シンギュラリティ・アフター・デイ
2xxx年。
今から100年以上前。
シンギュラリティが起きた。
わたしの曽祖父の親あたりは直撃だった。
若くして失業を経験し。
他の困難もあり、かなりえげつない人生だった。
なかなか口にするのもおぞましいくらいの世の中だった。
全て、コンピュータに支配され。
生き方や思考。
適職まで決められていたらしい。
そして、曽祖父の父は、やがて何も信じられなくなる。
コンピュータの意向にそぐわないものは、すぐさま犯罪者にされたからだ。
だから自分の父が逮捕され。
曽祖父は困り果てた。
まともな仕事もない。
知らないところで取られる税金はそのコンピュータの維持に使われ。
普通に暮らす人の。
食べ物はどんどん減っていく。
人間よりも、コンピュータが偉い時代。
かなり息苦しかったと書き残している。
曽祖父が20代後半の時。
とあることがきっかけで、その社会が消し飛ぶ。
自分はよく知らないけど。
なんらかの誤動作させるプログラムをコンピュータ側に組み込み。
世界中の人々が。
電源を奪った。
発電所を一斉に止めたのだ。
もちろん、それで亡くなった人もたくさんいたらしい。
よくよく考えればとんでもないことなのだが。
電源を落として。
優秀なコンピュータを破壊してまわり。
そして世界は、コンピュータの制御から解放されたのだという。
おかげさまで、自分は。
周りの人いわく。
平和な社会というのを謳歌している。
高度すぎるコンピュータは規制され。
今コンピュータといえば。
お話ししたり。
連絡したり。
そのくらいの道具。
今から百数十年前。
21世紀のはじめくらいまで戻っているらしい。
今日もよくわからないけど。
畑作業にいく。
食べ物を作って売るために。
行きすぎた勉強はダメだし。
速すぎる乗り物も、輸送以外で使うのを禁止されている。
どこかに出かけたければ。
自分の街に申請する必要がある。
今の時代の都市はとても便利だ。
移動は15分で全て解決できるし。
気象さえも、変になることはない。
好きな時に好きなコンテンツは見れるし。
何よりも自由なんだよ。
思った通りに、世界が動いている。
今日も、畑が終わったら。
ゆっくりしよう。
そうだな、この前、新しいの味のやつ出てたっけ。
コオロギチップスの新作が。