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九月入学制 私論

作者: xoo

 2020年春、あれほど姦しかった9月入学制は、2022年秋、ネットの片隅にも残っていない。いや先月、橋下さんがなにかの折に持ち出したが、一瞬で消えた。



 議論する気がないんなら、弄ぶんじゃないよ。



 私は九月入学制は消極的賛成派である。デメリットをメリットが上回っているが、移行コストを払うのは躊躇する。但し、移行コストを日本の社会が受け入れられるものにするにはどのような制度設計が良いか、考えるのは楽しい。


 巷の九月入学制は大学入学を九月に変更するついでに小中高校の入学時期を九月に変更するものであるが、私の考える九月入学制、というより学制改革は、若干ラディカルである。


 ①義務教育は五歳から十七歳の十二年間とする。

 ②公立小学校の入学時期を五歳の九月とする。

 ③所定の教育課程修了を要件とする国家試験は年二回以上の実施とする。


 ①は現行九年の義務教育を、高校全入かつ授業料無償化の現状を更に推し進めて機会均等化を図るため、初等中等教育の十二年に延長するものである。また、義務教育の開始を幼稚園年長児相当とすることで、大学入学に必要な学修期間の修了と高校・大学後の就業開始時期を前倒しし、実就業期間の延長(就業人員の確保)と早期就業による晩婚化抑制を企図している。


 ②は九月入学制を法律で規定するのは公立小学校だけとし、私立学校については自由(各学校法人の事情により四月でも九月でもその他でも良い)とする。公立中学校高等学校等においては、公立小学校からの持ち上がりを勘案して九月を選択すると予想されるが、私立学校と同様に各学校の事情により他の月、または複数回入学を排除しない。

 大学・専門学校においても法に定めず、各学校の事情に依るものとする。


 ③は医師歯科医師、看護師保健師助産師、など医療関係を中心とした資格取得の課程を想定している。これにより大学・専門学校の九月入学制導入推進だけでなく、国家試験実施の複数回数化により国家試験失敗者の早期救済と戦力化、他国養成課程修了者の日本国資格取得推進と就業(戦力化)を企図している。

 更には、有資格職種の年間採用機会の複数化、他の職種の機会複数化が進むことにより、年一回の新卒採用にこだわらず既卒者経験者を含めた通年採用が促進されると期待する。



 メリットばかりではなく、デメリットもある。


 ①幼稚園・認定こども園の経営に影響する。

 ②小学校の定員が一時的に増えるため、施設・教員の確保が必要になる。


 ①②はパイの奪い合いで密接に関係している。対案としては、現行幼稚園年長児相当(E1と仮称)を幼稚園・認定こども園に委託または施設・人員の利用を認めることで幼稚園側の経営に配慮する。また、小学校側の人員・施設負荷への対応策にもなる。

 地域によっては小学校に余裕がある、そもそも幼稚園がない、という地域もあり、その場合は小学校で全て(E1,現行一年生E2〜六年生E7)までの七学年対応する、またE7のみ中学校または中等教育教育学校に移籍、E1から現行中学2年生E9または現行中学三年生E10までを義務教育学校に編成、などいろいろな方法が考えられる。当然、E7から現行高校二年生E12までの中等教育学校に編成する例も増えると予想する。

 願わくば、小学校から中学校・中等教育学校への入試機会がE6とE7の二回、中学校・中等教育学校前期から高等学校・高等専門学校への入試機会がE9とE10の二回が確保されれば、子どもにとって進路選択の機会と幅が増えるものと考える。


 ③高校野球夏の甲子園大会の出場者がE10とE11の二学年だけになる(春はE10からE12までの三学年)。


 個人的には夏の甲子園て何の罰ゲーム?なのでどうでもいいが、野球名門校の中には四月入学を堅持して夏に三学年揃える学校が表れるかもしれない。


 ④大学側の受け入れ要件(入学時に18歳以上)が堅持された場合、高校卒業から大学入学まで半年から一年待たされることも考えられる。


 ただ、このギャップイヤーは諸外国でも例があり、高校卒業後に入試に集中できる、など必ずしも悪いものではないと考える。自分探しの旅(俺の空)をしても良いのだし。



 余談。

 医師や看護師の国家試験については過去に年二回、春秋に実施していたことがあるが、1995年より年一回、春のみに変更された。そもそも秋は受験者が少なかった(国試浪人たけだから)、合格率が低かった(独りきりでは勉強の仕方がわからなかったり、勉強しなかったり)ので行政改革の一環で「効率化」した、とされている。

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