第28話 大型魔獣討伐
四日目。
相変わらず悪路を進んでいた。だが、四人は慣れてきたのか順調に進めるようになっていた。
魔獣に遭遇することなく進んでいたためか、持ってきた食料が非常食だけになってしまった。
水はクロの氷を溶かして、飲み水にした。
五日目。
四人は赤の国はまだだというのに、少し暑そうだった。赤の国には火山がたくさんあり、毎日小さく噴火する火山地帯だ。きっと国の中はすごく暑いのだろう。
また、道が少し平らになったような気がした。実際、木がそれほど育たないのか、歩くのに邪魔な太い木の根が少なくなっていた。
空にいた鳥を見つけ、肉を欲していた四人はなんとか捕まえられないか考え、降りて来いと祈りだした。
「何なんだこいつらは、頭がおかしくなっているな」クロは代わりに鳥を取りに行くことになった。
クロは氷で足場を作り、上に飛んで行く。鳥だと四人は言っていたが、上空を飛んでいたのは、ファイアーバルトゥアという赤の国に生息する大型の魔獣。しかも、黒色の希少種だ。
「ピァァァ」獲物を見つけ狙いを定められた。
「鶏肉か。いいな」クロはにやりと笑い、獣化した。
魔獣が火を噴いたが、クロはそれを受け止めた。クロに火は効かない。むしろ、魔力を吸収した。
「この焼き鳥とは相性がいい」どう対処しようか笑みが止まらない。
水のボトルを握り潰して水を飛散させ、「アイス・フィールド」と唱えると、魔獣の周辺に氷の板が複数出現した。
さらに、両足に雷の力を纏わせ、氷の足場から足場へ高速移動で加速し、魔獣の首目掛けて電撃の蹴り技である「サンダー・ストライク」を放った。
魔獣は、地上にいたブラッドたちの元へ落下していったが、クロは空中で氷の板を出して受け止めた。魔獣を地上に降ろすと、ブラッドから殴られた。理由は、事前の忠告を無視して、希少種相手に戦いを挑んだことに怒っているようだ。別に負けないのに、なぜ怒るんだ。
説教が終わると、クロはすぐに血抜きの作業に取り掛かる。今回は内臓をしっかり取り除いてみよう。このサイズなら食料にも困らないだろう。今日はこの場で野営することになった。
クロは楽しそうに解体をしている。その手は血塗れだ。血など気にせず、どんどん捌いていく。このクロの探究心はどこから湧いてくるのか。
魔獣肉でも鶏肉ということもあり、ダミアが嬉々として料理をしてくれた。ただ焼くだけではみんな嫌なようだ。クロにしてみれば、焼くだけでもうまいのにな。
こうして五日目が終わった。
六日目。
かなりの暑さになって来た。何もしなくても汗が噴き出る。
食料の問題も解決し、遅れた分を取り戻そうと急いでいた。
「おい、周囲の警戒が出来てない」クロが警告をした。
急いでいたせいで、警戒が薄くなり、魔獣の群れに囲まれた。複数体のグリーンゴブリンが囲んでいた。
四人は気持ちを引き締め直し、陣形を取った。素早く魔獣を討伐すると、クロが怒った。
「急いで行こうとして、周りが見えなくなったら終わりだ」
四人は緊張感を持って進みだした。目的まであと少しの所まで来た。
今日はこのまま休みにして明日に備える。
四人は少し緊張していたためか、食欲がなかった。
「大丈夫だ。みんな緊張するのはわかるが、食べないとダメだ」ブラッドは笑顔で食べるように勧めた。
四人は少しずつ食べ始めた。
「なんで緊張なんかするんだ?」クロが空気を読まず、発言した。
「クロにはわからないでしょ。弱い私たちはどうしたらいいかわかんないの」ダミアが怒っていた。
「ん?誰が弱いんだ?別に余裕だろ」クロは食べながら話した。
「「「「え?」」」」四人はクロが褒めたことに驚いた。
クロは本音しか言わない。弱い奴には弱い。無理なら無理と言う。そんなクロが「余裕」ということは、実力を認めているということになる。
皆の戦意は上がり、明日大型討伐に挑む。
七日目。
道中の魔獣が思ったよりも少なかったおかげで、休みも多かったが、予定通り目的地に着いた。問題はここから、目的の魔獣を探さないといけないことだ。地上の魔獣と違い、足跡がない。空を見るしかない。
ダミアが巨大な木を生やして、三人が上で魔獣を確認していた。
上から見ると赤の国が見えた。赤黒く、火山がたくさんあった。
近くに飛行している魔獣を見つけた。ダミアに発見を伝え、魔獣の方へと向かっていった。
そこには木で休んでいるレッドワイバーンがいた。だが、色が少し変だ。色が所々変色していた。
「これは希少種になる前の状態だ。お前たち討伐は待て」ブラッドが止めに入った。
しかし、四人はすでにやる気に満ちていた。
「大丈夫。まだ希少種になったわけじゃない。希少種なら撤退する約束ですよね」アレスが反論した。
空中ではこちらが不利。なんとか地上戦に持っていきたい。アレスはダミアとテツオに合図した。
ダミアが地面に両手を当て魔力を流し、テツオは姿勢を低く構えた。
「アイアン・ロケット」により、テツオは地上から出たダミアの木によって、ワイバーンの背に掴まり、翼が使えないようそのまま鉄化した。バランスを崩したワイバーンは地上に落下した。
「今だ、ダミア!拘束するんだ」アレスの掛け声と共にダミアは「ピアンタ・コルダ」と唱え、ワイバーンに木が巻き付かせた。
「一気に頭を潰すぞ。ダンガン」
「ああ、任せろ」
二人は同時にワイバーンの頭を潰した。討伐は成功した。空中で飛び回られたら、とてもじゃないが対処できなかっただろう。
「よくやった。お前たち本当によくやった」ブラッドは笑顔ではあるが、泣きそうな顔をしていた。
四人がこれほどまでに成長しているとは思ってもいなかった。もう自分がいなくても立派にやれる、そう思った。
魔獣の素材を取り、カバンにしまった。あとは帰るだけだ。
「今回は、赤の国のギルド支部で報告と宿泊をして帰ろうと思うだがいいか」ブラッドは提案した。
さすがに四人も疲れているだろうし、しっかり休ませてあげたい。赤の国も近くにあり、皆、口には出さないが行きたいと考えていることを察してのことだ。
四人は喜んで同意した。一同、赤の国に向かって出発した。だが、まだ知らない。この判断が全員の人生に大きく影響を与えることになるとは。
いつも読んでいただきありがとうございます。
7日間を描くのは難しいです。
日記みたいになってしまいました。
これからが書いて見たいと思った内容になります。
ぜひ次を楽しみに読んでください。




