表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

初めてのお店めぐり

「ブランシュ! 迎えに来たわ。私の可愛い妹」

「姉様!!」


 バンッっと扉を開けて入ってきたのはロラ姉様。後ろからモニカ姉様はロラ姉様を叱りながら部屋に入ってきた。二人とも平民の服を来ているけれど美人は隠せていないのね。


「姉様達、とても可愛いです」

「あらっ、ブランシュったら。嬉しいわ。それにしてもブランシュはお部屋でズボンを履いているのね」

「えぇ。普段は部屋から出ないですから楽な格好にしています」

「それよりも街に行くのでしょう? 早く着替えなきゃ。着替えを持ってきたわ」


渡された服は生成のシャツと麻のズボンと帽子。どうやら商人の息子という設定でいくらしい。私はマリルに手伝ってもらわずに自分で着替えをする。


これくらいは出来るわ!

髪の毛も全部帽子に入れてばっちりよ。


「姉様、着替えられました」


ジャーンと効果音が聞こえてきそうな程にっこりと笑ってポーズを決めた私。姉様の目がハートになったのは言うまでもない。


「ブランシュ! 可愛いわ。こんな弟もいいわね」


キャピキャピしながら私達は玄関へと向かった。護衛のエディットも私服姿で付いてきてくれるらしい。というか護衛が私服姿で何人もいるんですが!!あぁ、みんなに苦労をかけてしまうのね。もちろんマリルも付いてきてくれるようでいつの間にか私服になっていた。


……早いわマリル。


そうして私は母に見送られながら馬車に乗り込み街へ向かった。父と兄は領地の視察に出掛けていて今日は帰ってこないらしい。


「ブランシュ、どこへ行きたい?」


私は馬車から窓の外を見る事を許されていないのでウズウズしながらモニカ姉様の質問に答える。


「モニカ姉様、僕、外に出たことがないから分からないんだ。でも兄様はいつも勉強しているから文具がいいかなって思っているんだ。剣のチャームも気になっているんだよね!」


私は男の子らしくしゃべってみた。するとロラ姉様が頬ずりしてくる。


「ブランシュ、可愛い弟。持って帰りたいわ。文具やチャームは雑貨だから今一番大きくて有名なフォロン商会に行こうかしら」


すぐにモニカが御者に窓越しに行き先を告げる。

フォロン商会ってどんな所なんだろう?




ワクワクしている間に馬車は商会の前で停まった。私は男の子なのでエディットの次に降りて姉様をエスコートで降ろしていく。

両手に花で嬉しいな。


 店はまだ開いたばかりのようで人が居なかったのが幸いだわ。商会は私が思っていたよりもずっと大きくて雑貨店のような感じかな。


 輸入食品から文房具まで幅広く取り扱っているみたい。どれも私には物珍しくてはしゃいでしまう。私は姉様達とおしゃべりをしながら品物を見ていく。自分用に刺繍糸や布も買ってしまったのは仕方がない。


兄様のプレゼントにはどれがいいか目移りしてしまうわ。私は悩みに悩んで食料品を買ってしまった。姉様達の頭の上には絶対??ってなっていると思う。


「ブラン、何故これを買ったの?」

「兄さまに僕の手料理を食べさせてあげたくて」

「ブランって料理出来たの?」

「モニカ姉様。僕、多分だけど出来るよ?」

「ふふっ、面白い事を言うわね。でもヴェルナーならお腹壊しても喜んで食べそうよね」

「もぅっ。ちゃんと作るから大丈夫だよ」


私達は笑いながら品物を買って馬車に乗り込む。


「ねね、折角だから装飾品店に行きましょうよ?」


私達は次に装飾品店前で降りた。


 流石、貴族が行きつけと思われる高級感溢れる立派な建物だった。店内に入ると落ち着いた雰囲気の店員さんが声を掛けてくる。姉様達はどれにしようかしら?と早速選んでいるわ。


私はというと、外に出ることもないのであまり必要も感じないんだよね。でもこのイヤーカフは可愛い。お兄様とお揃いにしようかな。


私は金細工のイヤーカフをお兄様とお揃いで買ってみた。イヤーカフを見て姉様もお揃いが欲しいと言っていたので普段使い用の小さな宝石の付いたネックレスも買ってしまった。


かなり散財してしまったと思うのは前世の庶民感覚が残っているせいよね。貴族からしたらこの程度子供のお小遣いに過ぎないもの。うっきうきで買い物をした私。


 装飾品店を出て馬車に乗り込もうとした時、向かいのお店が菓子店だという事に気づいた。


「姉様、あのお店、覗いてもいいかな?」


私がお店を指すと姉様達はニコニコと頷いてくれた。


どんな物が売っているんだろう?

ちょっとワクワクする。


甘い香りのする菓子店に足を運ぶ。女性が経営しているのかな?

店全体が可愛い感じなのよね。


 店内に入るとお客さんのほとんどが女性客だった。私は姉様達とショーケースを見ると、ショーケースの中は数種類のクッキーが売られている。それとマフィン。これは食事用といっても良いほどの大きなマフィンだわ。


私が一人で食べるには少し大きいかな。


私はシナモンクッキーと紅茶のクッキーを三枚ずつ買って紙袋に入れてもらう。後でマリルとエディットと一緒に食べるんだ!三人で食べているところを思い浮かべながら紙袋を抱えて姉様と店を出た。


その時、ドンッと誰かが私に力いっぱいぶつかった。私は店側に弾き飛ばされそうになったけれど、エディットが後ろから支えてくれたおかげで無事だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ