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第3話 特訓開始!

第3章


空は曇り、雨が降りそうな天気の中、クロは食堂から出て、寮に向かっていると、研究棟から痩せた白衣を着た研究者が声をかけてきた。


「クロ君ではないですか?」疲れ切った声で話しかけてきた。


「ああ、所長か。また、何かの研究で徹夜してんのか」


白髪頭で眼鏡をかけ、瘦せ細った身体をした今にも倒れそうな男がこのSTFの所長ゼースである。歳は40歳だが、見た目は60過ぎのおじいさんにも見えなくない。研究したいことがあれば、寝ずに倒れるまで研究をする。能力は閃きで、何かのきっかけで頭の中でイメージが湧いてくる。その好奇心に負け、何よりも研究に没頭してしまう。この人のおかげでSTFが自分のような身寄りがない子供を受けいれて、能力の成長過程の研究をしている。


「お久しぶりでしたかな?最近また研究が忙しくて5日ほど寝てないですが、副所長に追い出されてしまいました」


「まあ、所長はたまには休んだ方がいいよ」


「ええ、ですが、何かやってないと落ち着かないもので・・・」


「じゃあ、頼みたいものがあるんだけど、こんなの作れるかな?」クロは所長に近づき、提案をする。


「以前の失敗したあの現象から?待って下さい。やれます。やれますぞ。イメージが湧いてきました。さあ、こうしてはいられない、クロ君少しばかり一緒に来てくれますか?」所長のテンションがどんどん上がっていく。返事も待たずに腕を掴み、研究棟に連れていく。


「いいけど、大丈夫なのかよ。また、副所長に怒られるぞ」クロは反抗もせず、引きずられながら、連れていかれる。こうなった所長は止まらないのをよく知っているからだ。


こうして、クロは夕方になり、やっと所長から解放され、研究棟からクロと所長が出てくる。


「いやあ、なかなかに面白いアイデアでした。完成品ができるのは3日ぐらいになりそうですが、いいですか?」


「うん、全然問題ない。悪いけど出来たらブラッドに渡しておいて、俺のは後で取りにいくよ。」


「ぜひ、また来てください。クロ君ならいつでもお待ちしております。」所長は疲れがどこかに飛んでいったのか満面の笑みで見送る。


所長と別れるとクロは寮に向かっていく。


空を見てクロは「なんだ、雨降るかと思ったのに晴れたのか」


きれいな夕日がクロを照らす。


翌日教室にてブラッドは5人に向かって笑顔で言う


「みんなには、来週まで自分の能力の強化をしてもらう。方法は問わないが、2週間後にギルドのⅭランク昇級試験を受けてもらう。そのための期間にする。」


「え?そんな急なこと言われても困ります。まだ自分たちには早くないですか?」ダミアが不安な表情を浮かべて、クロの方を見る。


「まあ、不安な気持ちもわかる。12歳でCランクはなかなかいないのもわかるが、ちょうどいい依頼がギルドから来たから申請するしかないじゃないか。前回Dランクは1年前だし、色々あったかもしれないが、そろそろ切り替えていかないと、あとは今後の遠征にも関わるから、チャンスがあるなから受けてみないか。」ブラッドは笑顔でダミアをなだめる。

この世界にはギルドがあり、ランクがある内容によって受注できるクエストが変わる以下がギルドのランクである。


Sランク:伝説級偉業を成し遂げかつ、各国が認めた英雄的存在

Aランク:一流冒険者と呼ばれ、移動用の魔獣車の用意や、

物資の支給があるなど優遇される。しかも、報奨金の交渉ができる。

Bランク:危険な大型の魔獣討伐依頼が受けられる。

Cランク:他国に渡る際に通行税が発生せず、国の防衛隊に志願できる。

Dランク:小さな魔獣の討伐依頼を受けられる。

Eランク:植物や鉱物を採取のために、単独で国外に出ることができる。

Fランク:国町村の雑務全般の下積み。単独で国外に出ることはできない。


以上がギルドの詳細である。


「俺は将来英雄になるそのために今回の依頼でCクラスになるんだ」アレスが自分を鼓舞するように話す。


「わかった、アレス。だが、まだ詳細を話していないぞ。そんなに急ぐな。それではCランク昇級の詳細を説明する。ここから北東付近に出現しているブルーファングの討伐だ。」


「そんな先の討伐予定では先に他のギルドが終わらせてしまうのでは、ないですか?」テツオが質問する。


「そうだ。今回は討伐依頼が残っていたら受けられるだけで、確実に受けられる保証はない。うちは本格的なギルドではなく施設だから、余っていたら受けられるだけだ。だが、考えがないわけではないぞ。ここから東側には白の国があるが、司法の国だから討伐をメインでやる冒険者ギルドが少ないんだ。今回、依頼が残っている可能性が高い。そのためにも、この1週間自分を見つめ直し、残りの1週間で5人での連携の訓練を行う。」先生は笑顔で説明する。


「じゃあ、今日もう授業終わり?帰っていい?」クロが起きるとブラッドに質問する。


「クロ聞いてたか?自分の能力の向上を訓練する時間なんだぞ。まあ、大丈夫か。全員解散だ。」ブラッドは渋い顔をしながら、授業の終了を伝える。


ブラッドが教室から出ようとした時にダミアとダンガンに声を掛けられる。


「先生この後時間ありますか?」


「おう。どうした?」


「特訓をお願いします。」ダミアとダンガンが頭を下げる。


「まあ、いいけど。きつくても逃げるなよ。」先生は笑顔で話しかける。


「はい!」ダミアとダンガンは返事をする。


「じゃあ。射撃用の訓練場に行こう。クロ場所使ってもいいか?」


「別に俺の場所じゃないんだから、許可なんていらないだろ。ご自由に。」クロは素っ気なく返す。


「じゃあ2人とも行くか。」3人は教室を後にする。


クロは立ち上がり、教室を出ようとすると、アレスとテツオが声をかける。


「クロ。頼みがある。訓練に付き合ってくれないか?」テツオがクロに声をかける。


「なんで俺なの?ブラッドの所に行けばよかっただろ」


「放出系の先生からだと自分の能力の強化に繋がないかもしれない。お前なら何か俺らに強くなる方法を知っているんじゃないか。頼む。俺らのこと嫌いかもしれないが、つきあってほしい。」アレスが深々と頭を下げる。それを見てテツオも頭を下げる。


「やる気があるなら、訓練場に来れば、やりたくなくなったら、いつでもやめていいよ。じゃあ飯食ってくる。」クロは教室から出ていき、食堂に向かった。


「ありがとう。準備して、訓練場に行ってる。」アレスは覚悟を決めた目をしていた。



射撃場用の訓練場にて

ブラッドとダミアとダンガンの3人が集まっている。


この訓練場は昨日の訓練場と同じような広さで射撃場のように射撃の的が書かれた人形が10体ある。右側は2体は人形のみだが、左側に行くに連れ、障害物の柱が置かれている。また、人形は壊れても1分で元の人形の形に戻るように、魔術が施されている。


「じゃあ、まずは、約50m先の的に見本を見せるから、それを真似してみろ。」先生は笑顔で言う。そして、左手の人差し指をナイフで切ると銃のように構える。小さい血の塊が弾丸の形になり、発射され、的の頭を打ち抜く。


「まずこれぐらいは出来ないとな。大きい弾なら簡単だが、小さい弾を使ってピンポイントで狙うんだ」先生は笑顔で簡単そうに言う。


「じゃあ俺からやる」ダンガンが構え銃を出し、打つ。しかし、頭の方に飛んで行った弾は、右に逸れて、外れる。


「くそ、なんで外れる」ダンガンが小さく呟く。


「じゃあ、ダミアやってみろ。狙いは人形の左胸だ。」


「はい」ダミアは両手を前に出すと植物の種が出来て、発射する。途中まで真っ直ぐ向かうが同じように逸れて外れる。


「え~?当たったと思ったのに。なんで飛んで行かないの?」ダミアは悔しそうな顔をする。


「はい。二人とも残念何がダメかわかるか」先生は笑顔で二人に説明する。


「弾が逸れる」ダンガンが呟く。


「そうなんだよ。ここは左から右にかけて風のような魔力の流れが魔術で造られている。魔力の流れを見ることと、魔力を込めることの2つが出来ないと真っ直ぐ打つことすら出来ない。さらにこの先の左側は障害物の柱があって、柔軟に魔力が使えないと飛ばない構造になっている」


「なんで、こんな面倒な仕組みどうして造ってあるんですか?訓練場の形を変えたりするのはヘハイストス先生にお願いしないといけないのに…」ダミアが質問する。


「クロが何年か前から練習したくてヘハイストス先生に色々お願いして出来た訓練場なんだ」


「でも、あいつが練習なんてしてるの想像出来ない…」


「違うな。ダミア」真剣な顔で先生は話をし出す。


「クロは、みんな見ている所ではだらしない態度だが、見えない所で、実際は努力しているんだ。それもお前たちが寝ている時間を使ってな。だから、先生も授業中寝ててもあまり強く注意出来ない。あいつは、俺なんかよりも努力して、強くなろうとしているんだ。」ブラッドは申し訳なさそうな表情でクロの実力の秘密を打ち明ける。


2人は驚いて何も言えないのか黙ってしまう。しかし、よく考えればそうだ。昨日の訓練も4対1で戦った私たちに対してクロは1人で先生と戦っている。並みの努力ではあそこまで行かないことぐらい、考えればわかったじゃないか。


「まあ、お前たちはまだコツを知らないからな。今頃クロもアレスやテツオに教えている頃だろうし。クロは昔からそれをマスターしているからこの訓練場を造ったとも言える。」先生はそのコツを説明しだす。


「まずは自分の目に魔力を意識してみろ。そうすると空気中の魔力がぼんやりと見えるはずだ。まずは5分間目に魔力を集中して見ろ。」先生は右手で目を指しながら指示する。


2人は静かに目を閉じて集中している。そして目を開けると、いつもと違う景色が見える。青のような緑のようなしかし、透明で、まるで、シャボン玉の中から見ているような感じだ。人形の方を見ると10m前から魔力の流れがあり、先ほどの弾が逸れた理由がわかる。先生の方を見ると体から蒸気のように魔力が出ているのが、わかる。自分の手から出る魔力を見て先生との差を実感する。


「これが魔力。実際に見ると変な感じだ。」ダンガンが驚きながら呟く。


「そうだ。一流の冒険者なら誰でも使えて、戦闘中には常時魔力の流れを見ている。そうすることで、次に来る攻撃も予測できる。個人差はあるが、最初は意識して、最終的には無意識に出来るようになってほしいな」先生は笑顔で2人に伝える。2人は無言で的に向かて、狙いを定めて打つ。



一方訓練場では

アレスとテツオが息を切らしながら、地面に倒れており、クロが上から見下ろす。


「はあ・・・はあ・・・なんで魔力の動きが読めない」アレスが悔しそうに呟く。


「魔力が見えてもこんなじゃ。見えてないのと変わんないな」クロがオブラートに包まずに言う。


「とりあえず、少し休憩だ。組手だと練習にもならないからやり方を変えるか」クロは少し優しく言う。

5分後

倒れていた2人も息を整えて、悔しそうに立っていた。


「じゃあ、ここからは俺の人形に遊んでもらう」クロはガラスの瓶から水を地面に流して、手をかざす。その時、水が凍り、氷の像が2体現れる。


「この氷像をサンドバッグにしろってことか?」テツオがクロに怒りと情けない感情をぶつける。


「いいから弱いやつは黙って、殴ってろ。あと能力は全力で使え」クロは飽きれながら言う。


「ふざけんな」テツオがクロに飛びかかろうとしたところをアレスが前に出て制止する。


「わかった。壊してもいいんだな」アレスは剣を出して構える。


「ああ、出来るもんならな。」クロは挑発する。


アレスは1体の氷像に飛びかかり、剣を振り下ろす。しかし、氷像は動き、体を横に逸らして剣を避けると、そのまま右手で腹部を殴り、アレスを吹き飛ばす。


「なんで氷像が動くんだ」テツオが驚き、クロに問う。


「言うのを忘れてたが、氷像は俺の魔力で動かしている。さあ壊していいから戦え」クロがテツオをさらに挑発する。


テツオは氷像に向かって拳を振るうが、硬い。その隙に、氷像に殴り飛ばされる。


「テツオ。お前は部分的に鉄化して訓練しろ。寝る時も常にどこかは鉄にしろ。全身鉄化はしばらく禁止だ。あと1体ずつ壊せない奴は昼飯抜きだ。」


二人は全力で氷像に飛びかかるが、また吹き飛ばされる。


「おい、魔力を見るのを忘れてないか。常に意識しろ。」


「能力使うと目に魔力を集中するところじゃないんだよ」テツオが噛みしめながら言う。


「それが出来なきゃ。こんな氷像1体にも傷一つ付けられないな。あとアレスは剣を2本出して使え。そっちの方が身体能力が上がる。」


「無茶なこと言ってくれる。1本でも維持し続けるの大変なんだぞ。」アレスは2本目の剣を出して、氷像に切りかかるが、吹き飛ばされる。


こうして2人は日が暮れるまで特訓が続く。

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