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キャンバス~色なき世界のアービトレーター≪仲裁人≫~  作者: ぶーたん
第3章 暗褐色な魔の手編

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第62話 裏社会への道

中央貿易都市北側


周囲はボロボロの家が狭苦しく並び、ホームレスが道端で寝ている。だが、その目は何かを狙っているようにギラついた目をして、今にも襲ってきそうだ。


そんな中に今にも崩れそうな一軒の汚い家があった。その中にロードは住んでいる。


扉を開けると、外見と違い、きれいな内装が施され、壁には絵画が飾られており、美術品がいくつも棚に並んでいる。部屋に一つしかない窓の前にはテーブルが置かれており、窓からの光を背にし、一人の男がティータイムを楽しんでいた。


奇麗にセットされた髪、高級なスーツ、細見な身体。琥珀色の紅茶一つ飲むだけで絵になるイケメンだ。


「ん~。やはりいい香りだ」男はカップを鼻に近づけて、香りを楽しんでいた。


紅茶を飲んでいると、扉が開いた。


「お前がロードか?」


「そうだが、そういうお前はクロか。本当に来るとは。道中、誰にも襲われなかったのか。本来部下が知らせてくれる予定だったが、どうした?」


「案内してもらった。今は寝てるよ」


「ここに来るまで100人近くはいたが、やはり全員倒してきたのか。大したもんだ。どうだ。紅茶でも飲まないかい?レアものが入ったんだ」ロードは立ち上がり、カップを取ろうとした。


「ここに来た理由はわかっているんだろ。なぜ手配書を作った。誰から情報を聞いた」クロはロードを睨みつけた。


「俺だって裏社会で生きている人間だ。そう簡単に依頼者の情報を話せるかい?」ロードは負けじとクロの目を見つめた。


お互い分かっていた。話し合いで情報が出るとは思っていなかった。やはり、力でどうにかしないとダメか。


クロは一瞬で間合いを詰めると、腹部に一発拳をねじ込む。ロードは部屋から吹き飛び、ボロ屋に向かって3軒先まで吹き飛んで行った。


「早く来いよ」クロはロードに向かって挑発した。


ロードは強化系だ。一撃では倒せるわけがない。当たる瞬間も後ろに状態を若干反らして、衝撃を逃がしていた。


ロードは崩れた家の下から出て来た。スーツの汚れを少し気にしていた。少しずつ歩みを寄せてきた。


「おいおい!高いスーツがダメになっちまっただろうが」


ロードはジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを外して投げ捨てた。近づいてくるたびに魔力と圧が上がっていく。


今度はロードが仕掛けていった。クロの顔面にパンチを当てた。パンチの衝撃で家の屋根が吹き飛んで行った。


だが、クロは動かない。ロードは山に向かって殴る感覚になった。


クロは部分的に魔力を集中させて自分を強化させる。間違えば大ダメージを食らう防御方法をダンジョンで身に付けていた。


クロは引かずに前で出ていく。対照的にロードは後退してしまった。


ロードはビビッてしまった。最初はこんなのが金貨1000枚に値する男かと思ったが、目の前にして感じる強者のオーラ。強い奴らは今まで見てきた。だが、真っ向から来る強者はそうはいない。こいつは強いと認めるしかない。


ロードは覚悟を決めて、クロを見ようとする。だが、先ほどより大きく見えてしまう。完全に気持ちで負けた。


「俺の負けだ・・・」ロードは地面に膝をついた。


上から女の声がした。「裏社会の仲介人も情けない」


二人は声の方を向くと、折れた柱の上に女が立っていた。


「お前はグラか。暗殺者ギルドのお前が何で?」ロードは動揺していた。


「そんなのそこの坊やに用があるに決まってるでしょ。殺しても大金が入るんだから、狙うに決まっているでしょ。とある情報筋からここに来るからって待ってみれば本当にいるんだから」


グラは右手を向けるとロードは浮き上がった。


「なんで俺を・・・」ロードは藻掻くが、地面に着かないぐらいに浮き上がり、空中に止まった。


「横取りされると迷惑なのよ。やりなロッド」


ロッドの背後に男が回り込んで、何かを振りかざして、ロードが吹き飛ばされた。見えない攻撃、これがロッドの能力。相手を無重力にするグラの能力。二人の能力はコンビネーションが取れている。


ロードは何とか防いだが、両腕が折れてしまった。


「次はあんただよ」グラはクロに手を向けると、背後から攻撃を仕掛けようとしてくるのを感じた。


ギリギリで避けたが、謎の人物はクロの傍に着地した。


「誰よ!あんた」グラは自分を浮かせていた。


「寄ってたかって弱いものいじめはみっともないでしょ」


現れたのはヒメだ。銀色の髪を揺らし、クロの前に立つ。


「なんでこんなところにいるんだよ。部屋に籠ってたんじゃねえのかよ」


「またやられると思ったから来たの。文句ある」


クロとヒメは睨み合った。


「誰がやられるってどこをどう見たらそうなるんだよ」


「どこから見てもやられそうだったでしょ」


「こんな奴らにやられるわけがねえだろ」


「私より弱んだから心配するでしょ」


二人は一触即発になって、周囲が見えなくなっていた。


「ロッド今よ。クロをやってしまいなさい。私は小娘を相手する」


ロッドとグラはケンカ中の二人に目掛けて向かって行った。


「「邪魔するな!」」


クロはグラを魔撃弾で吹き飛ばし、ヒメはロッドを殴り飛ばした。ケンカしていたとは思えないコンビネーションで一瞬にして倒した。


「「どうだ!!!見たか!!!」」クロとヒメは久しぶりにお互いの顔を見つめ合った。


なぜだか二人とも笑ってしまった。ケンカしていたのが、馬鹿らしくなった。


笑っている二人にロードがゆっくり近寄って来た。「暗殺者ギルドをいとも簡単に倒すか・・・」クロとヒメの近くに近寄り、力が抜けたように座り込む。


「ヒメ。こいつのケガ治してくれ」


ヒメはロードのケガを治すと、クロはロードに手配書の話を聞いた。「あれは一昨日の晩、私がここで書類の処理をしていた時のことだ・・・」ロードはゆっくりと語りだした。


突然現れたそいつは、黒いローブを羽織り、顔は仮面をしていた。手は手袋をしていて、外見では男か女か判断できなかった。背丈はクロと同じくらい。正直何者かわからなかった。


というのも、部屋に入ってくるなり、無言で紙と金貨の入った袋を渡してきたのだ。紙にはこの男の手配書を作成し、裏社会に流すようにと書かれていた。もし、従わない場合はこの場で殺すと。私は手配書を作るだけで金貨が貰えるならと作ってしまった。


承諾したそのあとに、もう一枚紙を渡してきた。「ここに手配書の男が必ず来る。その時は殺せ」と。「我が名はジョンドゥ」。


「これが手配書を作った理由だ。すまない」ロードは頭を下げた。


「別に終わったことはしかたない。だけど、ふざけた名前だ。全部掌の上で転がしている野郎だ。頼みがある。裏社会に行くにはどうすればいい?仲介人なんだろ?」


「紹介はできるが・・・。止めても無駄か。わかった。紹介状をやろう」ロードは呆れていたが、立ち上がり、壊れた部屋の棚から紙を取り出した。


「これを黒の国の入口で渡せ。あとは指示に従えば、裏社会に案内してくれる」


クロは紹介状を受け取るとヒメと二人でロードの元から去った。


しばらく歩いていくと、「ヒメ。悪いけど店任せていいか?」


「いいよ。いってらっしゃい」


クロは一人で黒の国へ向かった。


後日、ヒメの手配書が何もかによって流れていた。以下手配書の内容。


通称ヒメ(ヒュメルドーナ・メラクレス)

能力 魔力

弱点 魔力を含まない攻撃、魔力を過剰に吸収すること

賞金 金貨100枚


ジョンドゥとは何者なのか。クロ達をどうしたいのか。今はまだわからないままであった。

いつも読んでいただきありがとうございます。

戦闘シーンを書きたい・・・。

うまく戦いまで書くのって難しい。

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