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20、全部、受け止めてあげる

その時、私がアリスに触れた瞬間、彼女が取り憑かれた理由を理解した。


小さな彼女の身体からは、言葉にできないほどの絶望と不安が溢れ出ていた。


世の中には、ただ歩いているだけで人々を避けさせる力を持つ者がいる。

強烈なネガティブなオーラは周囲の空気さえ歪めることができ、

無理やり近づくと自分も沈んでしまうような気がする。

今のアリスがまさにその状態だった。

私は分かる、アリス。これは私のせいだ。

アリスが私のもとに来てから一年が経つ。

その間、私は彼女に安心感を与えようと努めてきた。

しかし、よく考えてみれば、彼女は一度も本当に心を落ち着かせたことがなかった。

かつての災害が彼女の心に残した恐怖は、今も彼女の心に鮮明に残っている。


私は彼女を決して見捨てないと、はっきりと約束したことがなかった。


というより、約束したとしても意味がなかった。


いつか私が彼女を置いて去るのではないかという不安、

再び一人ぼっちになるかもしれないという恐怖を抱え、

慎重に私と接してきた。彼女はいつも恐れていた。


実際、早く気づくべきだった。

私が武器作りを教えようとしたとき、

彼女の最初の反応は、

自分が追い出されるかもしれないという不安だった。


人に嫌われることを恐れ、自分が上手くやれないことを心配し、

どんなに努力しても、まるで戦火の中を一人で歩いているような感覚に陥っている。

彼女にとって、最高の武器を作れるかどうかは重要ではなかった。

重要なのは、武器店で、古い床に寝て、

私のそばにいられることだった。


だから、村を出たとき、表には出さなかったが、

アリスも非常に心配していた。

しかし、その未来への恐怖を私には決して話さない。

私が嫌うのを恐れているからだ。


これまで、頭に血が上った人々を冷静にさせるためには力を使ってきた。

しかし、今回は違う。私はアリスに理解してもらわなければならない。

武器店のおじさんは、自分の小さな仲間を決して見捨てない。

その仲間が不器用で、泣き虫で、辛い過去を忘れられなくても。

たとえわがままでも構わない。


アリスの目は虚空を見つめ、魔族の力を完全に解放し、

地面を踏み砕きながら直線的に私に向かって走ってきた。

思いっきり暴れてみせろ、アリス。

私は両腕を広げた。

彼女の拳が私の腹

部に突き刺さると、私の体は狂風に煽られた落ち葉のように吹き飛ばされた。

ふん、我が家の小さな仲間がこんなにも力強いとはな。

体が「く」の字に曲がり、背中が木の幹に激突した。衝撃で全く緩和されず、口からは鮮血が噴出した。


「続けろよ、アリス!この程度では全然物足りないぞ!」


回し蹴りが来て、私の左頬に痛烈な一撃が加えられ、再び飛ばされた。

この時、わずかに抵抗してみたが、もし本気で抵抗していなければ、

きっと首がもげていただろう。

頬はたちまち腫れ上がり、また一口の血が口から溢れ出た。


味は塩辛い。


「ふんふんふん、アリス。これくらいのことは、咳、私にとっては何でもないんだからな!」


アリスは歯を食いしばった。


そして、連続パンチが繰り出される。

致命的な一撃は肘で防ぎ、重傷を負いそうなものも防ぐが、

痛みを伴うものは全て受け止める。

ああ、アリス。ごめんな。

君がずっと耐えてきた苦痛は、これよりもずっと激しかったんだろうな。

「師匠!!」

カロナの苦しむ声が聞こえる。

大丈夫だ。私を誰だと思っている。

たぶん三十回か四十回は打たれたか、数えられない。一撃一撃が木に穴を開けるほどの力だ。

もう少し頑張れ、私の体よ。

顔にも二発食らった。

鼻血が口の中に流れ込んできて、片方の目が腫れ上がった。


でも、何とかなるさ!


ほら、この障害を乗り越えてくれ、アリス!

「うわあああああああああ!!和哥和哥和哥和哥和哥ああああああ!!やめて!!止めて、止めろよ!!!」


全力を込めた拳が、私に致命的な一撃を加えようとしていた。

しかし、その顔には深い悲しみが浮かんでいた。

涙が頬を伝い流れ落ち、鼻水も混ざり、

目も鼻も一つの乱れた塊になっていた。

最後の一撃を食い止めようと必死で、自分自身と、

いや、憑依している霊と戦っていた。

それでも、拳は振り下ろされた。

私は優しくそれを受け止めた。

最後には、力なくその拳が下がった。

私は膝をつき、アリスを強く抱きしめた。

「だから大丈夫だって、アリス。

こんなことをしても、君を少しも嫌いになることはないから。もう怖がらないで。」

「和哥、うわあああああごめんなさいごめんなさいごめんなさいーー」

彼女は私の

胸に飛び込んできて、涙と鼻水を私の上で思いっきり流した。

それでも構わない。


「白い道化、どうやら負けたみたいだな。」

私は最後の力を振り絞って、見えない相手に話しかけた。

目には見えなくても、彼女がうなずいたのが分かった。

周囲の不吉な気配が徐々に消えていくからだ。

アリスは前に進むことを選んだ。


それでいい。


ならば、私も…


目の前が真っ暗になった。

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