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鬼類たちの狂想曲  作者: Niino
20/21

王と革命者

 赤の宮、秋津州真幌は不機嫌だった。真幌の周りの者たちは敏感に赤の宮の不機嫌を感じ取り、とばっちりを喰わぬよう極力真幌に近寄ろうとしない。そのことが更に真幌を苛立たせている。先程から自室の宝石箱の中にお気に入りの紅サンゴのネックレスが見当たらず困っているのだが周りに人がいないのだ。

 真幌は仕方なく卓上のクリスタルガラス製のベルを鳴らす。チリチリンとベルが鳴る。王宮付のメイドたちはこのベルの微妙な音色を巧みに聞き分ける。真幌がわざと優しくゆっくりとベルを鳴らしても騙されることはない。案の定やってきたのは一番の新入り、先月に王宮付になったばかりの結子だった。

「お呼びでしょうか」

「私の紅サンゴのネックレスが見当たらん。一緒に探してくれ」

「それでしたら」

 結子はホッとした様子で答える。

「バスルームで見ました。湯をお使いになってからお付けになるのかと思いましてそのままにしてあります」

「そうか」

 真幌はこの後の憂鬱な会談のことを少しでも忘れようと湯を使うことにした。

「風呂を使う。準備してくれ」

 結子が困った顔で言う。

「はい、それがお客様からの差し入れが届いたとかで皆さんお台所へ」

「ふん。防衛大臣め、銃ではなく甘いもので攻めてきおったか」

 結子は真幌と決して眼を合わせないように気を付けながら恐々と尋ねる。

「あの、呼び戻しましょうか?」

「よい。勝手にさせておけ。お前が湯を溜めてくれれば体くらい自分で洗える」

「はい。今すぐ」

 結子がお辞儀をして下がる。風呂が溜まるまでの間、真幌は香葉を吸って待つことにした。水パイプに香葉をセットし、アルコールランプに火をつける。しばらくして甘い香りが部屋に漂い始める。真幌は水パイプから白薔薇の精油をゆっくりと吸い込む。苛立って震えていた体中の鬼虫たちが少しずつ落ち着きを取り戻していく。真幌はふと気になって卓上のベルを鳴らす。結子が飛ぶようにやってくる。

「衛士どもはどうしたのだ?」

「はい。里の大臣様のお連れと手合わせだそうで」

「そうか」

 王宮守備隊の鬼士達は陸軍の鬼士隊員たちとの力比べに夢中になっているのだろう。小さなチャイムが聞こえた。

「赤様、お風呂の準備が」

「分かった」

 風呂へ行き、着ていた赤い絹の単衣を思いきりよく脱ぎ捨てる。後ろからついてきた結子は真幌の見事な裸身に顔を赤らめながら着物を拾う。

「いってらっしゃいませ」

 脱衣所の床で膝を揃えてお辞儀をする結子に見送られて湯殿に入る。掛湯もせずにザブンと湯船に身を沈める。良い香りの湯気がたち込める中、口まで湯に浸かって鼻から大きく息を吸い込む。五分程そのままジッとしていたが一向に気が晴れなかった。湯殿の壁に眼を遣る。壁にはガラスの短剣と木の葉のようなステンレス片を鱗のように縫い付けたワンピースタイプの鎖帷子がかかっている。入浴中に襲われた時の用心のためだが、真幌は使ったことが無いし、使ったという話も聞かない。実用品というより皇鬼の心構えを示すためのオブジェだ。しかし今夜は妙に気になって仕方なかった。鬼虫が何かを知らせようとしているのかもしれない。

 真幌は湯船から上がるとシャンプーと思しきボトルを取り中身を手にからめる。髪を洗い、体を泡だらけにして隅々まで洗う。

「出るぞ」

 真幌の声に外で待っている結子が「はい」と応える。湯殿から出てきた真幌を大きなバスタオルでくるみ滴を拭う。柔らかな泡のようなバスローブを着せられ長い髪の毛はバスタオルで丸め込まれる。隣室に移動して椅子に腰かける。結子が手早く真幌の左右にスタンドを立て、ドライヤーをセットすると濡れた髪に温風を浴びせ始める。結子が「失礼いたします」言って背後に立つと手に持ったドライヤーで髪を乾かし始める。結子は少しおどおどした口調とは裏腹に手際が良かった。

「外交事務局の作ったレクの映像、あれを流してくれ」

 結子がタブレット端末を指先でなぞる。椅子の前にセットされたモニターに外交事務局の作成したレク映像が流れ始める。壁の時計を見る。七時五分過ぎ。

「会食は八時からだったな」

「はい。お女中方ももうお戻りでお着換えの準備もできております。衛士の皆さんもじきお戻りになるでしょう」

「そうか」

 真幌は画面と音声に集中する。この映像を見るのは二度目だが防衛大臣和久村秀道という男に対する嫌悪を搔き立てるという点において良い出来であると言えた。部屋の外から小さなざわめきが伝わってくる。鬼士連中が戻ったらしい。戦いの余韻が冷めないのだろう。気楽なものだと真幌は心の中で溜息を吐く。今この瞬間、和久村は鬼界全体の喉元に剣を突き付けているというのに衛士たちは目の前の他流試合に夢中なのだ。

「赤様、髪はどのようにいたしましょう」

「縁を編みこんでその中に藤の花を」

「花はどちら側に垂らしましょう?」

「左にしよう」

「はい」

 画面の中で和久村が下手なゴルフに興じている。趣味はゴルフ。防衛大学主席卒業。頭の回転が早く抜け目ない。そして噂では大の鬼嫌い。もう一時間もしないうちにこの男と対峙しなければならないのだ。真幌はげんなりした表情で目頭を押さえた。


 思えば― 子供も頃から不器用だった。鬼人であるにも関わらず里人よりも運動が苦手だった。勉強もできたためしがない。というか、よい成績を取った記憶がない。これは自分が勉強をしないせいなのだと目加田は考えている。やればできるのだが、どうしてもやる気が起らないのだ。城下町の鶏卵農家の長男坊であった目加田だが、家業を継いだのは弟の方だ。小さい頃から何でも器用にこなす弟だった。二つ違いの弟だが中学に上がると兄である自分に全く敬意を払わなくなった。弟が中高一貫の鬼道科がある藩立学校に合格したのだ。両親や祖父母の注目はより一層弟に向くようになった。同時に周りの人間の自分を見る目がどんどん冷えたものになっていく。弟が高校生になると完全に見下され嘲笑される存在になった。家族全員にだ。大学に行きたかったが入れそうな大学はどれもパッとしなかった。高卒で働こうという意欲も湧いてこない。両親から「どうするんだ」と責められ何となく「予備校に行きたい」と口にした。両親はたかが数千円の予備校の授業料のことでネチネチと説教を楽しみ、一銭も出していないはずの、自分と同じすねかじりのはずの弟までが「兄貴のせいでハワイ旅行が中止になった」と文句を言った。しかも自分に直接ではなく、両親や友人たちに向かって、目加田にも聞こえるように言うのだ。


 いつか殺してやる―


 その気持ちが芽生え始めたのはその頃だ。しかし困ったことに家族が死ねばまず生活に困るのは自分なのだ。それぐらいは分かる。それに鬼人は目敏い。ほんのちょっとした表情を捉えて心を読んでくる。ほんの少し反抗の色を浮かべただけで弟は強い目で睨んでくる。「なんだよその目。飼ってもらってるくせに」と怖い笑いを浮かべながらおどしてくる。腕力では敵わない。「謝れ」と言われるがままに謝った。これが外交と言うやつだと自分を納得させ、通販で買ったパチンコを持って街を歩き、鴉や猫を撃って気を晴らした。

 そうこうするうちに二年が経った。久しぶりに両親に名を呼ばれ前に座らされた。一向に学力の上がらない目加田に業を煮やしたらしい。もう予備校を辞めて働けという。たかが二年予備校授業料を払ったくらいで肝の小さい親だと思う。確かに自分の成績は低いままだ。どうしても、どうしてもやる気が起らないのだ。どんなにやろうとしても、真剣に真剣に覚えようとしても覚えられないのだ。それが分かってもらえないのは辛い。自分のせいではないと周りに理解してほしい。多分、自分は難治性蓄膿症なのだと目加田は考えている。そのせいで集中力や記憶力が高まらないのだ。なぜそれに気付いてもらえないのか。親なら、家族なら気付いて当然ではないか。しかし、そんなことを言っても無駄だ。両親は完全に厄介者を見る目で自分を見ている。弟はゴミを見るように自分を見る。いい気なものだ。錬成館の生徒の前に出ると借りてきた猫のように小さくなっているくせに。たかが城下町の卵農家の次男坊風情が、自分をゴミのように見るのか。名を呼ばずに「クズ」呼ばわりするのか。目加田は動物を撃つだけで飽き足らず、駐車中の車なども撃つようになっていた。

 目加田は実家の鶏卵農家を手伝うようになっていた。最初は家族といることが嫌で派遣職員として自動車工場のライン工として働いた。寮に入ることもできた。嬉しかった。やっぱり自分にはできるのだと思った。だが、仕事は思っていたようなものではなかった。キツイのだ。休憩時間も短いし、ラインが動くと全く手を休められない。それに、個人の創意や工夫を盛り込む余地が全くないのだ。こんなものは仕事ではない。目加田でなくても、誰でもよいわけだ。犬でも猫でも、誰がやってもよいのだ。自分はやりたい仕事ではない。それに夜勤というものにも全くなれることができない。ドラマや深夜アニメを録画で昼間に見なければならない。そもそも夜起きて働いてるわけだから昼に寝るしかない。自分の自由時間が全く取れないのだ。こんな生活は耐えられない。目加田は実家へ戻った。戦略的撤退というやつだ。両親も弟も露骨に、全く隠そうとする気配も無く嫌な顔を見せた。実家にすでに自分部屋は無く(母親の部屋になっていた)、自分はリビングのソファで寝起きしなくてはならなかった。三ヶ月もすると両親が早く働けと金切り声を上げ始めた。こいつらは戦士の休息というものを知らないのかと目加田は思った。目加田は仕方なく実家の鶏卵農家を手伝い始めた。しばらくして実家を追い出され、鶏舎の管理室に住むことになった。目加田は金の事を尋ねるのははしたないと考えて我慢していた給料のことを聞いてみた。いくら貰えるのか―と。両親は吐き捨てるように、まさに目加田の足元に痰でも吐くかのように住むところと食事をさせてやってるだけでもありがたいと思えと言った。目加田はどうせこいつらの方が俺よりも早く死ぬのだと考えて我慢した。

 実家を手伝い始めて四年、目加田はトラックでの配送担当として働いていた。朝が早い。早朝勤務にも関わらず給料はほんの少しだ。目加田は俺がこの鶏卵農家を継いだら早朝の仕事は雇い人にやらせようと考えていると、またしても彼の人生に試練が訪れた。大学を卒業し民間企業で働いていた弟が実家に戻ってきたのだ。しかも図々しいことに実家を継ぐという。驚いたことに両親もそのつもりのようだった。自分の権利はどうなるのか。怒りと将来への不安から、目加田は高級そうな車を選んでは義憤のパチンコ玉を撃ち込む日々を過ごした。そしてある日、目加田は弟から話があると告げられた。実家の居間では弟だけでなく両親も座って待っていた。弟はもしこのままうちで働きたいのなら、もう少し身を入れて働いてもらわないとダメだと言った。トラックでの配送に加えて鶏舎の清掃も行えという。それではアニメや漫画を見る時間が大きく削られてしまう。しかも給料はそのままだという。弟は嫌なら出て行ってくれと言い、両親も大きく頷いた。目加田はダメだこいつらはグルなのだと悟り、がっくりと頷いた。翌日からは鶏舎の清掃もやり始めた目加田だが結局午前中一杯かかってしまった。こんな激務で体が持つか目加田は心配だったが選択肢はごく限られている。耐えるしかなかった。

 そんな時だ。防人鬼人会のメンバーにであったのは。彼らは目加田の悩みを丁寧に聞いてくれ勉強会にも誘ってくれた。勉強は嫌だったが行ってみるとみんな親切だし、みんなと一緒に鬼門の未来、自分たちの役割を考えるのは意外と楽しかった。

 しかし、またしても目加田に試練が訪れた。ある日勉強会で発作を起こし気を失ったのだ。気が付くと病院のベッドの上だった。何人かの顔が上から覗き込んでいる。勉強会のメンバーと知らない顔もあった。この病院で目加田は自分が邪血病であることを告知された。ショックで泣き叫び暴れる目加田は拘束衣を着せられ、ひっくり返されて尻に巨大な注射を打たれた。

 泣く元気も無くなった頃、勉強会のメンバーがやってきた。知らない人物も一緒だった。その人物は邪血病を治す方法があるという。鬼士院でなら邪血病患者を治療することが可能なのだという。ただしその治療を受けられるのは皇鬼や院の幹部だけだという。絶望し泣き叫ぶ目加田に勉強会のメンバーが言った。ルールを変えればいいと。みんなで協力して正しいルールを作ろうよと。目加田は自分が助かるなら何でもよかったので、とにかく大きく一生懸命に頷いた。


「どうした?目加田。緊張してるのか?」

 声を掛けられ目加田は我に帰る。

「いや― 何でも―」

 口ごもる目加田の肩に銃を持った女が手を置く。

「もう少しね。あなたも新鬼士院の設立者の一人なのよ」

「そうだ。邪鬼になるのもこれが最後だからな。古くて腐った鬼士院を吹っ飛ばすんだ」

 女も男もみんな目に狂ったような光を湛えていた。目加田は不意に泣きたくなった。俺もこいつらと同じように狂った目をしているのだろうかと目加田は思った。しかしもう引き返すには遅すぎる。狂うしかないのだ。狂った場所にしか自分の居場所はないのだと目加田は自分に言い聞かせた。


 地下道では一行が鉄心の案内で王宮へと向かっている。

「城太郎、あんたほんとうにそれで邪鬼とやるつもり?」

 膝を捻挫した城太郎はあまり早く歩けない。自然、一行の歩みはかなりゆっくりしたものになっている。

「いや、できれば邪鬼となんかやり合いたくないね。邪鬼を見つけて宗円さんの疑いが晴れればそれでいいんじゃないか?」

 イシグロが訛ったロシア語で何か言った。日本語を喋ろうとしないが理解はできているらしい。

「宗円だけじゃなくお前も手配されてるって」

 イルクーツォがいちいち訳してくれるのだが、その日本語には全く外国人訛を感じない。カエデという名からして日系ハーフなのかもしれない。もっとも相手の背景や事情をあれこれ尋ねるのは鬼士としてマナー違反なので城太郎は黙っていた。

「それにしても、あんたいい度胸よね。ふふ、あの腕でさ。邪鬼ねぇ」

 城太郎は膝のせいで踏み込めないんだと言い訳する。イルクーツォは楽しそうだ。イシグロがまた何か言う。

「ねぇ宗円、王宮に邪鬼が来るってなぜ分かるの?あんたが邪鬼だから?それとも邪鬼使いだから?」

 宗円は笑って「よしてくれ」と言った。イルクーツォもイシグロも宗円が邪血病であることはまだ知らない。

「私が優れた探偵だからだ」

「邪鬼から聞いたわけ?今日行くよって?」

「違う」

 宗円は一瞬逡巡する様子を見せたが、静かに話し出した。

「今日だ。もう院に来ているはずなんだ。防衛大臣がな」

 城太郎が驚いて振り返る。

「和久村防衛大臣が⁉」

「そうだ。非公式の会談のためにね。一応は武官殺害事件への今後の対応を協議するってことなんだろうが、実際にはもう少し踏み込んだ会議になるはずだ」

「踏み込むってのは、どんなだい?」

「もちろん軍の駐留だ。邪鬼への対応を名目にね。だがもちろん邪鬼が退治されたとしても出て行くつもりはないわけだ。最初は小さな規模だろうが、徐々に数は増えていく。そこを足がかりに鬼士院の自治は骨抜きにされていくだろう。現在鬼人に認められている権利も同じさ。ジワジワと奪われていく。税制改革を見れば分かるだろう?」

 城太郎と京は控えめな罵り言葉を口にし、イルクーツォとイシグロは皮肉な笑いを浮かべながら頷く。鉄心は平然と「それでも野人よりはずっといい」と言った。

「まぁ、国には勝てないってことね。どこでも同じよ。たとえ老眼の鼻づまりで聞く耳も持ってないやつらだとしてもよ。お里が本気になったら鬼は退くしかないってこと」

 イシグロが珍しくまじめな表情で吠えるように言葉を吐く。イルクーツォが通訳する。

「どこでも政府の考えることは一緒だなって」

「まさか和久村大臣を邪鬼に?」

 城太郎は足の痛みも忘れてつい大きな声を出しイルクーツォに注意される。

「さすがに邪鬼に大臣をやられたら政府も黙っていない。有無を言わさず軍を送り込んでくるだろうが。ただ邪鬼使いの狙いが大臣だけなのかは分からない」

 宗円の思わせぶりな言葉に全員が反応する。

「ここから先は想像だが、邪鬼なら皇鬼にも勝てる。鬼界の危機に皇鬼四人は結束してあたるだろうが、邪鬼なら皇鬼たちをも倒せるだろう。逆に言うと皇鬼四人を相手にして倒せる相手なんてこの世に邪鬼以外いないさ。軍の鬼士部隊の精鋭百人を送り込んでも皇鬼四人には敵わないだろうが、邪鬼なら話は別だ」

「邪鬼を使ってクーデターを起こす―?」

「あくまでも想像だよ。私の集めた情報はどれも断片的なものに過ぎないが、その小さな事実の欠片を並べていくと和久村大臣と皇鬼の方向を指し示している。邪鬼が大臣をやり損なったとしても和久村に軍を駐留させる恰好の言い訳を与えるだけだ。つまりどちらにせよ今夜が危ない」

「ねぇ、誰か時計持ってる?」

 戦いの邪魔になるので腕時計をつけない鬼士が多い。そしてスマートフォンを院に預けてしまうと意外と時間を知るのに苦労する。

「七時十分か十五分くらいだと思う」

 鉄心が言う。

「会食は八時から。王宮の蒼穹の間だ。邪鬼をそこに行かせてはいけない」

「ちょっと急いだほうがいいね。ここからはどうしても必要な場合以外は会話禁止だ」

 イルクーツォがチラと城太郎を見る。

「足が痛いんなら背負ってもらう?」

「いや、イシグロ君に悪いし」

「何言ってんの、イシグロがあんたをおぶるわけないでしょ。アリッサよ。背中に乗せてもらう?ほら、今日は鞍も付けてあるわよ?」

 城太郎は苦笑する。

「足を喰ったりしないよな?」

「それは大丈夫。そんなひどいことしたのはこれまで二回だけだから。しかも二回とも乗り手が悪かったんだから」

お読みいただきありがとうございます。

もし拙作がお気に召したようでしたら感想など寄せていただけると励みになります。

お時間あれば他の作品も覗いてみてください。

よろしくお願いします。

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