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第1話 実技授業

次の日、訓練場にて黒いバトルスーツを着てクロは1人壁際で上を向いて寝ていた。


訓練場は両側に扉が2つあり、壁は5mほど、広さは50m程、窓の無い、天井は吹き抜けているただ壁と床をコンクリートで固めたような部屋である。


4人は話をしながら扉を開け入ってくる。

「来週でSTFに来て今年で7年目になるから、お祝いのパーティーしようよ」ダミアは3人に楽しそうに話を持ち掛ける。


「ああ、みんなに会えたのも何かの縁、ぜひやろう」明るくアレスは了承する。

テツオとダンガンも頷いて賛同する。


「クロももちろん誘うんだろ?」アレスがダミアに質問する。


「まあ、一緒の時期に入ったわけではないけど、パーティーは多い方がいいし、誘おうかな」ダミアはアレスに明るく返事をした。


「ちょっと私、クロにパーティーに来ないか聞いてみる。昨日の件もあるしね…」少し反省した様子でクロの方に足早に近づいていく。


「ねえ、クロ。昨日は少しやり過ぎた。ごめんなさい。それでね、みんなでパーティーやろうと思うんだけど、一緒にどう?クロは私たちより先に施設にいるけど、せっかくなら楽しくやろう」ダミアがクロに優しく声をかけた。


「行かない」クロが冷たく答える。


ダミアの笑顔が消えて、不機嫌そうに3人のもとに戻っていく。


「パーティー来てくれるか?」テツオはダミアの表情を見る前に聞いてしまった。


3人はダミアの不機嫌そうな顔見て何も言えなくなった。


「来ない人のことは忘れて楽しくやろう。なんならブラッド先生も誘ってみる?」ダミアは笑顔になり、3人に提案する。

3人は笑顔でうなずく。


「そうしたらあとで先生に聞いてみないと、あ!ちょうど先生来た」ダミアは笑顔で先生に近寄り、パーティーの話をする。


「あぁ、別にかまわないよ」先生は笑顔で答えた。

ダミアは笑顔で3人のもとに走り、うれしそうにしている。


「さあ、授業を始めよう。今日もみっちりしごいてやる。好きな時に全員まとめてかかって来なさい」先生はゆっくりと扉を閉めて4人の方に向かって笑顔で立っている。


4人は集まり、小さい声で作戦を話始める。


「今日こそ一発でいい。攻撃を当てる。あの黒いスーツに傷をつけてやるんだ。作戦はダミアとダンガンは後方から支援、先生が防いでる隙に僕とテツオで一気に叩く」アレスが作戦を言うと先ほどまで笑顔だったとは思えないほどに、真剣な顔をして先生の方を向く。


「そろそろ作戦会議は終わったかな?ほら、遠慮せずに全力で来なさい」先生は笑顔で話しかけながら、胸元のポケットに右手を入れ小さなナイフを取り出した。


そして、左の手のひらを大きく切り、そのまま地面に向けながら前に出す。血は地面に付く寸前に、その動きを止めた。


それを見て瞬時にテツオが一番前に出て、すぐ後ろにアレスがつく。ダミアは左後方、ダンガンは右後方へ動く。


ダミアは両手を地面に付けると地面から木の根が1本、鞭のようにしなりながら先生に向かっていく。ダンガンは両手を前に出し、リボルバーを2丁出現させ、先生目掛けて銃弾を打ち出す。


先生に木の根と銃弾が向かうが、先生の左手の血が2つに分かれ片方で木の根を受け流し、もう片方で血の壁を作り複数の銃弾を弾く。


「今だ!!」勢いよくテツオが先生の前まで距離を詰めている。


「テツオ。素直なのは認めるが、距離を詰めた相手に、大きな声を出しては、位置が丸わかりだ。」先生が左の掌を前に出すと、血の固まりが勢いよく直撃する。


しかし、その瞬間にテツオは全身を鉄にして後ろに下がらない。テツオの肩を踏み台してアレスが先生目掛けて、両手を後ろにして剣を出し、切りかかろうとする。


「…っ、もらった」アレスが先生に剣が届くと勝利を確信した瞬間、テツオを押していた左手の血の一部が触手のように4本伸び、剣・両腕・胴体・両足を拘束して、一瞬にして地面に叩きつけられる。


「ごめん、みんなの動きがいいからちょっと加減し損なった」先生は申し訳なさそうな顔して、すぐに笑顔で残り3人の方を見る。


そして、先生は40m程の後ろにいるダンガンに向かってダッシュする。ダンガンは急ぎ銃で迎え撃つが、先生の左手にある血が盾となり、距離を詰められ、血の塊で、壁に叩きつけられてしまう。


「アレス、ダンガン」ダミアが急いで駆け寄ろうとすると、先生が目の前に笑顔で現れ、血の触手でダミアを掴み、テツオに向かって投げる。


テツオは鉄の体を解除しようとするが、その前にダミアがテツオの体に直撃し、地面に倒れる。テツオは動きがぎこちなく、その間に先生は血の触手で体を拘束し、宙に浮かせ、強く縛る。テツオは何とか体を鉄に戻そうとするが、うまくコントロール出来ずに、意識を失った。


先生はテツオをゆっくりと地面に置いた後、クロに向かって歩いて話しかける。「クロ。お前はかかってこないのか?」寝ている振りをしていることに気付いているクロに声をかける。


ゆっくり立ち上がったクロは靴を脱いで後ろに投げると「いいけどブラッド、その前にそこの倒れてる連中を端に寄せてくれる?間違って巻き込むと危ないでしょ?」そういうと血の触手が倒れてる4人を隅に置く。ブラッドは黒色のスーツを正す。


訓練場の中央に、二人は無言で互いの距離が20m程の所に立つ。先生は血を螺旋状にし、体に纏う。


クロは肉食動物が獲物を狙うような姿勢を取り「ヴォルク」と呟くと、爪と牙が獣ように変化すると瞳孔は黒く縦に鋭く目が真っ赤に変わる。そこらから体全身から黒い毛が生え、人の形をしているが、遠くから見たら獣そのものだ。


「さあ来い。クロ」先生の顔からは笑顔が消え、獲物を仕留めるハンターのような息を殺してチャンスを伺うそんないつもと違う真剣な表情をしている。


クロは獣の体勢から両足の裏に氷の厚い板が、地面から出る。クロが体勢を少し後ろにすると太ももから足先にかけて雷が纏い、構える。その間も両者は目を離さない。


上空から風が一瞬強く吹く。


クロはその瞬間にその場から20mの距離を一瞬で飛んで詰める。ブラッドは血でダンガンと戦った時よりも厚い盾を出し守る。クロの右ストレートが盾を何事も無かったように破壊し、ブラッドの顔面目掛けて飛ぶ。ブラッドは左に顔を傾けてよける。勢いそのままクロはブラッドの先まで飛んでいく。


しかし、氷の壁がクロの向かう先に出現し、空中で体勢を変えて、クロは氷の壁に両手両足を付けて、次の行動に移る。ブラッドは血の盾をクロに向かって構える。クロはブラッド目掛けて飛んでいく。


そう見えたが、ブラッドの2m上に氷の板が現れて、クロはそれを足場に真下に急降下していく。クロの右足がブラッドに直撃するかと思ったが、ブラッドの右から血の触手がクロの右足を捕捉している。クロと戦う前にスーツに触った時、右手を傷付けていたのだ。


クロは真下に向かった勢いもあってものすごい速さで地面に叩きつけられて、地面をえぐる。そのまま持ち上げて、空中で振り回し、壁に向かって叩きつけた。壁が壊れ、訓練場の外に吹き飛ばされた。


「さあ、訓練は終了にして制服に着替えて昼ごはんと反省会をするぞ。」先生はそう笑顔でいうとクロは人の姿に戻り、悲しいような少し怯えているとも取れる表情をしていた。


外の青空には、大きい雲と小さい雲が5つ流れていたが、クロは大きい雲には目をくれず小さい雲を見つめていた。


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