武術大会に向けて 8 二人の刀とテンプレ展開?
フーちゃん!
「――はい、後は焼き入れですね」
「分かった」
現在、フーに刀の作り方を享受している。
フーの知っている作り方と、俺がやった作り方では、大きな違いがあった。
「......まさか、玉鋼をさらに合金にするとはなぁ」
「あはは、それは私も思いましたね! 昔......大体300年くらい前ですかね? 覗き見してた鍛冶師の人が、急に玉鋼と金を合金にした時を見てびっくりしましたよ」
「どんだけ前やねん」
300年前て、このゲーム内ではどんな歴史があるんだろうな。
「おし、これで完成か?」
「はい! 銘を打ってあげてください」
銘......銘かぁ。神器とかなら勝手に付いてくれるんだけど、これは流石にそうはいかないもんな。
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『陽刀:アマテラス』Rare:19 製作者:ルナ
攻撃力:1300
耐久値:10000/10000
付与効果『魔力刃』『魔力増強:800』『太陽光強化』『耐久値回復:太陽光』『自然回復:太陽光』『魔纏』『刀術補正:特大』『顕現』『専用装備:ソル』
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ソル用の刀だ。オリハルコンとの合金だからなのか、『魔纏』君が付いてるし、見た目も金色の刃で、とても綺麗な仕上がりだ。
「鞘は普通なんだな」
刀の方は綺麗だが、鞘が普通の黒色だった。
「作れますよ? どうします?」
う〜ん、でもなぁ。なんと言いますか、こう、鞘に収まった普通の刀だと思ったら、刀身が金色でビックリ! みたいな展開もあるかもしれないしなぁ。
「いや、このままで行こう。って事でソル、これがソルの刀だ」
「ありがとう。ありがとうルナ君」
2度も感謝されちった!
「ははっ、ソルが喜んでくれたなら嬉しいよ」
これが1番のお礼だな。気持ちほど目に見えなくて、高価で、大きな物はない。ま、価値に値すると思うのもおかしいんだがな。
「じゃあもう一本やるか」
「いいんですか? もう夜ですよ?」
「え?」
フーに夜と言われ、俺はミニマップの時計を見る。
......ガッツリ夜だ! 23時と書かれている!
それじゃあリルは......ソルにもたれかかって寝てますね。
「まぁ、今やめるとモチベーションが落ちそうだしな。やるぞ」
「分かりました」
「無理したらダメだよ?」
「うん、だいじょぶ」
ゲーム内なので......なんて野暮な言葉に言わない。
それから5時間後――
「「出来た!!」」
リルの刀が出来た。
アダマントの合金にしたら、熱にもハンマーにも強くなって、作業量が数倍に跳ね上がっていた。
途中、フーも『手伝いましょうか?』と言ってくれたが、それは断った。
だって......自分の手で作った物をあげたかったんだもん。
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『月狼刀:ツクヨミ』Rare:19 製作者:ルナ
攻撃力:1500
耐久値:30000/30000
付与効果『超耐久』『魔力刃』『魔力増強:800』『月光強化』『耐久値回復:月光』『自然回復:月光』『刀術補正:特大』『顕現』『専用装備:リル』
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ソルの刀は金色だが、リルの刀は銀色だ。
それも少し白味がかった銀だ。カッコいい。
性能としては、アダマント君が頑張ったおかげで『超耐久』が付いてるな。
出来れば『魔纏』も付けてあげたかったと思うが、あれは真鍮やオリハルコンの特性?のおかげなのか、こっちには付けれなかった。
まぁ、付けれなかったと思ったけど、そもそも付け方を知らないんだけどね。HAHAHA
「ではではリルさ〜ん、おはようございま〜す」
リルを揺すってみましたが、起きません。ソルさんも一緒に寝てますね。可愛い。
「ルナさん、渡すのは明日にしては?」
「だな。明日ってか今日だけど、起きたら渡すか」
俺は『月狼刀:ツクヨミ』をインベントリに仕舞った。
さ、ここで問題発生だ。『どうやって宿に戻ろうか』という問題がな。
まぁ、フーに手伝ってもらうか。速攻解決だ!
「フー、ソルを背負ってくれ」
「嫌です。リルさんを背負います」
「なんでだよ!」
ちょっと待ってくれよ。ソルを背負うのは少し恥ずかしいと言いますか嬉しいと言いますか......
「だってルナさんの彼女さんでしょ? あれ? 奥さんでしたっけ? まぁ、ソルさんはルナさんが背負ってあげてください」
「......は〜い」
くっ!
「では失礼します」
「ふふっ、緊張してますね〜」
「うっさい!」
邪念を消してるんだ、邪魔をしないでおくれ。
ソルを背負う為に、俺はソルの腕を掴んだ。
「んぅ」
「すみません許してください」
普通に触っただけです。やましい事はしてません。
そうして小さなハプニングがありつつも、何とかソルを背負うことが出来た。俺は背中に感じる熱を感じながら、フーと目を合わせた。
「では行きますか。宿はどちらで?」
「着いてきてくれ」
そこから宿へはゆっくり歩いた。
そして戻ってる最中に思ったんだ。ゲーム内で寝るの、恐ろしいなってさ。無防備な状態が続くのは危険だ。まぁ、宿で寝れば良いんだけどさ......
宿にて――
「じゃあ刀に戻っておきますね〜」
「うぃ〜」
刀に戻ると言ったフーが、青い光になって人型から刀になった。
「わお。マジで刀だな」
『ふっふっふ! これが実体化できる付喪神の力ですよ!』
「あ、やっぱりその状態でも喋るんだな」
『モチのロンです! これが本来の付喪神ですからね!』
へぇーすごーい。
「ま、これからは帯刀しとくか」
何時でも戦えるようにしておきたいからな............嘘です布都御魂剣がカッコイイからです。
『え......それって......もしかしてもしかするのでは!?』
「ステータス上がるの、良いと思うんだ」
『ですよね! 知ってましたよ!』
「何を期待してんだかね」
最初に感じた理知的なイメージは、完全に灰になって消えたな。
「じゃ、おやすミンミンゼミ」
『はい! おやすみなさい』
布都御魂剣をインベントリに仕舞った。
もし話しかけられても聞こえないようにする為だ。ふはは!
翌日――
「おはよ、ルナ君」
「おはざいます、ソルさん。珍しいっすね、早起きして」
「うん、もう昼だよ?」
「うっそだ〜!............マジかよ」
午前11時20分、お昼時です。
「......おはよ〜ございます、父様、母様」
「おはよ、リルちゃん」
「おはようリル。お寝坊さんだな!」
「......」
「はい嘘です。俺もです」
いやん。ソルに無言で圧力をかけられちゃった!
「っとリル。はいこれ、リルの刀だよ」
リルにツクヨミを渡した。
「良いのですか? とてつもない効果が付いてますけど......」
「いいのいいの。リルのために作ったから」
「あ、ありがとうございます! 大切に使わせていただきます!」
「どういたしまして。喜んでくれて嬉しいよ」
うんうん。これで刀作りは終わりだな。長かった〜
「そういえば、フーちゃんは?」
「インベントリなう」
「「あ〜」」
なんの『あ〜』なのかね。ま、呼び出すか。
「ほれ、フー。出て来な」
「は〜い! 呼ばれて来ましたフーちゃんです!」
「「「え?」」」
フーがメイド服を着て出てきた。
「どうですか? この衣装! 似合ってますか?」
「はい収納〜」
フーを刀に戻した。これ、俺の意思で刀と人に変えられるんだな。
『ちょっと! なんで戻すんですか!』
「いや〜何となく?」
『酷いです! あんまりです!』
「そう思うなら前の格好で出て来いよ」
『あれ? メイド服より巫女服が好みでした? あ! ソルさんが巫女服着てるのっt』
布都御魂剣をインベントリに仕舞った。
「帯刀......出来ねぇな」
「すごくテンション高かったね」
「明るかったですね〜」
「ま、落ち着いたら出すとするか。さて、今日はどうする? 剣、弓、刀、拳、魔法。どれも粗方必要なのは揃ったから、あとはスキルレベル上げなんだよな」
武器は作った。だが拳は......まぁ、何も付けないでいいだろう。
「じゃあレベル上げに行こうよ! あと、冒険者もやりたい!」
「そういえばそんな事も言ってたなぁ。すっかり忘れてた」
冒険者ギルドで一切依頼を受けずに、ドロップ品だけ売る冒険者。
......うん、冒険者になる意味が無いな。
「じゃあ何のスキルレベル上げよっかな〜」
「私は刀かな」
「私も『刀術』ですかね。せっかく父様から刀を頂きましたし」
「俺は......全部?」
「「全部?」」
「うん。『剣王』は97で、『王弓』は98。そんでもって『武闘術』と『刀王』が1なんだよ。だから戦闘系スキルは全部かな」
出来れば今日中に剣王と王弓は100にしておきたい。武闘術と刀王は20まで行けたらいいかな?
「あ、魔法はまた明日だ。あっちはそもそも魔法の数が足りんからな」
「え? あれだけ作っても足りないの?」
「あぁ。もし火を無効化する鎧とか付けられてたら、『イグニスアロー』が死ぬからな。他の攻撃系の魔法って『サンダー』しか無いから、燃費が悪すぎるんだ」
「なるほどね」
今日から完全に武術大会に思考を向けよう。
「って事で、手軽な討伐系の依頼を受けるか」
「うん!」
「はい!」
という訳でやって来ましたロークス冒険者ギルド本部!
「なんか久しぶりな気がするな〜」
「だね〜ここの所生産ばっかだったし」
「楽しみですね!初めての依頼です!」
「ですな。さ、入りますか」
と、入ったところで話しかけられた。
「おうおう兄ちゃん、彼女さん連れてんなぁ! 浮いてんねぇ!」
「「「うわ〜」」」
スキンヘッドのオッチャンに絡まれた。
何? 冒険者ギルドのテンプレ、ここで来るの? 遅くない? ってかそういうのはイニティでやれよ。
.....よし、ちょっと攻撃的に行こうかな。
「俺に何か用ですか? 斬りますよ?」
「ひゅ〜! 怖いね〜! 俺、そういうの怖いな〜?」
うわ〜、絶妙に人をイラつかせるな〜こいつ。
『リル、限界まで手を出すなよ』
『はい。分かりました』
とりあえずリルに念話を送る。これでこの人が死ぬことはないだろう。きっと。
......念の為にソルにもチャットを送っとくか。
『ソル、テンプレだから手を出しちゃダメだぞ』
『うん』
俺のインベントリ操作技術は、隠れて高速でチャットを打つのにも効果があります。最高!
「で、どうしたんですか? 俺達、依頼を受けに来たんですけど......」
「はっ、お前、ルナだろ?」
なんで名前知ってんだこの人。
「違いますよ。俺はルルです」
「「「え?」」」
おいぃ! なんでソルとリルも反応してんだぁ!
「そ、そうなのか?」
「そうだったの!?」
「では、父様は?」
「2人とも.........」
あ、さてはソルとリル、結託してるな?
「はぁ......俺がルナですよ。どうしたんですか? あなたは」
「や、やっぱりな! お前がルナか! お前、強いんだってな? 俺と勝負しろ!」
「「「あ〜」」」
くっそしょうもない展開になる気が来てきたぞ〜
「分かりました。では数分待って貰えますか?」
「あ、あぁ! 存分に準備するといい! ま、俺には勝てないだろうけどな!」
小物臭がすごいな、この人。もはや好きになれるキャラだ。
ではでは時間を貰ったので、アレをしよう。
「魔法作成」
今回出たのは15個の円の魔法陣だな。
「何してんだ?」
「静かにしててください。父様が準備中です」
「あ、はい」
リルに気圧されてんの、面白いな。
では、イメージするのは風の袋。包むのは音。自在に動かせ、遠くに『音を運ぶ』イメージだ。
『カチン!』
『カチン!』
次に発動スピード。これは起動する速度なので、限界まで早くする。
『カチン!』
『カチン!』
次、最大MPはそのままでいい。
『カチン!』
『カチン!』
次、スキルレベルも足りるだろう?
『カチン!』
『カチン!』
最後、名前はいい感じに。
「『ボイス』」
『カチン!』
『カチン!』
よし、これでOK!
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『自然魔法:ボイス(消費MP:20)』の作成に超成功しました。習得しますか?
『はい』『いいえ』
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そういえば初めて全ての円が、『カチン!』って鳴ったな。それで超成功したのかな?
そしてもちろん、『はい』を押す。
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『自然魔法:ボイス(消費MP:20)』を習得しました。
『自然魔法』のスキルレベルが15上がりました。
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経験値うめぇ。
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プレイヤー『ルナ』が魔法の作成に超成功しました。
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クソが!!! ワールドアナウンスのクソ野郎!! 許さねぇぞ!!
「はい、準備出来ました。もう少しお待ちください」
「あ、あぁ」
オッチャン、冷や汗流して大丈夫か? 別にこれ、攻撃用の魔法じゃないから安心してくれ。
「『ボイス』」
おニューの魔法を発動する。
すると緑の光の玉が出てきたので、それに触れながら言う。
「あ〜あ〜、ランザさん、聞こえてますか〜? 聞こえてたらそのまま聞いてください。俺の声は今、魔法で声を飛ばしています。目の前に魔法でできた玉があると思うので、それに触れながら話せばその声は俺に伝わるので、後で返答してください。
では、俺の要件を言いますね。
今、ギルドの1階で変な人に絡まれてるんですよ、俺達が。で、その人に勝負を挑まれたんですけど、いい感じの場所を用意してもらいたいんですけどいいですか?
これが俺の要件です。では、返答待ってま〜す」
「うわ〜ルナ君、まさかの通報か〜」
「可哀想に、この人はもう......」
「え? 何俺、運営に通報されたの?」
「違いますよ。多分もう少しで来ると思うので、待っててくださいね?」
「お、おう。お前が何をしたのか知らんが、戦えるのならいい」
おバカさんで助かるよ。
......はぁ、依頼を受けに来ただけなのになぁ......
すると『ボイス』君が帰ってきた。
『ルナ? 聞こえてるか? 前にも言ったが、敬語はやめてくれ。刺すぞ?......それで、場所は用意してるから数分待ってくれ。用意が出来たら僕が下に降りるから、そのまま待っていてくれ。あと、その冒険者が暴れるようなら君の魔法で拘束してくれ。以上だ』
「こっわ!」
刺すぞ? とか怖すぎだろこの人。まぁ、確かに友達に敬語を使ったのは俺だけどさ、流石に『刺すぞ?』は怖いわ。
現時点で3位の人間に刺されたくありませーん!
「ルナ君、ランザさんに思いっきり敬語で言っちゃったね」
「そういえばあの人とお友達でしたね、父様」
「いや〜生産続きで忘れてたよ。ははは!」
「はははじゃないよ、ルナ」
「お、来てくれたかランザ」
俺の後ろに赤髪赤目の男が居た。ここのギルドマスターの、ランザだ。
数分待っててくれとは? 数秒で来たぞ、この人。
「あれ? 驚かないんだね?」
「そりゃあランザは気配が分かりやすいからな。いや、気配っていうか足音?」
ランザが近づいているのは知っていた。
俺が『こっわ!』と言ったあたりで、小さく、滑らせるような足音が聞こえていたからな。
「おっかしいな〜? 僕の足音に気付けるの、スパーダとアルカナさんくらいなんだけど。もしかして君、今度の武術大会で優勝取っちゃうの?」
「こんなんで取れるなら取るさ。それで、場所は用意して貰えたのかな?」
「勿論! えっと、君が件の冒険だね。確か名前は『ガレス』。語り人で、B級冒険者だね」
「「へぇ〜」」
ガレスってアーサー王伝説に出てくる人の名前だっけ。確かアーサー王の甥だったかな?
「な、なんで俺の名前知ってんだよ!」
「そりゃあ、僕はここのギルドマスターだよ? 全員を把握してないと、犯罪者が出た時に僕の責任が大きくなるじゃないか」
「は? はぁぁ?」
「まぁまぁガレス君、落ち着こう? 俺と勝負するんだろ? 何の勝負にしたいんだ? やっぱり決闘?」
少し煽ってやった。
「君も運が無いね。ルナに絡むとは......」
「あ、この人は俺を目的に絡んできたらしい」
「そうなのかい? ならバカだね。力量の把握は基本だろうに。Bランク昇格の試験内容、これから変えようかな?」
ギルドマスターお墨付きのバカを頂いたな、ガレス君。
そして今、Cランクの冒険者君達、試験内容が変わるかもしれんぞ。恨むならガレス君を恨むんだな。
「じゃ、行こっか。アルカナさんにも言ってあって、大きな舞台にしてあるよ!」
あ、あれ? これ、まさかの公開処刑?
こんなのテンプレに無いんだけどなぁ......
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『特殊クエスト:罪人の公開処刑』
概要:罪人『ガレス』の公開処刑!レベル差が20以上あると、通報した人が処刑人になるよ!
頑張れルナくん! byキアラ
『ガレスの罪状』
・窃盗10件
・殺人35件
『勝利条件』
・『ガレス』のHPが0になる。
『敗北条件』
・『ルナ』のHPが0になる。
・降参
『特別条件』
初めての処刑イベントにより、全プレイヤーに放送されます。
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えぇ? 罪人?
フーちゃん!
さぁ、何やら大きな展開になってますね〜!
まさかのガレス君、大罪人でした。
ユアストのPKの処分、怖いです。
次回は片付けと初依頼ですね!お楽しみに!.....いや、前半は少し楽しめないかもしれません!ごめんなさい!
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