第34話 出会い
クロはどこかで寝ていた。ここはどこだ。汗臭いし、鉱物を叩く金属音が聞こえてくる。
目を開けると、夕日が差し込む採鉱場にいた。近くに焚火があり、目の前にはドワーフがいる。身長が低く、長い髭を持ち、腕は筋肉ムキムキだ。彼の肌は煤けた岩のような色をしていた。
「お前さん。目覚ましたか?おーい、子供が起きたぞ」奥の方に声をかけた。
声が反響し、返事が来るとドワーフが三人が来た。
「生きてたんか?よかった」
クロは事情を聞いた。どうやら、力尽きて山から落ちたところを彼らが発見し、看病してくれたようだ。ここには、よく奴隷が自殺で落ちてくるらしく、自分も同じだと思われたらしい。
「いつも死体ばかりだったから、驚いたぞ」ドワーフは笑いながら話した。
「そうか。助かったよ」クロは立ち上がろうとした。
「おいおい。待てよ。起きるのを待ってやったんだ。付き合えよ」ドワーフはコップを渡してきた。
クロのコップに透明な液体が注がれた。匂いはアルコールだ。ああ、酒盛りに付き合えってことか。クロは一口飲んでみた。
「これきついな。なんか土の味するし」
「ワハハ。そうだ。これは魔力石を漬けて、作ったドワーフの酒だ!」
「まあ、かなり魔力が回復するな」クロは一気に飲み干した。
「ワハハ。あんちゃんいける口だな。ドンドン飲め」大きなコップから酒が注がれた。
「いいのか。飲ましてもらって」
「ワハハ。久しぶりの人間だ。楽しく飲まないと損だろ」
クロとドワーフ四人でどんどん酒を飲んだ。つまみがないのが寂しいが、話し相手がいるのはいいもんだ。ドワーフは酒が無くなると、大きなコップで樽を素早く開けて、酒を取り出し、蓋をすぐに閉めた。
「そんなに急がないと酒が燃えるのか?」
「そうだ。アルコール度数が高すぎて、樽を空けとくと自然に燃えちまう。樽とコップは魔術で酒が燃えないように加工したのを使っているんだ」ドワーフはクロに酒を注いだ。
「酒飲むのも結構大変なんだな。ドワーフがコップを作るのか?」コップを見ながら酒を飲んだ。
「うちらドワーフはそんなことできねーよ。貿易都市にドワーフ相手に売ってるのを買ってくるんだ」
「貿易都市には、面白いの売ってるんだな」
「それをいったらあんちゃんが来てるローブ、それ本物か?」
「本物って?拾っただけなんだけど」クロは酒を一気に飲み干す。
「いや〜、ドワーフ一族が作ったとされる英雄三種の神器かと思ってな」ドワーフは酒をクロに注いだ。
英雄三種の神器は、それぞれローブ・地図・盾を指し、ドワーフの先祖が知識と技術と素材を最高の職人たちによって、Sランクになった英雄に渡す目的で作られたマジックアイテムらしい。
ローブは、魔力によってあらゆる動きをし、傷や破れも魔力で直る。
地図は、魔力を流すと見たい相手の居場所を地図に写せる。
盾は、魔力で形を変え、あらゆる攻撃を防ぐ。
完成後すぐにドワーフの職人たちが襲われ、マジックアイテムがどこかに行ってしまって、今誰が所持しているかわからないそうだ。
「ワハハ。でもあんちゃんのローブはボロボロだから偽物だな。本物なら常にきれいな状態になるからな」ドワーフは酒を一気に飲む。
「そうだよな。本物がこんなところにあるわけないよな」クロは一気に飲んだ。
会話が盛り上がり、全員酒に酔ってきた。ドワーフの話になった。ドワーフは長寿で、職人になるまで名前がないそうだ。採鉱で見習いをし、鉱物の見分ける目を養い、武器を作る練習をし、自分で店を出して、その時に初めて自分に名前を付けるらしい。いいドワーフの見分け方は名前があるかどうかだそうだ。
「ドワーフは面白い話いっぱいあるんだな」クロは酔ってご機嫌だ。
「面白い話なら、最近この近くで出るって噂だ」一気に飲み干して話した。
「出るって?何が?」
「貿易都市から戻って来たドワーフ連中が見たっていうんだ。森の中に化け物がいたってな」
「どんな化け物だ」
「それがよ。みんな言うことが違うんだ。黒い人影とか獣とか巨人とか、言ってることが違うんだ。だがな、森の位置は大体おなじなんだ」ドワーフはクロに酒を注ぐ。
「なら俺が見つけたら、退治してやるよ」酔った勢いで言ってしまった。
「ワハハ。それは頼もしいな。じゃあ頼んだぞ」ドワーフは一気に飲み干して笑った。
ドワーフは本当に酒を飲む。こんなに強い酒なのに、どんどん飲んでいくんだから、こんなの酒が弱い人間が飲んだら、即死するだろう。会話をつまみに酒が進む。いつの間にか飲み比べ勝負が始まり、一気に酒を飲み干し、騒いで、時間はいつの間にか進み、夜が明けた。
朝日が昇ると、クロはドワーフと別れを告げた。酒のおかげで魔力もかなり回復した。
クロは採鉱場を後にすると、溶岩が川のように流れる横を歩いて、道を出ようと歩いていた。
昨日の話では道なりに進めば、森の街道に行けると言っていたが、荷車で移動しないから道が変わった気がしない。
夕方になり、果てしない溶岩の道を抜けると、草木が少しずつ見えてきた。荷車が通った跡がある。これを辿れば、森に行けそうだ。
そういえば、森に化け物が出るって話したが、まあそうそう会うことはないか。
夜になり、森に着いた。
目の前には化け物がいた。なんだ、本当にいたんだ……。
いつも読んでいただきありがとうございます。
第2章が始まりました。クロの仲間を集めギルドを作る話になります。
仲間集めで長くなると詰まらなくなると思うのでサクサク行けるようにします。
どんな面白いキャラが仲間になるか楽しみにしてください。
次回もよろしくお願いします。




