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第8話 パーティー開始

教室にて夕方


法に関して授業が行われていた。


「では、荷物を運ぶ業者がFランクとして、Cランク冒険者が1人雇われ同席していた場合は、関所の通行税はどうなるかわかるか。テツオどうだ」


「え~と、Fランクの人とCランクの人は元々別々の存在だからFランクの業者は税を払う。Cランクは免除されると思います。」


「残念だ。Cランクと一緒にいる時点で、ランクがCとして一緒にいる間は見られる。だから今回はどちらも免除されるのが正解だ」


「そんなのってずるくないですか」


「そうでもないんだ。通行税を払わなくていい分、Cランクを雇う時にそれなりの契約金がかかる。また今回の問題のように1人雇うと安く済むが、道中に魔獣に襲われる危険もある。腕のいい冒険者を雇わないと命が危ないんだ。もしその冒険者がいなくなったら、通行税が発生するそのリスクもあって、通行税を安く済ませたいから、適当なCランク冒険者を連れていくと途中でいなくなってしまうこともあるんだ」


「じゃあ、残された業者の人は、通行税を払うの」


「まあ、払う業者もいるな。だが関所の前でCランク以上の冒険者が来るのを待っている。たまり場があるんだ。先生も少しの小遣い稼ぎで言ったことがあるが、業者は結構金にせこい業者人もいつから何とも言えないな」


「私思うんですが、通行税ってなんで必要なんですか」


「ダミアは相変わらずいい所を突くな。結局の所、国の外に出るってことは危ないんだ。そのため、強い人と一緒に出掛けるようにして下さいって感じで、通行税を取るようになった。実際、ランクの高い冒険者との移動だと魔獣や強盗の被害が少ないという結果が、出ているし、みんな実感している。」


みんな知らない世界に目を輝かせていた。それもそうだ。ほとんど国の外に出ないでず、施設内で過ごしているからか。外の世界への憧れは話を聞けば聞くほど、山の湧き水のようにじわじわと自分たちを外の世界へと導いていく。


「僕も早く世界中を旅したいです」


「まあ、気持ちはわかる。もうすぐCランクになったら、授業で他の国に行く予定だ。それまでは昇級試験に集中しなさい」


「はい」みんなが一斉に返事をする。


先生が時間を確認して授業が終了する。これからは楽しみにしていたパーティーだ。


「じゃあ、机をくっ付けたら、食堂で食べ物と飲み物を取って来てくれ。食堂には話をしてあるから問題ない。先生はちょっと研究棟に呼ばれているから言ってくる。そんなに時間は掛からないから」


そうして4人は机を移動を済ませ、教室から出て、食堂に向かう。道中やはり外の世界への憧れからか。少し興奮気味だった。


「私たち来週のCランクの昇級試験大丈夫かな」


「何僕たちは特訓でかなり強くなったんだ。問題ないさ」


「俺も以前とは違う戦い方が出来て、みんなの盾として役立つよ」


「先生言ってたけど、私たち外の世界に連れてってくれるって話、どこの国かな」


「確かに僕たちは黄の国は見たことあるけど、他の国の話は本当なのかわからないな」


「黄の国ってなんか特徴が薄いのよね。服装は黄色の人が多いけど、景色は黄色でもないし、私は水があふれるほどあるっていう、水の国とも言われる青の国に行きたいな」


「僕は法を司る2つの国、黒と白の国に行き、恐怖と雪原って呼ばれる王がどんな人か見てみたい」


「俺は火山ばかりの灼熱の大地が広がる火の国に行って、噴火っていうのをみたいな。ダンガンはどうなんだ」


「俺は木の精がいるっていう絵本で読んだどこかあるって噂の緑の国をみたい。いや、そんなことはない」恥ずかしそうに話をして、会話を誤魔化す。いつもはクールだが、結構メルヘンチックな所がダンガンにはあった。


ダンガン恥ずかしくて話さず他の3人が盛り上がって、授業で聞いた冗談めいた話を将来確かめたくて、ワクワクの好奇心が止まらないようだ。


食堂に着いて、食堂のおばちゃんに話しかけると袋に詰めていてくれたようで、すぐに渡してくれた。飲み物もケースで結構な量を渡してくれた。


教室に着くと4人で袋を広げて準備をする。そこにはいつも食堂では見たことのない料理がたくさんあった。なんだかお腹が減ったのもあるが、なんだか輝いて見えた。すぐにでも食べたいと思ったが、これも特訓だと4人は目で会話をした。


準備が終わると足早に先生が入ってくる。ディーテ副所長も連れて来てくれたようだ。


「副所長お久しぶりです」みんなで頭を下げた。なにやらディーテはにやにやしている。


「遅くなってすまない。クロを探したんだが、逃げられた後でな」先生は小さい黒い箱を持って話をする。


「先生の持ってる箱って何?」


「これは所長が作ってくれたプレゼントだ」


「え~なになに?所長からって珍しいね。私たちが貰っていいの?」


ブラッドは黒い箱を開けると透明な水晶のような小さいガラスが埋め込まれているシルバーのリングが4つあり、1つずつに名前が刻まれている。


「ほら、1人ずつ自分のリングを取って、手首に通してみろ」


4人はリングを嬉しそうに取り、左手首に通したが、若干緩く、下にすると落ちてしまうほどだった。


「先生これってサイズ間違ってない?せっかくおしゃれだと思ったのに」


ディーテ副所長はダミアの発言を聞くとさらににやけが止まらなかった。何がそんなに面白いのか。4人は困惑した。


「ダミアちょっと貸してくれ。これはただ着けるだけじゃないそうだ。魔力を流すと落ちなくなる。それも安定すると動かないでくれるが、乱れたりすると、ぐらぐら動く。魔力リングなんだ」


4人は再びリングを着け、魔力を手首に集中してみる。その時、リングが手首で安定する。

これは意識するのがかなり大変で、ものすごい訓練になる。5分ぐらい経つとリングから意識を離して、話が出来るようになった。


「こんな大変なプレゼント良く思いつきますね」ダミアがリングをすごく気に入った目で見つめている姿を見て、ディーテは我慢できずに、笑い出した。一同は意味がわからなかった。なんでにやにやしていたのかもわからない。いつもはしっかりした雰囲気があるのに今日の副所長は何かが変だ。


「あははは。あ~かわいくてごめんね。みんなやっぱりクロと仲いいなと思って」


4人は何でクロが出てくるのかがわからない。いつも避けているように感じるクロ、何か話せばケンカになるクロ、さっきだってパーティー誘ったのに断って空気を悪くしたクロ。どう見たら仲良く感じるんだ。


「笑ってごめんね。作ったのは所長ではあるけど、みんなにプレゼントしたいって、アイデア出したのはクロなんだよ。あいつ本当に素直になれないから、パーティーのことも興味ないわけじゃないよ。それまでに完成が間に合うか気にしていたしね」


4人は嬉しそうにリングを見つめた。



一方食堂では

クロが食堂のおばちゃんと話しながら食事している。


「あのさ、俺は別にいつもの食事でいいんだけど」


「あんたも一緒にパーティー気分味わったらいいさ。たくさん作ったんだから。あんたが食べてくれないと困るよ」


食堂のおばちゃんに優しく見守られながら、パーティー料理を食べているクロ、その腕にはクロの名前が刻まれているシルバーリングが左手に付けられていた。

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