その告知を待っていた!
むしゃくしゃして時空を飛ばしました。クリスマスなんて知りません。
王都ロークスに来てから『リアル』で2週間程たった。
この2週間は生産と森林での狩りという、何にも代わり映えのしない日々を送っていた。だが、変わったことはある。
アクセサリーや武器を作りすぎて、『神匠:鍛冶』『神匠:付与』『神匠:金細工』のレベルが100になったのだ。
多分、101レベルにも行けるだろうが、『上限を解放しますか?』ってウィンドウが出た時に、『どうせなら全部100にしてみたい』という気持ちが出てきたから100に止めておいた。
機能面で言えば100で止めるメリットは無いのだが、別にいい。
そして今、世間ではゴールデンウィークで賑わっている中、ユアストでは『ある告知』が来た。
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『第1回イベント:武術大会』を開催します!
開催期間:『現実時間明後日15:00〜』
イベント内容
『王都ロークス』に一定数のプレイヤーが辿り着いた事を記念して、武術大会を開催します。
武術大会は、各戦闘系スキル部門と、魔法部門、総合部門の3つの部門があります。
それぞれの部門で1対1の対人戦を行い、より戦闘に優れた者を選出します。奮ってご参加ください。
尚、予選は特設エリアにてバトルロイヤルとなります。
本戦は特設アリーナにて行われます。
※本戦は運営公式チャンネルより、生放送をいたします。
イベント報酬
『各戦闘系スキル部門』
1位:賞金1,000万L、『スキル書:武神』、特別賞、『称号:武術大会〇〇部門優勝者』
2位:賞金300万L、『スキル書:〇王』
3位:賞金100万L、『スキル書:戦闘系』
4位〜最下位:賞金20万L
『魔法部門』
1位:賞金1,000万L、『スキル書:マナ効率化』、特別賞、『称号:武術大会魔法部門優勝者』
2位:賞金300万L、『魔導書:上級魔法』
3位:賞金100万L、『スキル書:属性魔法』
4位〜最下位:賞金20万L
『総合部門』
1位:賞金5,000万L、『スキル書:魔〇術』、『神器:グラジオラス』、特別賞、特別ギルドホーム、『称号:武術大会総合部門優勝者』、『称号:第1回イベント最強プレイヤー』
2位:賞金2,000万L、『スキル書:魔〇術』、ギルドホーム
3位:賞金1,000万L、ギルドホーム
4位〜最下位:賞金50万L
参加方法
・プレイヤーレベル30以上
・『王都ロークス』の『冒険者ギルド』にて参加申請が出せます。
※1人につき最大3部門まで出場出来ます。
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「来たぁ!!」
俺は今、宿屋の部屋のベッドの上に座っている。ソルとログインを待ち合わせていて、早めにログインしたのでリルと待っていたのだ。
そしてその時に告知が来た。
「ん......うぅ、来ましたか?」
俺の膝の上で寝ていたリルが起きた。ごめんね。
「いや、ソルはまだ来てない。だが告知が来たぞ」
「こくち? ですか?」
「あぁ。なんでも武術大会が開かれるとの事でな、とりあえず出れるやつ全部出るぞ」
「そう、ですか」
あらあらリルさん、まだ寝ぼけてらっしゃる。
フワフワの狼耳と尻尾がふよふよと揺れている。
ソルが来るまで、リルのブラッシングでもするか。
「ほれ、ブラッシングするぞ〜」
「はい〜」
俺が取り出したのは櫛とブラシだ。......どちらも聖具だが。
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『聖具:サラサラになるブラシ』Rare:15 製作者:ルナ
付与効果『非戦闘時DEX補正:大』『破魔』
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『聖具:ツヤツヤになる櫛』Rare:15 製作者:ルナ
付与効果『非戦闘時DEX補正:大』『破魔』
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これらは2週間のうちに休憩がてらの遊びで生まれた品だ。それとなんと『破魔』効果はデバフを解除できるとの事だ。デバフ自体、そんなにかからないから効果は実感出来ていない。
「あぁ〜最高です〜」
「そうでしょうそうでしょう!」
ブラッシングがDEXに依存していることを知って、更におふざけで作った指輪を付けている。
今、ブラッシング中なら余裕でDEXは1万に届いてるはずだ。
そんな効果をもたらす指輪はこれだ。
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『聖具:技巧の指輪』Rare:16 製作者:ルナ
付与効果『非戦闘時DEX補正:大』『生産系スキル補正:大』『重複』
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この指輪1つでは1万は行かない。ならどうやってそれだけ上げているのか? 答えは単純。『沢山付けてる』からだ。
ここでポイントになるのが『重複』効果。こいつはなんと、全く同じ名前、性能の物なら効果を重ね、個数を1つにできるトンデモ効果だった。
だって、もう少し低い性能の指輪を作って、それを100個重複させたら? もうゲームバランスがぶっ壊れる性能よ。
そして俺は今この指輪に、8個ほど重複させている。作りすぎた分を重複させたのだ。
「次は櫛でツヤッツヤにするぞ〜」
「は〜い〜」
『ツヤツヤになる櫛』......マジでツヤツヤになるんだよな。試しに1回、自分に使った時は驚いた。
テレビに出てるモデルさながらの髪の艶だった。
「よ〜し出来たぞ〜」
「わ〜ありがとうございます〜」
あぁ......この指輪が戦闘中に使えたら......そう思ってしまう。
そしてリルの髪の毛や獣耳、尻尾は最高の仕上がりだ。モッフモフのツヤッツヤさらにサラッサラだ。永遠に触ってられるレベルだ。
ブラッシングが終わり、リルをモフっているとソルが来た。
「おはよう! ルナ君、リルちゃん」
「おはようソル。告知は見たか?」
「おはようございます、母様」
「告知?......あ、今来た」
ソルが読み終わる大体2秒前くらいに話しかける。
「とりあえず出れそうなの全部出るわ」
「本当に!? 具体的にどれくらいの数なの?」
え〜っと確か、
「剣術、弓術、闘術、刀術、魔法、総合の6部門だな」
この中で自信が無いのは闘術と刀術、魔法だな。あ、あと弓術も。......ほぼ全部じゃん......
「そんなに出て大丈夫なの? 総合部門の時に武器が壊れちゃったりしない?」
「あっ......いくらメンテナンス出来るようになったとはいえ、流石にやばいよな」
「そうですね。ステラやミルトルティンと同等の武器があれば父様は優勝できるでしょう」
リルよ。平気な顔してなんてことを言ってくれる......
「それは厳しいな。真鍮が切れた今、装飾に拘ることが出来ないのは単純な性能低下に繋がるからさ」
あ、そういえばソルには真鍮の簪を贈りました。付けた時、似合いすぎてて直視出来なかったです。はい。
「真鍮、真鍮ねぇ?......あっ!」
「ん? どうした?」
「ルナ君! 忘れてるよ! ここに来た当初の目的!」
「目的?......あっ」
忘れていた。そうだ、真鍮を入手する為にここに来たんじゃないか。色々あったり生産が楽しすぎてすっかり抜けていた。
「よし、冒険者にジョブチェンジだな。これから鉱山に向かうか」
「うんうん! そうしよう!」
「そういえば最初に道具を買われていましたね」
「そうだな。めちゃくちゃ便利な道具達だな。......最初に生産に使ったけど」
いや〜、ね? 試しに『極細ハンマー』とかできると信じて、イメージしながら魔力を流せば本当に出来てしまったんだ。それが分かれば後は、変形させまくって生産しまくったんだよ。
その結果、1番大事なことを忘れていた訳だ。
「とりあえず、武術大会までの準備期間で、ステラと同等の武器を作ろうか」
「「うん! / はい!」」
そうして俺達は宿を出て、噴水前まで来た。
ここには鉱山行きの馬車が停る、と掲示板に書いてあった、とソルが言っていた。
「お、あの馬車か。そういや馬車って初めて乗るわ、俺」
「私も初めてだね」
「私もです」
まぁ、理由は分かるよ。ソルとリルに関しては『走った方が早い』もんな。指輪の解放と、ステータスの解放で馬車の倍は早く走れる。
............なんか2人だけ封印されてるみたいでカッコイイな。俺は......ないわ。
「らっしゃい! ドゥルム鉱山行きだが乗るか?」
「はい。3人でお願いします」
「よし、なら300Lだ。10分後に出発するぞ。あと、他の客と揉めないでくれな」
「はい!」
馬車の御者台に乗ってたおじさんにお金を渡し、馬車に乗る。
「これ、相乗りなんだね」
「みたいだな。同乗者がいるなら、マナーのある人である事を祈る」
「そうですね。気になったら私が消し飛ばしましょう」
「「ダメだよ!」」
何故速攻で消し飛ばす思考まで行ってんのリルさん!
面倒くさいのは分かるけど、それは飛ばしすぎだ......
「ふふっ、昔のルナ君に似てきてるね!」
「え〜? 昔の俺、こんな感じだったか?」
「そうだよ、興味の無いことはすっごく面倒くさがって、『とりあえず終わらせる』考えをしてたよ?」
「うっそ〜ん。覚えてないなぁ」
昔の俺、そんな考えだったか?
そう思い、記憶を掘り返していると同乗者が来たようだ。
「あ、どうも。......ってルナ!?」
「あっ......マサキ?」
同乗者はまさかの友人だった。
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名前:ルナ Lv60→63
所持金: 515,840L→515,540L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士、冒険者 (E)
HP:690→720
MP:1,190→1,220<500>
STR:2,610→2,640(200SP)
INT: 610→640
VIT: 1,120→1,150(50SP)
DEX: 2,140→2,170(150SP)
AGI: 810→840(20SP)
LUC:305→320
CRT:43→44
残りSP:170→200
取得スキル
戦闘系
『剣王』Lv70→93
『王弓』Lv44→89
『闘術』Lv74→99
『刀術』Lv13→85
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『自然魔法』Lv1→10
生産系
『神匠:鍛冶』Lv59→100
『神匠:金細工』Lv67→100
『裁縫』Lv83→93
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv93→100
『木工』Lv1
『料理』Lv10→15
『錬金術』Lv1
その他
『テイム』Lv2
<>内アクセサリーの固定増加値
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一言、ルールはよく読みましょう。
あの、100話辺りで始めると思いますがユアストの裏話(本編に出ていない話)的なのを書こうかな、と思ってます。
今回のお話ですと、王都での生産風景や、簪プレゼントですね。...書いてみたいなぁ。
次回、『パーティ攻略 withマサキ』です!お楽しみに!
あと、メリークリスマスです。私はゲームして過ごします。
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