武術大会に向けて 10 初めての依頼とフーのお話
前回は怖い話でしたので、今回の後半は少しほんわかと。
「じゃあランザ、なんか良い依頼無い?」
「その前に私に挨拶があるだろう?」
......くっ!
「お久しぶりですね、アルカナさん」
「久しぶりだな。お前、いつ雷属性魔法を習得したんだ?お前は魔導書を読んでいないだろう?」
「読んでませんよ。プレゼントされたので、それで習得したんです」
「プレゼント......とな?」
「さっきのピンクの人からです」
「なるほどな」
ははっ! キアラさんの事を『ピンクの人』って言ってやったぜ!!
ってか理解してんの凄いな。
「まぁ、またギルドに来い。魔導書を読ませてやる」
「はい」
や、優しい。俺、今度魔法士ギルドに行きます。
「それで、ルナの要望は直ぐにランクが上がる依頼って事でいいのかな? それともお金?」
「いや、討伐系だったらなんでもいい」
「ありゃ? そうか。それは丁度いいな」
何が丁度良いのか、理解に苦しむなぁ。
「この依頼、特別に受けてみないかい? 本来はAランクの依頼なんだけど、友達特典でさ」
「どれどれ?」
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『クエスト:アイスワイバーンの討伐』
受注条件:Aランク以上
人数制限:10人まで
場所:ニクス山
概要:ニクス山の山頂に出没するアイスワイバーンの討伐。
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「2つ、聞いていいか?」
「なんだい?」
「まず1つ、アイスワイバーンの強さだ。俺達は先日、はぐれワイバーンのレベル71と戦ったんだが、それと比べたらどれくらいの強さだ?」
「アイスワイバーンは、はぐれワイバーンの1.3倍強い、と言われてるね」
1.3倍か......イグニスアローとの相性を考えたらまぁ、行けるか?
「ありがとう。じゃあ次に、『ニクス山』ってどこだ?」
「ニクス山はロークスから北西に進んだ場所にある雪山だよ。防寒着を着るか、火を常に持っていないと生きているのが難しい場所だね」
うん、やめよう。
「受けないわ、その依頼」
「え? どうして? ルナなら受けると思ったんだけどな〜」
「うんうん、私も受けると思ってた」
「いや、今から防寒着の用意したら、出発明日になるぞ?受注期限は書いてないとはいえ、流石に今日中に帰って来れないのは避けたい」
火を常に持つのは論外だ。松明とかの物理的な物を持つと片手が塞がるし、魔法で代用するにしてもMPの消費のせいで、攻撃魔法が使えなくなったら意味が無い。
「どうして今日中がいいの?」
「そりゃあ決まってるだろ。俺達、野宿の経験ないんだぞ? テントの用意も、何も無い。そんな状態で野宿するのは、いくら敵が弱くても危険だ」
「......いいねぇ。ルナ、冒険者の経験があるのかい?」
「無いぞ。あったらEランクじゃないだろ?」
「ま、そうだよねぇ。いや〜最近のEランク冒険者って、殆どが後先考えずに依頼を受けちゃって、失敗する人が多いんだよね」
「そ、そうか。マジで冒険してるな、そいつら」
俺はレベルが高い分、デスペナルティが怖すぎて慎重になってるだけだ。
だって、今の俺はレベル70、つまりは140分間の全ステータス1のペナルティだ。
2時間と少し、ダラダラするしかないのはキツい。
「だからルナの様な慎重な冒険者って、かなり貴重だよ。強くて慎重、それに有識者からの情報収集。冒険者には必須のスキル達だね」
「あ、ありがとう?」
あんまりヨイショしないでくれ。自信が薄れる。
「ってな訳で、他の依頼はないか?」
「あるよ。オークの討伐とか、スライムの討伐とかね」
「オークので頼む」
「それじゃあ、はいこれ。確認して」
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『クエスト:オーク10体の討伐』
受注条件:Cランク以上
受注人数:5人まで
場所:アルトム森林
報酬:5,000L
概要:アルトム森林のオーク10体の討伐。
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「あれ? こっちは報酬あるんだな。さっきのは無かったよな? あとこれ、Cランクだぞ?」
「うん。だって、受注すること自体が特別だからね。報酬は渡せないよ。それとこれも特別だよ。こっちのはCランクまでだから、報酬はあるよ」
「なるほろ。じゃあ、これを受けよう。ソル、リル、いいか?」
「うん!」
「はい!」
「じゃあ受注確認っと。気を付けてね、3人とも。......まぁ、大丈夫だと思うけどさ」
そうランザが言うと、暫く黙っていたアルカナさんが口を開いた。
「ルナ達は初依頼か。良い事があるといいな」
「ですね。初依頼が王都のギルドの冒険者は初めてですし、良い事があると祈りますか」
「「「ありがとうございます」」」
こうして、俺達の初めての依頼が始まった。
ペリクロ草原にて――
「なぁ、オーク10体ってかなり少なくないか?」
「少ないね。前の狩りでも、100体以上は狩ってるし」
「まぁまぁ、オーク肉はおいしいから良いじゃないですか」
リルは食いしん坊キャラになったのか? それとも成長期?
「じゃ、フーを出すか」
「どうして?」
「話し合いの結果を聞くためだな」
「ん? 何の話し合いをしてたの?」
「それはまぁ、見てのお楽しみだな。来い、フー」
布都御魂剣を顕現させる。人型で。
「むぅ......」
めっちゃ頬を膨らませてるフーが現れた。今回は巫女服のようだ。
「どうしたんだ?」
「あの方に怒られました。ちょっと刀と相性が良かったから、先に出ていっただけなのに......」
あぁ、やっぱり怒られたんだな。それと、武器の相性があるのか。勉強になる。
「ま、今度実体化させるから、その時に仲直りする事だな」
「は〜い。刀に戻りますね」
そう言ってフーは刀に戻ったので、布都御魂剣を帯刀する。
「ねぇねぇルナ君、あの方ってだれ?」
「あぁ、それはな。アイアンソード君のもう1つの意思だ。執事風のおじ様の声だった」
「へぇ。巫女、メイドと来て今度は執事なのね」
「大丈夫、魔女っ子はまだあるぞ」
「......もう、そういう事を言ったんじゃないよ!」
「分かってるさ。暫くは実体化させないから、ソルとの時間はたっぷりある」
「なら良し」
まぁ、実体化させてもインベントリに仕舞ってる時間の方が長いだろうけどな。
「じゃ、森に入るか。何体狩る?」
「う〜ん、時間的に70くらいかな?」
「私も全力疾走して倒すので、120体くらいですかね?」
「じゃ、俺は適当に10体以上と言うことで。スキルレベルを上げたいからな」
「なるほど。じゃあ集合は何時にする?」
「20時くらいにするか。晩御飯食べたいし」
リアルでもそろそろ晩御飯食べたい。
「分かった! なら20時にここで集合しよっか!」
「分かりました! 父様、時間の数分前に念話してくださいね!」
「あ、あぁ。分かったよ」
そうか。リルにはミニマップが無いから時間が分からないのか。
時計なんて作れないし、俺が確認して念話するしかないな。
......全く、世話の焼ける娘だ。可愛いな!
そうして何時もと変わらない狩りが始まった。
「フーの出番は大分後だな」
『そうなんですか?』
「あぁ。まずは『剣王』を100にするからな」
俺はステラをインベントリから取り出す。
「ま、そこで見てるといい。後から出番があるから」
『はい。生ルナさんの戦い、ガッツリ見ます!』
「気持ち悪い言い方するなよ」
フーは巫女なのかメイドなのか、俺の中では未だ謎だ。
「おっと、オーク発見」
珍しくオークが3体も集まっていた。
「さ、ステラ。やるぞ!『魔纏』!」
正直に言って、魔纏する意味は無い。だって、布都御魂剣を帯刀しているから、めっちゃ補正が入るんだもん。
「そいや!」
『ブモ......』
「ワンパンか。それっ!」
『ブモォ......』
「最後!」
『ブモ!』
「離れたな貴様。その判断の褒美に、1番綺麗な太刀筋で斬ってやろう」
ザンッ!
自分の中で、2番目くらいに綺麗な袈裟斬りが出来た。
『ブ、ブモォ......』
「勝利、と」
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『オーク』×3討伐しました。
『豚肉』×18入手しました。
『剣王』スキルレベルが2上がりました。
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「惜しい! あと1!」
でもまぁ、これで99レベだ。次のレベルには、ゴブリンでも狩るか。
「はいゴブリン発見」
オークと戦った場所から少し進むと、ゴブリンが4体いた。
「じゃあ、頑張れよステラ。おら゛ぁ!」
ゴブリンに、ステラを思いっきり投げた。
『『ギャ......』』
「っし! ダブルキル来た! ステラ!」
ゴブリンが2体、ポリゴンになったのを確認してからステラを顕現させる。
「やぁやぁゴブリン君達。ご機嫌いかが?」
ザンッ!
『ギャ......』
「じゃあね」
ザシュッ!
『グギャ......』
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『フォレストゴブリン』×4討伐しました。
『錆び付いた剣』×4入手しました。
『剣王』スキルレベルが1上がりました。上限値を解放しますか?
『はい』『いいえ』
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もちろん『いいえ』だ。とりあえず全部100に揃えたいからな。
「これで『剣王』は完了と。次は弓だな」
『早いですね〜! そんなに直ぐに上がるものでしたっけ?』
「まぁ、俺は称号効果があるからな。通常の2倍の速度で上がっているぞ」
『そうなんですね! それにしても早い気がしますが......』
「んなもん意識の違いだ。剣に何を求めるか、その違いだ」
俺の剣は自分や大切な人を守り、敵を傷つける剣だ。
守るという事は、誰かを傷つけるという事でもある。それを理解した上で、より強く、より早く攻撃できるように鍛えてる。
『私は......無心でやってました。それが原因で、何百年もかかったんでしょうね』
「それは逆に言えば、無心でも何百年もかけたら剣は極められるという事だろ?」
『......すごくポジティブな考えですが、一理ありますね』
「ま、楽しむのが大事だしな。好きこそ物の上手なれ、とは言ったもんだ」
好きは最高級のモチベーションの燃料だ。コイツ1本で10年は燃える。
「ま、雑談はここまでで、オーク探すかね」
あと7体、頑張ろっと。
ドドパン!!
弾けるような音を立て、矢を放った。
「ほい、ノルマ達成」
今回の群れの最後の1匹を討伐した。
ここまでの戦果はこんな感じ。
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『フォレストゴブリン』×39討伐しました。
『トレント』×5討伐しました。
『オーク』×7入手しました。
『錆び付いた剣』×35入手しました。
『木材』×47入手しました。
『薪』×13入手しました。
『リンゴ』×10入手しました。
『豚肉』×35入手しました。
『上質な豚肉』×2入手しました。
『王弓』スキルレベルが2上がりました。上限値を解放しますか?
『はい』『いいえ』
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狩りすぎちゃったけど、まぁいいだろう。
「いいえ、と。よし、これからフーの出番だぞ」
『やっとですか!......って言うほど待ってませんけどね。異常ですよ、異常。その速度でスキルレベルが上がるのはおかしいです』
「酷いなぁ、その言い方は。そういえばフーにとって、俺って何なんだ?」
『......くっ!』
およよ?
「ほれほれ、言ってみ?」
『ご......』
「ご?」
『ご』ってなんだ? いや、『ご』から始まる何かか。......なんだ?
『ご主人様......です......』
「あっそう」
『酷いです! 次出る時はメイド服を着てやりますからね!』
「あっそう」
それじゃあただのメイドじゃねぇか。せめて巫女服を着て抵抗しろよ。
「じゃ、今回で初めて布都御魂剣を使うな」
『さっきまでの話の意味は......?』
「さぁ? 気晴らし?」
『そうですか......これはルナさんが気晴らしに話しかけるようになった事を喜ぶべきか、実体化させて貰えない事を悲しむべきか......』
「好きにしてくれ。それと俺は元々独り言が多い。喋り相手がいるなら止まらないぞ」
頭の中にももう一人俺がいるレベルで独りで考え、口に出すからな。
「オークはっけ〜ん!」
俺はオークを見つけ、布都御魂剣を構える。抜刀の構えだ。
『あれ? 抜刀術もできるんですか?』
「うるさい」
今、構えた状態でオークが来るのを待ってんだよ。話しかけるな。
『ブモ? ブモォ!!』
「......っ」
オークが俺に近づいた瞬間、俺は抜刀した。
シュン! と小さな音を立て、オークがポリゴンになって散る。
『うわ〜めっちゃ綺麗な太刀筋ですね。今までどれだけの鍛錬を積んだんですか?』
「9年ちょっと」
『それでその太刀筋は凄いですね。比較するようで悪いですけど、カレンとは比べ物になりませんよ、ルナさんは』
「そうかい」
実は俺、かなり驚いている。
......別にフーが褒めたことに驚いているのではない。
俺が驚いたのは、布都御魂剣の切れ味だ。
まさか、殆ど音を立てずにオークを真っ二つにするとは思わなかった。
「切れ味ハンパねぇ〜」
『そうでしょうそうでしょう。なんてったってこの私ですからね!』
「うぜぇ〜」
刀は超がつくほど綺麗なのに、聞こえてくる言葉が超がつくほどうざい。
「ま、いいや。峰打ちや体術も使いつつ、レベル上げするかな」
時刻はだいたい19時40分頃――
「今日はこんなもんか」
『沢山狩りましたね〜!』
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『フォレストゴブリン』×250討伐しました。
『トレント』×95討伐しました。
『オーク』×151討伐しました。
『フォレストウルフ』×20討伐しました。
『錆び付いた剣』×240入手しました。
『リンゴ』×300入手しました。
『豚肉』×700入手しました。
『上質な豚肉』×13入手しました。
『森狼の毛皮』×400入手しました。
『森狼の牙』×200入手しました。
『上質な狼肉』×600入手しました。
レベルが2上がりました。20SP入手しました。
『武闘術』スキルレベルが51上がりました。
『刀王』スキルレベルが82上がりました。
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「ウハウハだな」
『良いですね〜!』
当初の予定では、武闘術と刀王は20レベルになれば良かったんだが、頑張りすぎたな。
あと、オークを狙って狩ってたら、150体超えていた。これには驚きだ。
「さ、あと少ししたらリルに連絡入れるか。先に集合場所に行こう」
『レッツゴー!』
集合場所にて――
「あと5分したら呼ぼう。それまでフーになったらどうだ?」
呼び方を布都御魂剣とフーを使い分けてみた。
「いや、私は私ですからね? 刀でもあり、付喪神でもありますから」
「だから使い分けてんだよなぁ。ってか今回はマジでメイド服なのか」
「えぇ、こっちの方が可愛いでしょう? フリフリがいっぱいですし」
「そうだな。ソルに着てもらいたいな」
「クソが!!」
言葉が汚ねぇな。
「女の子が言う言葉じゃねぇな」
「あら、知らないんですか? 今の私、性別がありませんよ?」
「そういえばそうだったな。でもまぁ、髪は長いし、メイド服とか巫女服来てるんだから、女の子だろ」
「まぁ、上位神時代は女神でしたからね」
「ほぇ〜、どんな神だったんだ?」
「『イシス』でした」
「へぇ〜......へぇ!? イシス!?」
「はい。見覚えがあるでしょう?『神匠:付与』スキルの所で」
「なんか、色々とビックリだな。って事は大分前から俺の事を見てたのか?」
「はい。ヘラ様が気にかけていたので、そこからいろんな神が広め、ルナさんの事を見ていますよ」
「怖っ」
「ふふふっ、怖がる事はありませんよ? 皆さん良い方ですから。怒りの象徴の神でさえ、皆で仲良くトランプで遊んですよ」
「ほんわかしてんなぁ。いいな、神」
「いいでしょう? でも、権能を捨てる関係上、私のように付喪神にランクダウンする神は少ないんですよね」
権能......力か。まぁ、力は大切だもんな。
「それじゃあ、アイアンソードに宿ってるもう一柱の神は誰だ?」
「それは本人から聞いてください。きっと驚きますよ?」
「いや、フーの時点でめっちゃ驚いているんだけどな」
まさかの愛剣に宿った神が二柱で、その内の一柱が刀に宿った上に実体化して、しかもそいつがずっと前から俺の事を見てた女神だったと。
狙って宿ったんだろうが、そんなに人気なのか?俺は。
「そういえば最初の頃、『皆やべ〜って言ってた』ってフーは言ってたが、俺は皆から見て、どんなやつなんだ?」
「そうですねぇ。まず、フェンリルをテイムした初めての人間という事で話題になりましたね。まさか、レベルが3桁も無いのに倒す人間がいるとは思えませんでしたし、それもテイムしちゃいましたからね」
「人間にも同じような事は言われたよ」
フェンリルと戦ってる時、楽しかったなぁ。
「ま、テイムしたお陰で可愛い娘が出来たもんだ」
「あれ? (仮)が付くんじゃ無かったんですか?」
「本人の前では、な。俺の気持ち的には可愛い可愛い娘だよ。俺に娘がいたら、きっとこんな感じだと思ったからな」
「溺愛してますね〜」
「まぁ、1番はソルだから問題ない」
「溺愛してますね〜、そういえばソルさんの事も話題になってましたっけ」
「そうなのか?」
「はい。ルナさんとセットで、ですけどね。今どき珍しく一途な人同士が一緒にいるってので」
「恥ずかしいわ。辞めてくれ」
「言うと思いました。ふふっ」
何が楽しくて自分の恋愛面の客観的な意見を聞かなくちゃいけないのか。
「それで、俺の話で2番目は?」
「魔剣を作った時ですね。あの時からかなりの有名人でしたけど、処女作が魔剣ってので、鍛冶神のほぼ全員の注目を集めましたね」
「やっぱり確率が低かったんだな、魔剣は」
「違いますよ? あれは魔力の質を素材に合わせることで、魔剣になるんですよ。正直に言って、それが出来るのは神クラスの技術が必要ですからね。......何故かルナさんもできてますけど」
へぇ、んじゃあ称号効果とかの確率って、素材に適していない魔力の質の時に、魔剣になる確率を上げるって事なのかな?
「次は?」
「そりゃあ勿論、指輪ですよ。ソルさんに送った結婚指輪、アレにヘラ様が思いっきり力を込めましたね」
「結婚指輪じゃないんだけどなぁ......」
ま、気持ちはそうでありたいけど、さ。
「あの指輪、この世に存在するありとあらゆる指輪の中で、最高の効果を持ってますからね」
「そういやあの指輪の『不滅の愛』や魔力の補正に、イシスが大活躍してたよな」
「えぇ。権能の殆どを注ぎましたよ。だって、力を失ってから付喪神になれば、沢山手助けをした上で、ルナさんの所に行けますからね」
「ありがとうな、フー」
「お気になさらず〜♪」
あの命のストック化、確かイシスの加護だったよなぁ。それと、獣人補正を実質的に消したのもイシスだよな。
「これは取らぬ狸の皮算用的な考えだが......」
「はい、どうしました?」
「総合部門で優勝して家を手に入れたら、そこでメイドをするか?」
「え? いいんですか?.....でもそうしたら、布都御魂剣は使えませんよ?」
「ま、そこが問題なんだよな。常駐させるのかどうかってのは」
出来れば、刀も使えてフーも出していたい。俺は強欲だな。
もっと言うと、フーに護身用の武器を持たせたい。常に家にフーがいて、刀や剣を持っていたら、あのスキルレベルがカンストしている『魔剣術』とかで、家を守ってくれるだろう。
「他の依代を作ったりしても、難しいか?」
「......そうですねぇ。今の布都御魂剣を超える物でないと、厳しいですね」
まぁじぃ? 今の俺の最強武器を超える武器じゃないとダメなのか......
「なら、それは鍛冶が101を超えてからだな。正直言って、布都御魂剣以上の武器は作れる気がしない」
こんなにも美しく強い武器は、そうそう出来ないだろう。
「っと、時間を過ぎてるな。リルを呼ぶか」
「あらあら、すみません!」
「いいさ、得られたものは大きいしな」
ではリルに念話を送りますかな。
『リル、時間だぞ〜』
『はい。今向かいます』
『気を付けてな〜』
『は〜い』
うん。このやり取りは家族のやり取りだな。
「じゃ、もう少しだけ待つとするか」
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名前:ルナ Lv70→72
所持金:515,540L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E) 魔法士
HP:790→810
MP:1,290→1,310<500>
STR:2,710→2,730(200SP)
INT: 710→730
VIT: 1,210→1,230(50SP)
DEX: 2,210→2,230(150SP)
AGI: 910→930(20SP)
LUC:355→365
CRT:49→50(限界値)
残りSP:280→300
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv97→100
『王弓』Lv98→100
『武闘術』Lv1→52
『刀王』Lv1→83
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『雷属性魔法』Lv85
『自然魔法』Lv82→97
『龍魔法』Lv1
『古代魔法』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv98
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv1
『料理』Lv15
『錬金術』Lv72
その他
『テイム』Lv2
『不死鳥化』Lv1
<>内アクセサリーの固定増加値
━━━━━━━━━━━━━━━
フーの正体はソルを超強化する原因になった、あの女神でした。
さて、私は今回寝ずに書いてしまったんですけど、大丈夫ですかね?誕生日に徹夜で書くとか、私の頭はおかしいのでしょう。
次回は報酬とか、2つのスキルのレベル上げですね。.....予定通りなら、ですが。
それと、武術大会はもうすぐです!お楽しみに!
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