第66話 黒緑同盟
黒の国では王の結婚という一大イベントのため、急ピッチで、会場や衣装や食事の準備をしていた。国民は3日間寝る間も惜しんで、空いていた土地に各国の王を招くための会場を設営していた。ロックは万が一にも城を壊されるのは嫌なようで、城には入れたくないようだ。他にも大きな変化があった。
ロックは緑の国も守るために黒と緑の国の間に城を建設すると言い出し、黒の国の犯罪者たちを刑罰と称して、働かせている。その指揮は家臣のモンキーが行うとのことで、最初1日で作った張りぼて城が、ロックの逆鱗に触れ、まさかの切腹する寸前までの事態になったが、キチョウが止めに入り、事なきを得た。
キチョウは黒の国を巡るため、クロを護衛に連れまわし、国中を見て回った。緑の国にはないものばかりで新鮮なようで、国中を回らされた。そのあとから黒の国では草木が生えるようになった。さすがは緑の王だ。荒野だった黒の国が見違えるような美しい景色になった。だが、受刑者のスキンヘッドで革ジャンに肩パットは相変わらずでせっかくの景色が台無しだ。こればかりはどうにかならないのか。
また、ロックの家臣が結婚の知らせを受け、戻って来ていた。一人はチヨという女性の家臣。交渉がうまく外で買い物をしていたが、連絡を受け、急ぎ戻って来た。裏社会の監視役として国の外にいた槍の名手ワンコと弓の名手ササが王の結婚の祝いに駆け付けていた。意外とロックって信頼できる家臣いたんだな。てっきりモンキーしか家臣いないと思っていた。
そうこうしていると結婚式が始まった。会場は床を木板で作って、土足で来られるようにした。畳は他の国ではないから当然の対応だ。キチョウも黒の国で用意した着物を着飾り、黒髪も相まって、様になっている。ロックとキチョウはまだ二人で目を合わせて、会話が出来ないようで、仕切りで分けられていた。クロはキチョウの護衛として傍付き役として隣にいた。
各国の王は順次来て、挨拶をしたら、帰るようだ。自分の国を空けるのはやはり嫌うようだ。
最初に来たのは赤の王だ。一番遠いのに大したものだ。それにしても見たことある気がした。
ロックの元に行き、挨拶をしていた。「私は赤の国の王メテス・プロウス。この度はご結婚おめでとうございます。我が国の先代の王のご無礼誠に申し訳ございません。今回の同盟の件は決して赤の国は反対致しません。末永くお幸せに」メテスは深々と頭を下げた。お祝いというより今回は謝罪としてこの場に来ていたようだ。メテスは護衛を連れずに、来ていた。これも覚悟を示しているのだろう。
「面を上げよ。今回は結婚報告の場、過去の過ちなど気にしておらんわ」ロックもさすがは王様、器が大きい。
あとは少しばかりお互いの国の話をして、次はキチョウの方に挨拶に来る。どうしようあいつの父親殺したこと恨んでるか?
メテスと目が合った、驚いた顔をしたが、まずは挨拶をした。「キチョウ様この度はご結婚おめでとうございます。赤の国は困ったことがあればいつでもお力をお貸し致します」メテスは再び深々と頭を下げた。
「メテス様。頭をお上げください。私達は立場が同じもの同士。これからはお互いに助け合い、国のため、国民のため、助け合いましょう」キチョウは手を差し伸べた。
メテスは涙目になりながらも、感謝を告げ、謝った。赤の王として国を建て直し、だが、後ろめたさも感じていたのだろう。
「クロ様。覚えておられるかわかりませんが、赤の国は生まれ変わりました。あなたのおかげでございます。今度、あなたの酒場に行かせてください。国民からも評判がいいんです」クロのことを覚えていたようだ。
「ああ、どんな奴でも歓迎だから、来たら一緒に飲もう」
赤の王は挨拶が終わると帰っていった。良い国づくりに忙しいようだ。そんな中いち早く駆け付けたのは、謝罪あってのことだろう。
キチョウと赤の国はどんな国か話をしていたら、次は2つの国が同時に着いたようだ。
青の国の王アクス・ミリアと護衛のシャッフル、そして黄の国だ。
アクスは同盟のことも気にしていないようで、軽い挨拶で済ませた。
問題は黄の国だ。王が来ないで使者だけ差し出す。緊張が走る。
「僕は黄の国の使者として参りました。Aランク冒険者アレスと申します。この度は黄の国より、手紙を渡すように名を受けて参りました」アレスはロックに手紙を渡した。
ロックは手紙を読むと、手紙を破り捨て、アレスに聞いた。「お前はあのピエロに直接言われてきたのか?」
「僕は黄の国の王とは面識がございません。手紙で指示を受けただけです」アレスの言葉に嘘はないようだ。
「それならもういい」
アレスはロックに頭を下げると、次はこちらに来た。
アレスはキチョウに挨拶を終えると、クロを見た。「生きていたんだな。クロ」複雑な顔をしていた。
「まあ、やりたいようにやってるよ」
アレスは言葉が出ないようで、静かに去って行った。
「クロ様、あの方とはどういう関係なのですか?」キチョウは気になったようだ。
「同じ施設で育ったんだ。Aランクになってるとは思わなかったけど、何か固いんだよな。それよりロック、黄の国の王と知り合いだったのか?」
「ああ、昔あいつが王になったばかりの時、俺の所に来たんだ。それで話をしたが、白の国を手に入れないかと言われてな。何が目的か聞いても黒の国のためとか抜かしおって、本音を隠して話しをしている態度に、俺はキレてしまったんだ」
「それでどうなったんだ?」
「何にもなかった。俺が天守閣を吹き飛ばしたんだが、あのピエロは顔色一つ変えずに、笑いながら帰って行った」
「ロックは白の国がほしいのか?」
「いらんわ。あんな国。品性のかけらもない」
ロックは白の国のこと嫌っているようだ。
「品性のかけらもない国で悪かったわね」
扉が突然開くと吹雪とともに女の子が入って来た。最近どこかで聞いたことがある声がする。
白く長い髪はセットされ、氷の結晶のヘアピンがトレンドマーク、色白のエルフ、服はキラキラのドレスを着ている。
「来るとは思わなかったが、どうゆう風の吹き回しだ」ロックは怪訝な顔をしていた。
「バカな兄貴がどんな女を嫁にしたか、一目見てやろうとしたまでよ」
二人は殺気むき出しで、部屋の中が吹雪で凍り付き、圧で壁にヒビが入った。なんでこんなに仲悪そうなんだ。
二人は歩みを進めていく。建物が限界を向かえて吹き飛んでしまった。だが、そんなことは誰も気にしていない。一触即発の二人を止めようにも動けずにいた。クロとキチョウを除いては。
クロは色白エルフの前に立った。キチョウはロック前に立ち、落ち着くように説得する。
「見たことある顔だな。手配書が出ていたクロとかいう奴だな。握手なら後でしてあげるから、そこを開けてもらえるかな?」と色白エルフはかわいく言って来た。
「握手?そんなのどうでもいい。暴れるなら止めるまでだ」クロはきっぱり断った。
「私との握手がどうでもいい?なんなのこいつ?私はキャンバスのトップアイドルにして、白の国の王ドーニャ・ドラゴスト様なのにそれを断るって。どうやらお仕置きが必要なようね」笑顔が消え、般若のような顔になった。これがアイドルの裏の顔なのか。
「お仕置きとかガキかよ。かかってこい」
「舐めんなよ。クソガキが!!!」
ドーニャはクロに顔面目掛けて、回し蹴りをしてきた。そこまで動きは速くはない。このまま足を掴んで、拘束すれば、大人しくなるだろう。
クロは蹴りを掴もうとした。だが、掴もうとした右手が、一瞬で凍り付いた。顔の蹴りは避けたが、手が氷付いた。魔力を凍らせるのか。俺も空間を凍らせることは出来ても、相手の体内の魔力を凍らせる段階まではいかなかった。さすがはカラーズの王、能力の質がチートクラス。
凍った個所に魔力を流せば、どんどん凍っていく。連続で喰らうとまずい。
「冷静ね。普通の奴は凍ってすぐにパニックになって、全身凍るというのに、実力は多少あるみたいね」
「王様に褒めてもらえるとはうれしいね。だが、俺の方が上だ」
ドーニャはやはり全身を凍らせるために、素早い連続攻撃を仕掛け来る。クロは凍った右手でガードしつつ、右手で反撃する。
クロの一撃がドーニャに当たる瞬間、キチョウに踏みつけられた。
「ダメですよ。クロ様。こんなかわいい子に手を出しては」
ドーニャは何とも言えない威圧感に押し負けていた。
「あんな馬鹿兄貴に惚れるなんて頭おかしいんじゃない」ドーニャは煽っていく。
キチョウはドーニャに飛びついた。
「止めろ。離せ。撫でるな」ドーニャはキチョウに撫でまわされていた。
「かわいいです。見て下さい。クロ様。旦那様にそっくりです」キチョウはご機嫌そうだ。
「どこがそっくりなんだよ。真逆な存在だろ」クロはキチョウの意味を理解できなかった。
「わかりませんか?この威圧する魔力の感じとか、目とか耳の角度なんかそっくりです」
「はあ。そうか。ロックは何してんだ?」クロはキチョウのマニアックな指摘についていけず、ロックの方を見た。
ロックはキチョウと目が合ったことで、緊張して固まっていた。
こうして黒緑同盟は成立し、無事ロックとキチョウは結婚したのであった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
書き始めた当初カラーズの王決めていなくて、
どうしようと思っていましたが、なんだかんだ書けるものですね。
あとは黄の王どういう感じにするか、いまだに決めていないので、どうしようピエロキャラってなんだ?
映画のジョーカー見ようと思います。




