第65話 ひとめぼれ合戦
クロは緑の国の王キチョウを連れて、黒の国まで来ていた。キチョウは目立つといけないので、クロの黒いローブを着て、姿がわからないようにしていた。
クロは防衛隊に黒の王の家臣であるモンキーを呼ぶように伝えると、二人はのんびり待っていた。
「私、国の外に出るのは初めてですので、もう緊張してしまいます」
何かエロい意味に聞こえる。でも、気のせいだ。
「黒の国は緑の国とは対照的だからキチョウに合うか、わかんねえんだよな」
「いいえ。私、どんな国なのか楽しみでしょうがないです。服装も見たことない物ですし、女性物もあるのか、気になります。きっと黒の国は良い国なのでしょう」
そんなことないよ。この国は犯罪者の集まりだから気をつけた方がいいぞ。
そんなこんな話をしていると、モンキーは足早に来た。「先日来られたばかりで、今回はどうされましたか?」
「それが先日ロックが言ってただろ。家臣がいないって。だからいい奴連れてきたんだよ」
不審そうにモンキーはキチョウを見た。キチョウは恥ずかしそうにクロの後ろに隠れた。
「こいつ人見知りな所あるからな。怪しい奴ではないから、ロックに会わせてくれないかな?頼む」クロは手を合わせて、頭を下げる。
「まあ、予定もあるわけではないですし、いいですけど、わかってますよね?怒らせないで下さいよ」
モンキーは渋々承諾してくれた。
国に入るとやはり緑の国と違って、男臭い、そして、砂埃がすごい。キチョウはクロの後ろで服の裾を引っ張って、見たことがない景色にテンションが上がっているようだ。
「見て下さい。木を加工して家を造っています。あの高い建物はなんですか?」キチョウは小声で話しかけてくる。
クロは歩きながら説明し、一行は城へと向かっていった。
城の中に入ると部屋まで案内された。今回は部屋には家臣が誰もいないようだ。ロックが怒るの前提なのかよ、まぁ前回も家臣気絶してたしな・・・。
クロとキチョウは座って待つようにモンキーから言われ、クロは胡坐をかいて、キチョウは正座で待っていた。
モンキーがロックが来ることを伝える。
「殿のおな~り~」
キチョウは頭を深く下げた。
ロックが部屋に入って来た。クロを見るなり一言。「相変わらず、お前は図が高いな」
「いやあ、無礼講って言葉知ってる?」
「俺は王だ。まあいい。そこの者が家臣になりたいものか?」
キチョウは頭を上げると、ローブのフードを両手で上げて、素顔をさらす。長い黒髪を振りほどき、一呼吸置くと、挨拶をした。
「急な来訪にも関わらず、面会の機会頂き、ありがとうございます。私、緑の国の王キチョウ・ミストと申します。この度は我が国にお力添えいただきたいと考えまいりました」キチョウはしっかり挨拶をした。
ところが、二人の王は下を向いてしまった。
しばらく沈黙が続く。何かまずかったか。知り合いだったとか。国が近くて仲悪いとかそんなことがあったりしたのか。お~い。どちらか頭を上げてくれ~。
クロはキチョウの方を見ると、美白だった肌が、真っ赤になり、湯気が出ていた。
「か、か、かっこいい~」キチョウは震えながら今にも倒れそうだった。
クロはキチョウはもうだめだと思った。
それでロックはというと、黒いはずの肌が赤身がかっていた。
ロックはパニックになっていた。(なんだキチョウと言ったか?あんな美しい生物がいるわけがない。クロの奴、きっとこないだ脅かした一件で、驚かそうと考えたか?そうだ。そうに決まっている。あのうつけめ!俺は騙されんぞ。そうだ。もう一回生きているか確認するんだ。そうしよう)
ロックはキチョウをもう一度確認した。(だめだ~。やっぱり生きてる~。誰だよ!あんなにかわいらしい生物をこの世に誕生させたのは?なんでこんなことになったんだ?そうだあのうつけか。こうなったら戦争だ。ああ、やってやる。俺は恐怖の王だ。最強なんだ。あいつを殺してやる)
「クロ。表に出ろ!今すぐ戦争だ」ロックは完全にパニック状態だ。
「なんでだよ!どうして俺なんだよ」
「お、お前がそんな罠をしかけるなら、こっちだって考えがあるんだ」
「落ち着けよ。罠なんてねえよ」
クロはロックを説得するまでしばらくの時間が経った。ロックはわけがわからないことは言わなくなったが、静かになり、下を向いたままだ。
再びの沈黙・・・。
クロは痺れを切らして、爆弾を投下する。「二人共もしかして、ほれたの?」
二人ともビックリして、身体が跳ね上がる。あ~。めんどくせー。話し進まないやつだ。紹介するのはいいけど、間に入って話するの面倒なんだよね。勝手にやってくれると思ったのに、これは長くなるな。
昼に来たのにいつの間にか夜になった。
二人は顔を見ないで話はできるようになっていた。
「カラーズ同士の同盟とのことで話を進めるが、他の国がどう考えるか」ロックは悩んでいた。
「おっしゃる通りで各国がどう考えるかが問題になります」キチョウもロックと同じことで悩んでいた。
「あのさ、カラーズで同盟ってだめなのか?誰がそれを罰するんだ?」クロは疑問を口にした。
「誰って・・・。確かにな。俺の父の代でカラーズを創ったわけだが、その頃、俺も小さく詳しいことはわからないが、同盟禁止はなかったな。だが、他に言わないわけにもいかない」
「面倒だから結婚して、結婚式で各国に挨拶でいいんじゃねえの?」
「けっけ、っけ結婚ってって俺はいいが、相手の気持ちもあるだだだろろ」ロックは結婚という言葉にパニックになっている。
「わ・わ私は大丈夫です」キチョウは恥ずかしそうに言った。
「ほ、ほほら見ろ。クロ、大丈夫って。そんな急に結婚なんてな~。・・・・・・え!!!!!本当にいいんですか?」
キチョウはコクンと頭を縦に振った。
「モンキー!!!いるか。カラーズの王に結婚の案内を早急に出すんだ!」
モンキーはすぐに現れ、興奮状態のロックの言葉を瞬時に理解した。「かしこまりました。本日中に連絡致します。ただドーニャ様はどうしますか?」
「いい。いい。連絡していい。」ロックは上機嫌だ。
ドーニャって誰だ?まあ機嫌良さそうだし、まあいいか。ただ、しばらく帰れなさそうだ。
今回クロは自分では気づいていないが、歴史的な出来事を、やってしまったことに、気づいてはいなかった。数百年、動くことがなかったカラーズの王達の、緊張状態は崩れ、良く思わない者も現れる。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回はギャグ回にしようと思いましたが、面白いと思ってもらえるといいです。
嫁からはどこで笑えばいいかわからないと言われ、意気消沈中です。
何か書けばいいんだよ。
また読んで下さい。




