佐鳥の内定先調査①
僕はアパートの自室でスマホ片手に、考え込んでいた。
内定先の調査といってもいくつもの手段がある。佐鳥にバレるリスクを限りなく低くして、情報を得られるのが最善だ。
となれば必然的に最初にやることは決まった。
それは、SNSで内定に関する情報を漏らしていないか片っ端から探ること。
佐鳥のアカウントはサークル内の人間を適当に探して、フォロワーを探ればすぐにそれらしい人物が見つかる。実名でやっているわけではないが、サークル、学年、語り口やあげられている写真から佐鳥であるのはほぼ確定している。
──しらみつぶし作戦開始。
僕はベッドで仰向けになり天井を眺めていた。
窓の外はだいぶ薄暗くなり、一日の終わりが近づいてきている。
土日を費やして得られた成果が、佐鳥のどうでもいい自慢話だけだったという事実は僕を打ちのめすのに十分だった。
他人と比べてマウントを取ったり、女子とでかけている写真をあげたり、内定につながる情報はこれっぽちも見つけることができなかった。
そういえば、写真に映る女性は手だけだったり、顔が映っているものはほどんどなかった。あの中にもしかすると僕の彼女の恵美も混じっているのだろうか。
女性との写真を順番に確かめていくと、見覚えのある服を発見してしまった。恵美のお気に入りのワンピースとほとんど同じもののように見える。
写真と一緒に載せられているメッセージには宅飲み中と書かれている。
映っている女性が恵美だなんて思いたくはないけど、嫌な想像がどんどん膨らんでゆく。胸がむかむかして胃液が込み上げた。
これ以上、正視できなくてスマホをベッドに放る。
吐きそうになるのを堪えながら、僕は意識的に笑みを作る。
これでいい。
この暗い感情は復讐の原動力となる。
徒労だったなら、さっさと切り替えて次の手段を実行すればいいだけなのだから。
SNSから情報が得られないなら、アナログでいくしかない。共通の知人への聞き込みだ。
ただ、聞き込み相手は厳選する必要がある。
僕が佐鳥について探っていることが本人にバレるのは望ましくない。警戒されたりしたら動きづらくなってしまう。
サークル内の男なら比較的安全と思われる。常に女性の取り巻きの中にいて、自慢話が多くい佐鳥は男連中から避けられている傾向にあるから。
明日からの行動方針を定め、僕は何もせずじっと足を抱え込んで座っていた。
主人公くんかわいそう!って思ったら
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