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キャンバス~色なき世界のアービトレーター≪仲裁人≫~  作者: ぶーたん
第1章 研究施設編

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第27話 旅路の成長

二日目。一同は森の中を進んでいた。その道中、大型の魔獣に出くわした。巨大化したサイのような魔獣ブルーサイホーンだ。とにかく大きな角を持ち、その突進が主たる攻撃手段だ。


四人は攻撃を躱しながら隙を探して動き回っていた。弱めの大型魔獣とはいえ、全員が冷静に対処している。


ダミアは地面に手を当てて魔力を流し、アレス、ダンガン、テツオの三人が魔獣を誘導する。


「今だ!ピアンタ・コルダ!」


魔獣の手足を大きな木が巻き付き、動きを完全に拘束した。アレスとテツオが飛びかかる。


光波裂傷斬こうはれっしょうざん!」アレスが大きな角に一撃を加えたが、角にヒビが入った程度だ。


「まだだ、アイアン・フィスト!」上からテツオが角目掛けて鉄の拳を叩きつけ、ついに角をへし折った。


動きを封じられた魔獣の顔に、ダンガンが飛び乗り、ゼロ距離で銃を構えた。


「バースト・ショット!」魔獣の顔が吹き飛んだ。


魔獣は横に倒れ、四人はほっと息を撫でおろした。クロは魔獣に近づくと、腹部をナイフで裂き、血を抜いた。しばらくして、肉を切り取った。


その夜。


全員で食事をしている最中、クロは今日手に入れた魔獣肉を焼いていた。全員が食べると、昨日とは違ってものすごく臭みがあり、不味い。


「これだよ。魔獣肉の味は!」ブラッドは笑顔でまずそうに食べていた。


クロは食べながら考えていた。昨日は小型でうまかったから?今日は大型だから?いや、そうじゃないはずだ。血抜きはどうだった?今日は頭が吹き飛んで血が出た後、血抜きをした。昨日は外傷がほとんどない魔獣を選んで血抜きをした。


つまり、外傷を最低限にして、血を抜かないと、血がうまく抜けきらないのではないか。これだ!早速試したい。


「明日大型がいたら俺が一人で狩る」


全員が驚いた。やる気がなく、怠けているクロが急におかしなことを言うものだから、魔獣肉のせいで頭がおかしくなったと全員が思った。


「どうした。頭大丈夫か?」ブラッドが心配そうに聞いた。


「馬鹿か。問題ねえよ」


「ならいいんだが、大型は出るかわからないぞ」


「いたらでいいんだ。一人で試したいことがある」


クロは楽しみを見つけたようで、早く明日が来ないかと、興奮して寝られなかった。こうしてクロはブラッドを寝かせて、見張り役をして朝が来た。


三日目の朝。


四人は旅の疲れを感じ始めていた。魔獣からの襲撃に備え、周囲を警戒しているせいだ。対してクロは、大型魔獣がいないか周辺を見て回っていた。


四人は疲れもあり、途中で休憩を挟んだ。


「ごめんなさい。疲れちゃって」ダミアが言った。


「いいんだ。今は休むことも大事だ」ブラッドは四人を元気づけた。


クロは魔獣の気配を感じて急いで向かった。だが、いたのはレッドゴブリンの群れだった。本来Bランク相当で、人数が必要なほど危険な相手だ。


「くそ。大型じゃないのか。でも、食えるか試せる」


クロは相手など気にしていない。ただの食材としか見ていない。クロは丁寧に傷をつけないように優しく魔獣を殺した。すべて倒すと、状態が良さそうなのを探す。これがいいと見つけると感謝して、血抜きをした。いらない分は燃やしておいた。他に獣や魔獣が食べに来ないように痕跡を消した。冒険者の心得だ。


みんなが休憩している所に、クロはゴブリンを持って行った。昼ごはんに食べようとクロは言い出した。だが、見た目が人に近い魔獣のため、四人は受けつけない。クロは楽しそうに切り分けていくが、四人は見ていられない。肉を焼き終えると、四人に食べさせようとした。


「「「「いやいやむりむり!」」」」揃って拒絶した。


捌いていたところを見ていたせいか、食べる気が起きない。


「ほら、うまいから食べてみろ。魔力も回復するし、ほれ食え」クロは食べながら四人に勧めた。


四人は仕方なく我慢して一口かじりついた。これはうまい。昨日の肉と違って、うまみがある。これならたくさん食べられる。クロはどんどん焼いて渡して食べさせた。


一同昼ごはんを食べ終えると、四人は元気になっていた。やはり魔獣肉は栄養がかなりあり、即効性がある。再び一同は歩きだした。休憩したおかげか、足取りが軽い。


夕食は普通の料理を食べた。道中、魔獣に出くわすことがなく、クロは不満そうに食べていた。四人は少し安心していた。見た目が人に近い魔獣を持ってこられたらと考えるだけで食欲が失せる。クロがなんであんなに楽しそうなのか理解できなかった。


夕食後、アレスは黒ずんだ石を見て、疑問に思ったことを聞いた。


「先生、あの黒い石ってなんか変じゃないですか?うまく言えないですけど、魔力が若干あるような……」


「あの黒い石か。あれは魔力石だ」


「あれが魔力石なんですか」


魔力石とは、魔力が凝縮して出来た結晶石であり、魔力を周囲に振りまいている石である。魔力石によって動物から魔獣へ変化したり、地形に影響を与えて、ダンジョンが出来たりする。


「だけど、もう魔力が残ってないみたいだな」ブラッドは言った。


「残っていたらどうなるんですか?」


「むやみに近づかないことだ。魔力は一定以下になると魔力欠乏症になるが、多く取り込みすぎると、能力が制御できなくなる魔力暴走症になる。暴走したら最悪死に至る症状だから、魔力石には基本近寄らないことだ」


「それだけ危険なんですね」アレスは感心した。


「危険もあるが、ポーションの材料は魔力石から出来ているから、毒とも薬とも言えるな」


「先生は魔力石を取りに行ったことありますか?」


「いや、行ったことがないな。なんでも魔力を阻害する専用の装備が必要らしく、採取を目的としたギルドがやるもんだから、詳しくはわからないな」


「じゃあ先生、ダンジョンは行ったの?」


「ダンジョンはよく行ったな。ダンジョンには、形が残り続けるダンジョンと、鉱石を取り終えたら崩壊するダンジョンがあってな。貴重な鉱石が手に入るから、取りに行っては武器屋で装備を鍛えてもらったもんだ」ブラッドは懐かしそうに話をした。


その後もブラッドの冒険談を聞き、三日目が終わりを告げる。

読んでいただきありがとうございます。

人型の魔獣って食べたくないですよね。

そんな4人の反応を面白いと思って頂けたらうれしいです。

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