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第14話 新たな同居人

これまでの登場人物

●神城 冬夜 (かみしろ とうや) 15歳 男性

 前の世界では両親の虐待とクラスメイト達のいじめで心を閉ざした。

 のちに両親への反抗として財布から現金を奪ったのちに

 コンビニへ行こうとしたところ…

 信号無視のミニバンに轢かれて死んでしまった。

 新たな世界では空き家にクワとジョウロと虹色の種

 そして分厚い農業の本があったため

 1人で食を確保しようと奮闘することになる。

 ある時、セラと共に畑仕事をしていたら

 賊に殺され、白い世界へ向かったあと帰って来た。


●セラ・トミーガーデン 195歳 女性

 悪魔の村で暮らす少女。見た目は冬夜より少し年上ぐらい。

 人間と触れ合うのは実は初めてだが

 『学校の男子たちと同じように話せばいいでしょ!』の

 気持ちで話しかけているため、時々距離感がバグることがある。

 最近冬夜のことが少し気になってきたようだ。


 ある日の昼前、冬夜とセラは村長に呼ばれ、村の広場にやって来た。

 どうやら大事な話があるという。


 村長が真剣な顔で冬夜に言う。


村長「移住希望者がな、冬夜殿の家に住みたいと言っておる。

   ……5人ほどだ。」


冬夜「えっ!?ぼ、僕の家に!?」


セラ「な、なんですってぇ!?なんで冬夜の家にわざわざ!?」


 村長は肩をすくめる。


村長「そりゃなんたって、いろんな種族と交流がある人間族の家だからのぅ。

   ここは悪魔と天使だらけで多種族には少し抵抗があるようでな。

   あと他に何か言っておったらしいが……忘れちまった。」


 冬夜は顎に手を当てて考える。


冬夜 (……たしかに、自分とセラだけで住むのは広すぎる。

   空き部屋は5つ、7人でちょうど良いくらいだし……。)


冬夜「わかりました。受け入れます。」


 そう答えた瞬間、セラの顔がひきつる。


セラ「ちょ、ちょっと冬夜!?いくらなんでも軽すぎるわよ!?」




 そして――新たにやって来た移住者5人。

 驚くべきことに、全員女性。しかも美人ぞろい。


 冬夜の心臓はドキドキと跳ね上がる。


冬夜 (全員女性…!?誰が来るのか事前に聞いておくべきだった…。

  これじゃ心が落ち着かなくなっちゃうよ……。)


 横でセラが腕を組み、バチバチと視線を送ってくる。


セラ「……冬夜、アンタ。変な気起こしたら……わかってるわよね?」


冬夜「お、起こさないってば!!」


 村長に案内されてやってきた5人の女性たち。

 冬夜の豪邸の前で、彼女たちは口々に感想を漏らす。


 1人目、外見は普通のようだが、額にもう2つ目が付いている。

 まるで蜘蛛のような特徴をしている。

 その女性は黄緑の長い髪を揺らしながら、ふわっと微笑む。


蜘蛛族の女性「わぁ……広いお家。

       蜘蛛の巣を張る場所、いっぱいありそう……ふふっ。」


 2人目、小麦色の褐色肌をした女性。

 耳は先端が尖っている。いわゆるエルフ族…とでも言うのだろうか。

 赤髪ショートヘアをかき上げながら目を輝かせる。


褐色エルフの女性「なにこれ、部屋数も多いじゃない!

         それに庭も広いし、トマト畑まであるなんて最高ね!」


 3人目、見た目的には1番幼い。血のように赤黒い眼をしており

 口を開いたときに見せる八重歯が輝いている。

 吸血鬼っぽいような雰囲気だ。

 そんな女性は銀のポニーテールを揺らし、少し控えめに喋る。


ヴァンパイア族の女性「こんな立派な場所に……

           わたし、本当に住んでしまっていいのでしょうか…。」


 4人目、猫のような耳を付けている。

 一口に獣人族と言っても様々な耳を持った種族がいるようだ。

 そんな女性は空色のボブを伏せ気味に、屋敷をじっと観察する。


獣人族の女性「……薬草の乾燥部屋にちょうど良さそうな

       スペースがあるけど…使ってもいいのかな…?」


 最後の5人目、天使の羽を背中に付けている。

 彼女は天使族で軍に仕えているらしい。

 そんな女性は金のサイドテールを整え、落ち着いた口調で喋る。


天使族の女性「……ふむ。屋根の造りもしっかりしている。

       これなら戦時でも拠点として機能するな。」


冬夜 (……いや、拠点とかそういう発想やめてほしいんだけど。)


 と心の中で突っ込む。

 それと同時に「全員美人」という事実に

 妙な緊張を覚えていた。


 セラが横から冷ややかな笑みを浮かべて肘で突っつく。


セラ「冬夜、顔がにやけてるわよ」


冬夜「に、にやけてない!」


 こうして、冬夜の豪邸は一気に賑やかな

 共同生活の舞台となった。

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