武術大会に向けて 1 ほのぼの雑談と準備
準備編突入です!
宿にて――
「家が欲しい」
「欲しいね!」
「そうなのですか?」
「「え?」」
嘘やろリルさん......我が子(仮)は自分の家が無くてもいいのだろうか。心配だ。
「リルちゃんはお家に住みたくないの?」
「そうでは無く、分からないのです。今のままじゃダメなのですか?」
あぁ〜、そう考えるのは今まで定住したこと無いからかな?
「リル。家は必要だぞ? 自分たちだけの帰る場所になるからな。それに......そうだな。例えるなら、リルは俺がログアウトする時に俺の中に入るだろ? そんな感じだ」
多分合ってると信じてる。
そんでもって、俺にとって家は大切な場所になる。......ポーション作りの。こればっかりは生産所で作るのに抵抗あるんだよな。なんでだろ?
「......なるほど。少し理解できたと思います」
「なら良かった。それでな、再来週辺りに行われる武術大会で優勝するとな、家が貰えるんだ」
まぁ、『ギルドホーム』って書いてあったんだけどね。......家として使えるよね? 使えなかったらどうしよう。売る? 売れる?
「という事は、父様はその大会で優勝を取りに行く訳ですよね?」
「そうだぞ......で、だ。ここから本題に入るが、俺はこれから武器制作に入る」
「「武器制作?」」
「うん、武器制作。剣以外のオリジナルの武器って、俺持ってないんだよ。弓もフェルさんのところで買ったやつだし、刀もそうだな。拳なんて最早よく分からん」
剣はステラとかステラとか、それにステラがあるからな。
屋外での戦闘だと無類の強さを誇る。
「あ、そう言えばそうだったね。それじゃあ、まずは何から作るの?」
「Bowからだな」
「『ぼう』ですか? それはなんですか?」
「弓の事だよ、リルちゃん」
「そうなのですか」
ネタの解説をされる時ほど虚しいものは無い。
「くっ......せ、性能はミストルティンと同等以上のを作る予定だ。ステラを超えたい」
「わお! 本気で勝ちに行くんだね!」
「ったりめぇだ家だぞ家! ゲーム内ならお金もかからん宿にもなるんだぞ! しかも設備さえあれば生産もできる、最高の場所だ!」
他にもする事がない時にゴロゴロできるからな。ゴロゴロできるからな! ゴロゴロでk......
「う゛うん。とまぁ、そんな理由がありまして、優勝するために武器を作るんだ。それで、武器を作ってる間はソルはどうしたい? ついでになって申し訳ないけど、お願いとかあったら聞くぞ?」
ソルは武術大会に出ないからな。何かしたいことがあったら手伝いたい。
「気にしなくてもいいよ?......でも、してくれるっていうなら1つ。私にお弁当を作らせてください!」
えっ......? えぇ?? えぇぇぇ!?!?
「どどど、どういう事だってばよ!?」
「えへ、えっとね......ほ、ほら、ルナ君は生産してる時って何も食べてないでしょ? だから、お弁当作ってあげたいな〜って......そ、それに! 次のアップデートでお腹も空くようになる、ってマサキ君が言ってたし、慣れるためにも......ね?」
おうふ。彼女が可愛すぎて俺、死にそう。
巫女服のせいで少しシュールになってるのもポイントになってる。
そんでもって答えは決まっている。一択だ。
「よろしくお願いします」
「やったー! 頑張って美味しく作るね!」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
う〜ん......何か大事なことを忘れてる気もする。
ま、いっか!
生産所の鍛冶場にて──
「そういや『アダマントのインゴット』って何ぞ? リルは知ってるか?」
「はい、知っています。アダマントは非常に硬い金属です。地震等の自然災害が起きた地域で、ごく稀に採れます」
ん? 硬いことと自然災害は関係あるのか?
「それに、アダマントは『神鉄』とも呼ばれています。理由としては、自然災害に、つまりは『天災に耐える鉄』と言われているからです。まぁ、神獣なら余裕で壊せますけどね!」
なるほど。地面が割れてもこの金属は壊れない、と言うところからか。ファンタジーだな。
それと神獣......は確か幻獣の事か。幻獣にアダマントはそこまで有効じゃないということね、なるほど。
という事は、こんなに可愛いのにめちゃくちゃ強いとか、リルは最強だな!
「ありがとうリル。良く分かったよ」
感謝のナデナデをリルに。
「は、はい〜他にも分かることはお教えします〜」
幻獣様は知識が豊富ですな。
......そういや他にも幻獣をテイムしたプレイヤーはいるのかな? テイムした個体によって知識量が違うとか、そういう『個性』はあるのだろうか。
「よしよし、それなら武器にはアダマントを使うとしよう。......あとオリハルコンも」
アダマントとオリハルコンのインゴットを出してみる。
「おぉ、綺麗だな〜」
「ですね〜!」
アダマントは水色がかった鉄の様な見た目だ。それとオリハルコンは真鍮そっくりだな。
「こいつら、融点は何度なんだろ......」
アダマントもオリハルコンも確実に鉄より融点が高いだろう。どうやって溶かしたものかね。
薪を何本入れたらいいんだろ? 千本?
「父様父様」
隣にいるリルに腕をチョンチョンと突かれる
「どうした?」
「父様のあの魔法で溶かしてはどうでしょう? あのゴーレムすら蒸発する威力の出る魔法なら、溶かせるのでは?」
か し こ い
「それは名案だな。ありがとうリル! 試してみるぞ!」
「はい! あの魔法なら殆どの金属は溶かせると思います!」
ではでは『イグニスアロー』と『アウラ』で溶かすとしますか!
さぁ、前回の後書きで『生産です』『魔導書も出ます』とか言ったやつがいるらしいじゃないですか。
でもそいつ、次の話で生産も魔導書も書いてませんよ。酷いですね!...全く、どこの誰なんだか。
次回は、生産です。魔法を使った鍛冶の効率はいかに!?
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