武術大会予選前 前編 ショックとやる気
ね?次回予告はアテになりませんでしたよね?
もうアレは、次回予告という名の大喜利に近いですよ、えぇ。
これからはウケを狙ってみますかね?へへっ
「よし、エントリーに行くどー」
「ようやくだね。確か6部門に出るんだよね?」
「そそ。剣と弓、拳と刀。それと魔法と総合だな」
「全部優勝したらどうする? お祝いする?」
「する。新居で祝う」
「ド派手にやりたいね。ルナ君が優勝出来ると信じてるよ」
「ありがとう。じゃあちょっと行ってくる。一緒に来るか?」
「うん!」
「よし、なら行こうか。リル〜、行くぞ〜」
少し離れた所でフーと話してたリルを呼ぶ。
「はい! 今行きます!」
「私も行きます!」
「いやフーは刀だぞ」
「そんなぁ......」
「フー、よく聞け。今のお前は目立つんだ。それも『凄く目立つ』んだ。それを理解してくれ」
「え〜? 目立ちますか?」
「目立つ」
「目立つね〜」
「注意は引きますね」
だって今のフーはメイド服だからなぁ。巫女服ならまだ、ソルと殆ど同じ格好だからそこまで目立たないだろうけど、メイド服はなぁ......
「......しょうがないですねぇ。なら刀になりますよ」
「ん。それと武術大会では布都御魂剣を使うからな。その時はよろしく頼む」
『はい! 斬って斬って、斬りまくりますよ!』
そうして俺達は、冒険者ギルドに来た。
「すみません、武術大会のエントリーをしたいのですが」
「はい、エントリーですね。注意事項をよく読み、こちらの紙に御記入ください」
受付嬢に言われて、紙を見る。
え〜っとなになに?『総合部門以外の出場したい3部門を選んでください』とな?
あ......嫌な予感がする。受付嬢に聞きに行こう。
「あの、この部分って総合部門含めて4部門までしか出られないんですか?」
「はい。今回はそのようにさせていただいてます」
「......そうですか、ありがとうございます」
やった。やってしまった。やらかしてしまった。
とりあえず2人のところに戻ろう。
「あ〜あ......最悪だぁ」
「どうしたの?」
リルをモフっていたソルが話しかけてくる。
「俺、鉱山で無駄にスキルレベルを上げてしまった......」
「ん? どういうこと?」
「大会に出れるの、総合含め4部門だけだってさ......」
「えっ......それは......辛いね」
鉱山で死に物狂いでスキルレベルを上げたんだが、戦闘系なら2つも無駄になるわけだな。
「でもルナ君。それは無駄じゃないよ?」
「まぁ、そうだけどさぁ......はぁ、早めにエントリーしておけば良かった......」
そうしておけば、必要なスキルは上限を解放してレベルを上げれたのになぁ。
......やっちまった。ルールを再確認しておけば良かったな。
「とりあえず書くか。弓術と闘術を捨てる」
「え? 闘術は分かるけど、弓術も捨てちゃうの?」
「あぁ。今1番使い慣れてる刀と、次点で剣。それと魔法だな。魔法は5属性もカンストさせたんだ、使いたい」
......よし、切り替えよう。さっきもソルが言ってたが、上げたスキルは無駄にならない。次の武術大会で出たらいいんだ。
「「でも気持ちは晴れない」かな?」
「よく分かったな」
驚いた。まさか思考を切り替えるタイミングを読んだのか?
「ふっふっふ。私はルナ君のことなら分かるからね。そのショックはリルちゃんと遊んで癒すといいよ。私はその間に、情報を集めとくから」
「いいのか?」
「もちろん。あ、掲示板に出るから、こっちも少し情報を出すね。その都度書き込んでいいか聞くから」
「......ありがとう。頼む」
今回は甘えよう。......いや、今回も甘えよう。
「よし、書けた」
記入事項としては、名前、レベル、出場部門、入賞賞品のスキル書の詳細だな。
詳細としては、『〇王』のスキルと属性魔法を書いた。
魔法部門2位の上級魔法の魔導書は、多分ランダムなのかな?書く欄が無かった。
俺が書いたのは『闘王』と『土属性魔法』だな。
それぞれ持っていないのを書いた。
「では、これでお願いします」
「はい、確認しました。それでは再来週の雷の曜日に、ギルドに来てくださいね」
「はい」
多分、転移とかでイベント会場に飛ばされるのかな?
「じゃあ遊ぶか、リル」
「はい! 父様」
リルと遊んで、やる気チャージをしよう。
「どこで遊ぶの?」
「草原で全力疾走」
「おぉ......またハードな事を......」
「父様と走るの、楽しみです!」
「あぁ。それにAGIが4桁になったからな、足も早くなったぞ!」
『またはしゃぐんですね......私は使うので?』
「勿論。それでもリルのAGIには遠く及ばないがな」
布都御魂剣の付与効果で全ステータスが1.5倍になるが、それでも1,500だ。そこに真ギュゲの1.3倍が合わさっても、1,950だ。
それに対してリルのAGIは10,240だ。俺の約5倍のAGIだな。
「じゃあ、行こう。やる気を出すために」
『「「おー!」」』
それから数時間、リルと一緒にペリクロ草原を走り回った。
途中、ソルから『――載せていい?』って聞かれて、その返事とマサキへの小さな煽りを入れておいた。
「ぜぇ......ぜぇ......もう、無理......」
「お疲れ様。楽しかった?」
「楽し....かった....」
「楽しかったです! ありがとうございました、父様!」
「おう......良かった」
『よくここまで体力持ちましたねぇ。VITの壁を軽く超えて走り続けましたよね?』
深呼吸して息を整える。
「......ふぅぅぅ......よし。それで体力の話だが、それは道場での経験だな。疲れるタイミングを知っていれば、小さく小さく休憩を挟むことで、少しでも長く走れるように教えられたんだよ」
原理は教えてくれんかったけどな、師匠。
それに後から来る疲れが半端じゃないから、遊び以外ではこんなことしたくない。
『そうなんですね〜』
「そうなんですよ、っと......よし、遊んでやる気も出たし、武術大会までは対人戦の練習だな」
「対人戦の練習? どうやってやるの?」
「そりゃあ勿論、対人戦闘経験を積めばいい」
「ん? どこで積むの?」
これはあんまりよろしくないが......
「別ゲーで積む」
「えぇ!? 本当に!? VRなの?」
「モチのロン。FPSゲーだけど、大丈夫だろ。相手の位置取りを確認して戦略を推測したり、1対1の対人戦における意識の保ち方の再確認だな」
「な、なるほど......そんなゲームをやってるとは知らなかったよ」
「誰にも言ったことないからな。一応数人はフレンドがいるんだぜ?......あっちが引退してなければ」
俺が昔にやっていたFPSのゲーム、『ファイアーシュート』は、よくある銃を使ってキルを稼ぐゲームなんだが、そこには俺の数少ないフレンドがいる。
お互いに顔も本名も知らないが、(自称)とても仲の良い3人のフレンド達だ。
「もしまだやってたら、アイツらとやりあえば再確認くらいは出来るからな」
「そっか。明日までにはこっちに戻るんだよね?」
「そりゃあな。武術大会の為にやるのに、武術大会をすっぽかす訳にはいかんだろ」
「なら、私はここで待ってる。だから、感覚を取り戻して来てね? 絶対に優勝するんだよ?」
「絶対とは言いきれんが、優勝は狙うぞ」
あと、1つ訂正したい。俺は別に衰えてる訳では無いはずだ。だから『感覚を取り戻す』のではなく、『再確認』なんだ。
では宿屋に帰ってログアウトしたら、久しぶりに『ファイアーシュート』に復帰するとしますかな。
元世界6位の、『アルテミス』として。
さぁ、ここに来てユアストから外れ、『月見里月斗』のお話が入る匂いがしてきました!
前回の後書き同様、このファイアーシュートのお話は170〜180話くらいで出てくる予定でした。
ぐちゃぐちゃにならない程度に、お話を組み替えますね!お楽しみに!
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