第71話 復讐のオニ
クロはディスカラーに急いで戻った。目の前には力なく、カゲとウィッチがいた。ロウはぐったりしている。壁にはヒメが貼り付けになっていた。
本当にデータがやったのか、畜生なんでだ。ゆっくりとヒメに歩みを寄せる。微かに呼吸の音が聞こえた。
クロは急いで釘を引き抜いた。この釘魔力がない。ヒメの力を使えなくするためか。
クロはヒメを抱きしめ、魔力を流し込んだ。
「マスター・・・。ごめん・・・。やられちゃった」ヒメは力を振り絞って話す。
「もういい。それよりじじいがまずいんだ」
ヒメは目がなく、魔力を頼りに、ロウに触れた。
「大丈夫。生きてる。安静にしてあげて・・・」
ヒメはその場で倒れ、気絶しているのを確認した。
ヒメ・ロウ・ウィッチを寝室に運んで寝かせた。
クロは荒れていた。テーブルを見ると、5人の手配書が置いてあった。
「なんでだよ。クッソ」テーブルを壊して八つ当たりする。
「主、私戦いに行きます」カゲは一人で死ぬ気でいた。
「ダメだ。お前一人でどうなる」
「ですが、居場所はバレています」
「知っている。今もバレている。データがここに来た時に気が付くべきだった。あいつら俺のローブと同じ三種の神器を持っている。そうじゃなきゃこの場所がわかるはずがねえ」
「それならなおさら、こちらから仕掛けないと・・・」
「やるんだったら、ここにも大勢の奴を送り込んで、もう殺されている」
「じゃあ、相手は何を考えているのですか?」
「あいつらは掌の上で転がしていた。こちら側を精神的に追い込みたかった。今回もそうだ。絶望させて、単独で行動したら、一気に潰せばいい。向こうは待っているんだ」
クロはカゲと話を終えると一人でオニを冷凍室から運び、外に出した。死体で遊ばれる可能性もある。だから、火葬することにした。
クロは一人で黙々と火葬の準備をしていた。作業に集中していれば、紛れるかと思ったが、ダメだ。オニのこと思い出しちまう。不器用で優しくて、でも周りから見た目だけで勘違いされる。この場所だけはお前の味方になれればと思ったのに・・・。クロは火葬の準備が出来て、火をつけた。
ごめんな。こんなことになって。守ってやれなくて。また守れなかった。クロはその場に座って、燃える火を見つめる。
「ブラッド。俺やっぱり弱いのか。何も守れねえ。仲間一人守れねえのに外の世界に出たのが間違いだったのか。この先どうにかなるかな」クロは涙が自然に出てきた。
一人じゃどうしようも出来ない。でも、周りを巻き込んだら、もっと失う。自分は強くなったと思ったのに、結果はこれか。
クロは絶望の中、とっさに言葉が出た。
『黄の国を照らす太陽が闇に覆われた時、真の王が誕生する』
「あいつらの狙いって、この伝承の通りにすることか。こんなくだらねえことにオニは死んだのか。だが、真の王を誕生させたい。六道はそのための手下・・・。太陽を闇に染めるってのが、わからねえ。でも、時間がないのは確かだ。隠れてた黄の国が動いている。準備が出来たってことなんだろ。じゃあ、あいつらは今黄の国にいる。お互いの居場所はわかっているんだ。こっちから攻めれば奇襲になる。居場所は随時見られているとして、ウィッチで転移出来たら、隙を作れる」クロは不思議と冷静になっていた。
よしこれなら一人で突っ込んでいけば何とかなりそうだ。
「マスター・・・?」後ろから弱弱しい声が聞こえた。
クロは振り返るとヒメがいた。まだ、目が見えていない。痛々しい姿。
「ヒメか。どうした?」
「一緒に私も連れてって」
「一緒に死んでくれるのか?」
「違うよ。死なせないために行くの。私たちの力が必要でしょ」
「馬鹿言うな。俺一人でどうにかした方がいいだろ」
「でも、私は行くよ。全員で行かないと」
「もう無理だろ。弱点もバレてる状況でどうやって戦う気だ」
「それでもマスター一人で行くより全然いい。待ってるのはつらいから」
「あいつらは女子供も容赦しない。実際そんな姿になったろ。大人しくしてろよ」
「嫌だ。私だって悔しい。オニを殺されて、首を見せつけられた。絶対に許せない」
ヒメには断固たる決意があった。一緒に行くと言うまで、引かない。黙って出てっても、ついてくるだろう。
「わかった。絶対に死ぬなよ」
「うん」
クロはヒメを抱きしめた。
そして、黄の国と戦う意志を固く決めた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回からは六道との直接対決になります。
一瞬で終わる戦いはあまり書きたくないので、
どうするか考え中です。
次回もお楽しみに




