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キャンバス~色なき世界のアービトレーター≪仲裁人≫~  作者: ぶーたん
第1章 研究施設編

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第19話 デート(?)

クロとダミアは食堂に入った。


「いらっしゃい」明るいおばちゃんが元気よくあいさつした。


「あの二人でお願いします」


「はいよ。空いているとこ座っておくれ」


狭い店内には二人席のテーブルが六つしかなかった。クロは入り口から一番手前にある席に座った。そのあとダミアも席に座った。そういえば、二人きりで食事をするのは初めてだ。いつも喧嘩ばかりしていたから、ちゃんと話をするのも、もしかして初めてかもしれない。


「はい。サービスのお水だよ」二人の顔を見てにやにやと口角を上げている。


「ありがとうございます。何か顔に付いていますか?」ダミアは不思議そうに尋ねた。


「いやね。こんなところに若いカップルが来たから珍しいなと思ってね」


「いや。そういうんじゃなくて。ただのクラスメイトで」ダミアは恥ずかしそうにもじもじし出す。


「いいねえ。若いって」


「それよりおばちゃんこの店から良い匂いがしたんだけど、そのメニュー教えて」クロはおばちゃんのからかいに動じず、本題に集中するように気になったものの確認をした。


おばちゃんはメニューを開いて、チキンの煮込みと野菜炒めがいい匂いのメニューだと教えてくれた。


「じゃあ、それとサラダ一つ、飲み物は食後に俺は温かいお茶、こっちはリンゴジュースで」


「はいよ。ちょっと待っててね」


「なんで野菜炒め頼むのに、サラダ頼むの?野菜好きなの?私は好きだけど」


「俺はサラダいらない。お前好きだろ」


なんで好みを知っているのか。好きな食べ物の話なんかしたことないのに。なんか見透かされている気がする。


「うん。そうだけど・・・。こういう時は気を遣うんだね」ダミアは頬を染めて嬉しそうな表情を見せた。


おばちゃんが来て、サラダを持ってきてくれた。ビネガードレッシングがかかった、レタスと、くし切りされたトマトのみの少し寂しいサラダだが、野菜はみずみずしくツヤがあり、つい先ほど収穫されたばかりのような雰囲気がある。


「はい。青の国産のサラダだよ」テーブルの中央に置かれ、取り皿とトングを置いた。


「青の国って」ダミアが驚いた。自分が行ってみたいと思った国であったからだ。


ダミアは小皿に二つ分けるとクロに一つ渡した。ダミアはサラダを一口食べた。このサラダはすごい。口の中で野菜のうまみを含んだ汁気があふれ出てきた。ただのサラダではない、素材がすごくいい。ドレッシングも野菜のうまみを邪魔しないさっぱりしていてバランスがいい。


「おいしい。すごくおいしいよ。クロ」喜んでいるのがよくわかる。


「青の国の野菜はうまいからな」クロもサラダを食べた。


二人はあっという間にサラダを食べ終えた。この後に来たチキンの煮込みと野菜炒めも絶品だった。二人はいつの間にか会話も忘れ、夢中になって食べてしまった。


「はい。食後の飲み物だよ」おばちゃんが食べ終わったのを確認して、飲み物を持ってきてくれた。


「すごくおいしかったです」ダミアは満足そうに話しかけた。


「それはよかった。こんなこじんまりした店に、なかなか若いカップルなんて来ないからね」おばちゃんは話しながら空いたお皿を回収していった。


「ねえ、クロ私たちそんな風に見える?」


「知らん」クロはお茶をすすった。


「こんなかわいい子と一緒にデートなんだから、ちょっとくらい照れてもいいじゃない?」


「自分でかわいいとか恥ずかしくないのか?」


「別にそう言ったら照れると思ったの」ダミアはジュースを飲んでごまかした。


「このリンゴジュースすごいおいしい」ダミアは先ほどの話を忘れてジュースのおいしさに驚いた。


「それも青の国のリンゴ使っているからな。青の国は水がいいから基本的に品質がどこよりも高いんだよ」


「へえ~。じゃあおいしい出店もわかるの?」ジュースを飲みながら聞いた。


「見てみないと何とも言えないけど」お茶をすすりながら答えた。


「じゃあ、次は出店を見て回ろうよ」


「今食ったばかりなんだけど、太るぞ」


「今日はいいの」


二人は会計を済まして、出店の多い方へと歩いて行った。


「どういったのがおすすめなの?」


「まあ、入口近い所は高いってのは定番だな。来た人が浮かれて買う」


「ふ~ん、確かに値段が違うかも」


「あとは調理器具にこだわってる所がいいな」


「そんな所も見てるの?」


「食堂のおばちゃんから聞いたんだよ」


「あ~、なるほどね。おばちゃんと仲いいもんね」


こうして二人はいろんな出店で食べ物を買って食べた。やはり青の国の食材を使ったのはおいしい。


「ねえ、次はアクセサリー見てみたいの付き合って」ダミアは強引にクロの腕を掴み、引っ張って行く。


「おい、落ち着けって」


二人は歩いてアクセサリーの露天商を見つけた。繊細な装飾が施されたアクセサリーが並んでいた。


「ねえクロ、ここ見て。きれいなのがたくさんある」ダミアは歩く足を止め、瞳を輝かせていた。


「ん、ここなら値段も安くていいんじゃね」


「はい。いらっしゃい。若いカップルさん見て行って。うちはペア物も揃えてるから」


「へえ、一緒にペアにしようか?」ダミアはクロをからかうように見てきた。


「いいから、早く欲しいのを選べよ」


「カップルなら、こういう時一緒に見るものなの~」ダミアは少し頬を膨らませた。


「カップルにいつからなってんだ。俺らは?」


「ノリが悪いな。本当にモテないよ」


「別にモテなくていいんだよ」


「どうせなら、かっこいい奴にしてモテるようにしてあげる」ダミアはクロの話を聞く気がなく、ノリノリでアクセサリーを見ていた。


なんでこうも女という生き物は買い物が長いんだ。まるで自分だけ世界に取り残されて、いるような感覚に陥る。自分以外の時が止まってしまっているような、そんな感覚だ。


「あ、この髪飾りかわいい」花の装飾がされた髪飾りだ。


「お、いいの選ぶね。それは見習いのドワーフ職人が作った髪飾りでしっかりしてるよ」


「ねえ、クロ。どうかな。似合うかな」髪に当ててクロに確認する。


「いいじゃね」


「素直じゃないね。そういう時は似合ってるっていうの。女の子はそういうのが、うれしいんだから」


「はいはい。似合ってます。似合ってますよ。」


「はいはい。よく言えましたね」


「じゃあ、お嬢ちゃんこの髪飾り購入でいいのかい」


「それとこのネックレスもいいですか」ダミアはネックレスを指さした。


「このネックレスでいいのかい。あんまりかわいい感じではないけど」


「いいんです。これで」


「でもよ、これは狼の魔獣の牙から作ったやつだから、どちらかと言えば男物だよ」


「はい。これ二つください」


ダミアは髪飾りとネックレス二つを購入した。欲しいのが手に入り、満足そうだ。


「買い物終わったなら帰るぞ。もう夕方だ」


「待ってクロ。これあげる」狼の牙のネックレスを渡した。


「いや、いらないけど」クロは真顔で返した。


「いいから」ダミアは一歩も引かない。


「なんで貰わないといけないんだよ」


「プレゼントのお返し。まだ、お礼もちゃんと言えなかったし、いいでしょ。別に受け取っても・・・」少し恥ずかしそうに言った。


「わかった」ダミアからネックレスを受け取ると首にかけた。


「うん。似合ってる」ダミアも髪飾りとネックレスを付けた。


「用が終わったなら帰るぞ」


こうして二人の買い物は終わった。二人は宿に戻り、明日の武闘大会に向けて、床につく。

(騒がしい1日だった。だが、明日はもっと熱狂だ。王…強い奴が、俺の孤独を吹き飛ばしてくれる)

今回はダミアのイメージが本来想定していた、誰にでも優しいかわいい女の子という設定になるように、書いて見ました。作品前半ではケンカ腰な所が多かったので、本来はそういう子ではないという思いで、かわいいダミアを今回書いて見ました。

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