にやって来て

 トマトを作っていたら2つの国の戦争を終わらせ

 5人の新規同居者に恵まれた。


●セラ・トミーガーデン 195歳 女性

 トマトの村で暮らす少女。見た目は冬夜より少し年上ぐらい。

 人間と触れ合うのは実は初めてだが

 『学校の男子たちと同じように話せばいいでしょ!』の

 気持ちで話しかけているため、時々距離感がバグることがある。

 冬夜のことがますます気になってきたようだ。


●セリカ 年齢不詳 女性

 蜘蛛族で下半身が本物の蜘蛛のように変身できる。

 額にも目が2つあり、視力はかなり良い。

 おっとりした性格で大抵はニコニコしている。


●シルビア 年齢不詳 女性

 手先が器用で裁縫が得意なダークエルフ。

 何に対しても興味を持ち、常に元気。

 作った服を村人たちに着てもらい

 喜んでもらうことを夢見ている。


●ティアール 年齢不詳 女性

 ヴァンパイア族で見た目は冬夜を除いて1番幼い。

 控えめで素直な態度をとる性格で、血を扱う魔法が使える。

 自己主張をしたがらないので

 相手に押されてばかりなこともしばしば。


●インテグラ 年齢不詳 女性

 猫耳を付けた獣人族。主に治癒の薬を作ることに専念している。

 だが用途通りに使われないことが多く途方に暮れている。

 暗い性格でよく自分を卑下するが

 本人は少しでも何とかしたいと思っている。


●アテンザ 年齢不詳(205歳以上) 女性

 元天使軍の兵士として天使の国を守っていた…が

 実際は拠点の門番役だったらしい。

 大空を飛ぶことに憧れ、自力で曲芸飛行を覚えた。

 いつか冬夜を抱えて雲の上の世界を見せてあげたいと考えている。



 ──その頃、創造神たちは天界から冬夜の様子を

 ずっと眺めていた。


創造神「あれから大きな怪我もなく、毎日充実して暮らしているな。

    ぐぬぅ…私だってあのカレーを食べたいぞォ…!」


看護神「そうですね。このまま過ごしてくれたら

    加護を発動しないで済むでしょうし……。」


 看護神の口が突然止まった。

 その直後、看護神は顔から冷や汗が大量に流れだしてきた。


看護神「ど…どど、どどどどどどどどどうしましょう!?」


 看護神は震えが止まらない。

 そして次に出てきた言葉は驚きのものだった。


看護神「発動方法……教えるのを忘れてたぁ…!!」


 その言葉に創造神は絶句する。


創造神「あ、ぁあ…。」


 するとそこに別の神が現れる。


3人目の神「おや、創造神様に看護神様。どうなされたのですか?

      そんなこの世の終わりみたいな顔をされて…。」


 3人目の神はまだ状況を把握できていない。

 そこに創造神が説明に入る。


創造神「えっとね…私の手違いで冬夜くんを悪魔の村に召喚しちゃったの。

    で、1回殺されちゃってここに来た時に

    鋼の肉体って加護を授けたんだけど…。」


 看護神はまだ震えが止まらず自分の意志で動くことが出来ない。

 そこで3人目の神は状況を理解したようだ。


3人目の神「あぁ…それで発動方法を教えるのを忘れちゃったと。」


 そして3人目の神は笑い出す。


3人目の神「あっはははは…!うっかりさんだねぇ2人とも。

      そんなの発動さえする出来事がなければいいだけじゃないか。」


 3人目の神はおおらかに笑うが、創造神は焦った表情から変わらない。


創造神「でもねぇ…この国はね、盗賊や殺し屋などの

    野蛮な連中が多いことで有名なんだよ…!?」


 それでも3人目の神は笑顔を絶やさない。

 そして彼は水晶に映る冬夜を見て優しくこう言った。


3人目の神「冬夜くんって言ったっけ。 彼は料理の才能がとても素晴らしい。

     村のみんなの笑顔が増えたのは彼のおかげだね。

      他国のみんなもその料理でもっと笑顔にしてほしいな。」


 3人目の神、もとい料理神は冬夜の料理センスに感激していた。

 すると、冬夜の様子が変わってきた。


創造神「あぁああぁ…冬夜くん…!盗賊に狙われてる……!!」


 ──────


 月明かりが照らす夜。

 冬夜の畑付近ではガタイの良い悪党たち数人が

 ボウガンや剣を持って冬夜に狙いを定めていた。


冬夜「えっと…用件は、何でしょうか…?」


 冬夜はひるみつつも声を絞り出した。

 1度目も2度目もひどい殺され方をしたからか

 命の危機を素早く察知していた。


 セラ、シルビア、アテンザは戦闘態勢に移行するが

 お構いなしに悪党は喋りだす。


悪党A「お前が最近王都で調子に乗っている冬夜だな?」


悪党B「見ろよ、本当に黒髪黒目だぞ。でも状態はよくなさそうだな。」


 悪党たちは冬夜を捕まえて売り飛ばすつもりのようだ。


 冬夜はどれが最善の選択か迷っていた。


冬夜 (逃げるか…?でもあの武器は弓矢みたいに飛んできそう……。)


 そして冬夜は神様から受けた加護の事を思い出した。


冬夜 (そうだ…!"鋼の肉体"!あれを使えば…。)


 だが冬夜の身体は動かない。

 なぜなら、発動方法を教えてもらっていないから──。


 そしてさらに冬夜の不幸は続く──。


 悪党にさらなる影が現れた。しかも全員超大柄。

 相撲の力士より圧倒的に大きい。推定4mほどの高さの男が4人。


 12人ほどの悪党を前にセラは震え始めてしまった。


セラ「ちょっと…そんな大人数で冬夜に手を出すつもりなの…!?」


 しかしシルビアとアテンザは武器を持つ力を強めていた。


シルビア「いくら何でも数の暴力が過ぎない…!?」


アテンザ「冬夜には指1本も触れさせません。

     インテグラたちを連れて家の中へ──。」


 アテンザが指示を言い切る直前

 巨漢の悪党が地面を力強く踏み地震を起こした。


 冬夜たち7人はいきなりの地震に全員足が動かせなかった。

 その隙を突かれ────。


 悪党たちが持つボウガンから炎の矢が放たれる。

 そして放たれた矢はセラ、シルビア、アテンザを通り過ぎていく。


アテンザ「冬夜、危な───。」


 時すでに遅し、冬夜の背中に矢が突き刺さる。


冬夜「がはッ…!?あっ…あぁああ…ッ!!」


 背中から伝わる灼熱感、冬夜が痛がっている間にも

 悪党たちはどんどんボウガンから矢を放つ。


 アテンザが魔法で障壁を展開するも

 冬夜はすでに7本の矢をすべて背中に受けていた。


 やがて冬夜は膝から崩れ落ち、うつぶせで倒れてしまった。


 アテンザ以外の5人は冬夜に駆け寄り矢を引き抜こうとする。

 だが───。


アテンザ「矢は抜いちゃダメ。冬夜が余計に苦しんじゃう!」


 その言葉を聞いた5人は涙を流し何もできないまま

 冬夜の命が消えゆくのをただ待つしかなかった───。


シルビア「ちくしょう…目の前で英雄がやられてるのに…

     何もしてあげられないなんて……!!」


 ティアールは冬夜の手を握り回復魔法をかける。


ティアール「冬夜さん…!!死なないで…!!

      私、まだ何も恩返しできてないです…!!」


 冬夜もティアールの手を握り返すが──。

 1分も経たないうちに手から力が抜けてしまった。


 インテグラは即座に冬夜の手首から脈を確認するが…。


インテグラ「あぁ………っ…。」


 最悪の結果が訪れてしまい、インテグラの眼からは

 涙が止まらなくなった。


巨漢悪党A「フン、死んだか。真人間はやはり弱い。」


悪党B「ヘヘッ。コイツは死んでも高値で取引されるだろうなァ。」


 悪党たちは冬夜が死んだことを遠くから確認するとあざ笑い始める。


アテンザ「……よくも…。」


 アテンザの様子が変わった。

 それと同時に満天の星空が分厚い雲で覆われる。


アテンザ「よくも英雄を…。」


 雨が降り出し、アテンザは悪党たちに向かって歩き出す。

 その足踏みは1歩1歩が重たく感じる。

 だが悪党たちはまだ嘲笑しながらアテンザに狙いを付ける。


 アテンザの表情は冬夜を殺された怒りと悔しさが混濁している。


 そして持っていた槍をリーダー格の悪党の眼前に突きつける。


アテンザ「なぜ冬夜を殺した。言わないと──」


 アテンザの狂気と目つきが雷鳴と共に悪党たちに突き刺さる。


アテンザ「──全員この場で跡形もなくぶっ殺す。」


 アテンザの持っている槍より鋭い眼光が襲い掛かり

 悪党たちは全員ひるんだ。


 そしてリーダーが答える。


悪党A「ハッ!真人間なんぞただ寿命が短いだけの家畜以下の存在だ!

    それが英雄だと!?ふざけてんじゃねぇぞ!」


 リーダーは吐き気がするほどの歪んだ認識をアテンザに吐き捨てる。


悪党A「あんな下民なんぞ俺らのような英知を持つ者を

    阻害しかしねぇタダのぶ──」


 リーダーの戯言(たわごと)が途中で遮られる。

 いや、アテンザが黙らせたのだ。


 なぜなら──

 リーダーの身体には槍が貫通しているからだった。




アテンザ「もういいから、さっさと死んでよ。」




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