武術大会に向けて 11.5 報告と報酬
小話的な感じになりますが.....
「帰ったどー」
「いや〜今日は濃かったね〜!」
「忙しかったですね!」
『ワタシ、カタナ』
一人精神がおかしくなってる奴がいるが、多分問題ない。
帰り道に布都御魂剣をフーに戻したら、ただのスライムに負けかけただけだからな。フーが。
「依代が出来たらレベル上げだな」
『......待ってます』
「出来なくてもレベル上げだな」
『......はいぃ』
今回の件で、スキルレベルが高くとも本人のレベルが1という事の、ステータス面の問題点が分かった。
HPの量が多くても、VITが低ければ意味が無い。
VITが高くとも、HPが少なければ意味が無い。
この2つのバランスで、生存できる確率が大きく変わるという事をよく知った。
それと同時に、ガーディ君の上手さも感じた。
レベル1って、学べる事が多いな。
「こんばんは! ご用件はなんですか?」
「あ、ギルドマスターのランザを呼んでもらっていいですか?『お前の依頼、20倍以上の戦果で片付けた』って伝言もお願いします」
「は、はい! しょ、少々お待ちください!」
「あの受付嬢、可哀想に......」
「しゃーない。ランザが受付にいないのが悪いな」
だって、依頼を達成したらどうすればいいか、知らないんだもん。
「や、問題児」
ランザが出てきたと同時に、シンプルに罵倒してきた。
「誰が問題児だよ」
「君だよ。まぁ、この場合は助かる意味を込めての問題児かな?」
「結局問題児なんだよなぁ」
良くても悪くても、問題児扱いされてたら同じやん。
「受付嬢に言ったこと、本当なんだね? ギルドカードを見せてごらん?」
「ん? これ? 何かあるのか?」
俺はランザに聞きながらギルドカードを出した。
「うん。裏向けて触ってみて。今まで討伐したモンスターが分かるから」
「どれどれミファソラ?」
ギルドカードの裏をタッチすると、今まで倒したモンスターの名前と、討伐数が出てきた。
「へぇ、まだ数万体か〜」
「え! ほんとに? 嘘だろ?」
「え? なんで驚いてんだ?」
「ちょっ、ちょっと見せてもらっていい?」
「どうぞ」
討伐数ランキングは、フォレストゴブリンがぶっちぎりで1位だったな。
鉄集めに貢献してくれたフォレストゴブリンに感謝だ。
「ちゃんとフェンリルも書かれてるし......数も多分合ってる.....」
「そのギルドカードって最近作ったものだけど、作る前に戦ったモンスターも記録されてるのか?」
「うん。生体認証だからね。ルナが戦ったモンスターの全てが書かれてるよ」
「じゃあ、戦わずにすれ違ったやつとかは記録されないんだな?」
「だね。戦って『勝った』記録しか残らないから」
「なるほど。ありがとう」
神龍との出会いの証拠は、あの写真しかないわけだな。
「じゃあ、はいこれ。3人分......と言いたいけど、リルちゃんの扱いが出来なくてね、2人分なんだ。ごめん」
「気にしないでください」
「......依頼の報酬より、素材をそのまま売った方が稼げるよな」
「そりゃそうだよ。ルナ、考えてもみて。素材の買い取り込みの報酬金より、素材は冒険者側の所有物にして、『倒してくれた時の報酬』としてお金を出した方が、冒険者が依頼を受けやすいだろ?
そう、例えばレアなドロップ品があったりした時、そのアイテムさえも依頼者側に回ったら、冒険者の戦力にも繋がってくるからね」
「そ、そうだな。少し理解した」
多分、『そもそも倒してくれないと本末転倒』ということを言いたいのだろう。
「って事で改めて、2人分の報酬金の1万Lね」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「さて......ルナ達は初めての依頼だった訳だけど、どうだった?」
えぇ、ここに来てその質問する?
「まぁ、狩りはいつもと変わらなかったよな?」
「そうだね。接敵は少し少なかったけど、それぐらいだし」
「そうですね。普通の狩りでした」
「だよな。帰り道に神龍と出会ったくらいか? いつもと違ったのは」
「ん? しんりゅう?」
「うん、神龍」
「よし3人とも、こっち来ようか」
そしてギルマスの部屋で話すこと10分後――
「僕とアルカナさんが祈った結果なのか?」
「知らないよ。それで、もう話す内容は無いんだが......帰っていいか?」
「あ、あぁ。ありがとう。この世の歴史に名前を刻んだ御三方」
「なにそれやめて?」
「それはちょっと......」
「長いし酷いですね」
「えぇ冷た! あの神龍に出会って生きてるのに、冷た!」
「どうせあの神龍とはどこかで戦うだろうからな。勝った時に喜ぼうぜ?」
あの神龍は俺が──いや、流石に無理か。
「じゃあ買い取りして貰ってから帰るわ」
「うん、今日はありがとう。まさかあんな話を持ち帰ってくるとは思わなかったよ。それと、初依頼達成おめでとう」
「おう、こちらこそありがとう」
「「ありがとうございました!」」
こうして初依頼の完了と、神竜との出会いの報告が終わった俺達は、ギルドの買い取り所まで来た。
「いらっしゃいませ。モンスターからの入手品の買い取りを行ってます」
すんごい機械口調の人が買い取り所の受付か。
「アルトム森林での入手品をお願いします。あ、3人分で」
「分かりました。こちらの箱に素材をお入れ下さい」
なんだろう......セルフレジみたいだな。
「じゃあ入れてくか。俺は量が多いから、2人が先にするといい」
「分かった! ありがとう」
「父様、私の分は父様にお渡ししましょうか?」
「えっ、う〜ん......ちょっと待ってな」
「はい」
リルの分か。どうしよう。
......俺がテイムしたと言う面で見たら俺が受け取るべきなんだろうけど、この考え方は嫌いだな。
「ソルと半々にするか?」
「ふぇっ!?」
「どうした? 大丈夫か?」
リアルな『ふぇっ』を頂きました。
これは脳内に永久保存した。
「い、いや? な、なんでもないヨ?」
「声震えまくってんじゃん。まぁ、いいか」
なんか考えていたんだろうな。邪魔してしまったかな?
「う〜ん、リルの分はリルが持っていて欲しいのだが......それは嫌か?」
「嫌ですね」
「ですよねー」
全てを捧げるのはあきまへん、リルはん。
「それならやっぱりソルと半々にするか。俺としては少し気になるが......許容しよう。ソル、それでいいか? リルも」
「う、うん! 問題ないよ!」
「はい。お願いします」
ふぅ。まさかの問題だった。
ってかリルの分の買い取り、今までどうやってたっけな。忘れてしまった。
「ルナ君。リルちゃんの分終わったよ〜」
「あ、ありがとう」
ソルぅ......ありがとう! それとリルの買い取りを任せてすまん!
「ソルには感謝だな」
という訳で俺の分の買い取りをしよう。
俺が出す分はこれだ。
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『豚肉』×600
『森狼の毛皮』×200
『森狼の牙』×100
『上質な狼肉』×400
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あ〜あ。またやっちゃった。1スロットに99個までしか入らないのに、また100個単位でやっちゃった。
......もうこれは治せない癖だな。うん。
「買い取り金額は235,000Lになります」
「ありがとうございます」
やったぁ! 所持金が約1.5倍だぁ!
「ル〜ナ〜君。はい、これがリルちゃんの分だよ」
75,000Lをソルから渡された。
「おぉ、って事はリルは15万も稼いだのか。頑張ったな」
「えへへ〜沢山倒しましたから〜」
っもう! 可愛いんだから!
「あ、今気付いたけど、俺の分とリルの分を合わせたら丁度30万Lだ」
「おぉ〜凄いね! 一気に沢山稼いだね!」
「だな。でも面白いことに、依頼の報酬金は5,000Lなんだよな」
「依頼を受けさせる策略、上手だとは思うけどさ、大丈夫なのかな?」
「まぁ、この世界だからな」
「そっか。それもそうだね」
「よし、宿に戻るか。これから武術大会までは、バッチバチに戦闘だな」
「頑張ろ〜!」
「お〜! です」
その『です』は可愛いぞ、リルよ。というか、語尾に『です』が付くキャラは可愛いって、古事記にもそう書かれてる。知らんけど。
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名前:ルナ Lv72
所持金:515,540L→820,540L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E) 魔法士
HP:810
MP:1,310<500>
STR:2,730(200SP)
INT: 730
VIT: 1,230(50SP)
DEX: 2,230(150SP)
AGI: 930(20SP)
LUC:365
CRT:50(限界値)
残りSP:300
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『王弓』Lv100
『武闘術』Lv52
『刀王』Lv83
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『雷属性魔法』Lv85
『自然魔法』Lv97
『龍魔法』Lv1
『古代魔法』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv98
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv1
『料理』Lv15
『錬金術』Lv72
その他
『テイム』Lv2
『不死鳥化』Lv1
<>内アクセサリーの固定増加値
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ソルの考え事は何だったんでしょうかね?裏話とかで書いてみたいところです。
次回かその次で準備編が完結.....の予定です。それから武術大会が始まりますが、その前にもう一回掲示板を挟みたいと考えてます。ぉぉぉお楽しみにぃ!
誤字脱字報告、とても助かってます!
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くだらないことやユアストのあれこれ(ネタバレ有)を呟いてます!
https://twitter.com/yuzuame_narou