王都ロークス 4 魔法士ギルド、そして王都の案内
作者はクリスマスに特にすることはありません。
強いて言うならゲームパラダイスというくらいでしょうか。
俺達はアルカナさんに着いて行き、ギルド内のカウンターまで来た。
「アミー、今戻った。ここの2人のギルド登録をしてくれ」
「は〜い! 分かりました!」
アルカナさんに『アミー』と呼ばれたのはギルドの受付嬢だった。
金髪のショートヘアに碧眼の外見だ。身長は150cmくらいなのかな? 分からないや。
「こんにちは! 魔法士ギルドへようこそ! 私は『アミー』と申します! これからよろしくお願いします!」
「「よろしくお願いします」」
「ではギルドカードを作成するために、こちらの紙の必要事項に記入をお願いします!」
そう言われて差し出されたペンと紙を受け取る。
「ソル、そういえば俺、プレゼントの魔法受け取って無いわ」
「え? プレゼント? ......あっ! あれね。受け取って無かったんだね! それじゃあ何の属性にするか決めたの?」
なぜプレゼントの魔法の話をしたか、それに関しては渡された紙に書いてあるのだ。『現在使用できる魔法』という項目があり、あのプレゼントを思い出した。
にしても属性か......『火』『水』『風』『土』『氷』『雷』『聖』『闇』の8属性だよな。悩む。
有力候補なのは『風』と『闇』なんだよな。
『風属性魔法』ならきっと、空を飛べる魔法が作れるはずだし、なによりも『攻撃が見えない』はずだ。これなら移動手段にも、奇襲にもサポートにも使える。
次に『闇属性魔法』。こいつはデバフ特化との事だから、一対多の戦闘において、有利に立ち回るのにほぼ確実に必要だ。
具体的な効果は知らないが、五感に作用出来るなら戦闘にはほぼ必須クラスの魔法になるだろう。
どっちを取るか......
「あ、習得に難しそうな奴を取ればいいんじゃないか」
「あぁ、確かにそれがいいかもね。魔導書は『理解して読む』ことが出来てなかったら覚えられないもんね」
アルカナさんはさっき言っていた。
『魔導書は、理解して読むことで魔法を覚えることができる書物の事だな。ギルドに保管してある魔導書は安全な物だが、他の魔導書には稀に、モンスターが封印されていたり、読んだ者を呪う類の物がある。気をつけるのだぞ?』
てね。この人、実はかなり細かく教えてくれていたんだな。きっと。
「じゃあ『自然魔法』のみ、と」
「そういえば『自然魔法』って何が出来るの?」
「さぁ? 木魔法の時点で2つしか魔法を使ってなかったからな。全く分からない。アルカナさんに聞くか、自分で試行錯誤しながらやるしかないな」
『木魔法』を習得した時は頭にイメージが流れたが、『自然魔法』ではそれが無かった。
これは、『自分で頑張ってね^^』っていう運営からのメッセージか!?
そうして必要事項への記入が終わった。
「はい、ソルさんは『聖属性魔法』、ルナさんは『自然魔法』ですね! それでは少々お待ちください、直ぐにカードを作りますので!」
そう言われたので待つことにする。
「ルナよ、お主は『自然魔法』について、どれほど知りたいと思っておる?」
「え? う〜ん、そうですねぇ。戦闘に役立つ程度には知っておきたいですね。もし、これから幻獣レベルの敵と戦うことになるなら、その時に役立てたいですから」
「そうか! 良かった。あの魔法はメリットも大きいだろうが、デメリットも相応に大きいはずだ。戦闘には使えるだろうから、これから頑張るといい」
「はい!」
なぜ『良かった』と言っているんだろう。良いということは『悪い』時もあるという事だよな?それってどんな事なんだろうか。
あれか? 著しくゲームバランスを壊すような魔法を作ってみたい、とかかな?
怖いな。自分で考えててこれはかなり怖い。
「はい、ギルドカードが出来ました。確認してください!」
アミーさんに渡されたカードには、名前と使用可能魔法が書かれていた。
「はい、大丈夫だと思います」
「私も」
「ありがとうございます。では、アルカナさん、これからどう致しますか?」
「う〜ん、そうだな。特に何も考えていなかったな」
うっそやろこの人。マジで言ってんの?
「あ、それなら王都の案内とかどうです? ソルさん達、まだ王都に来てからそれ程時間は経ってないのでは?」
確かに。もう夕方なのだが、宿も何も取ってない。このままだと野宿コースかな?
「そうか! それもそうだな。ルナ、ソル、リルよ、それでいいか?」
「「「はい!」」」
「よし、ならこれから案内しよう。まず宿屋から行くぞ!」
「行ってらっしゃい!」
アミーさんがそう言うと、アルカナさんは魔法陣を出した。
「ちょちょちょ! 案内するなら歩いて行くべきでしょう!?」
「ん? あぁ、確かにそうだな。いや〜すまんすまん、今まで転移で移動してたからな、忘れていた」
今更だけど、転移ってそんな簡単に出来ることなのか? MP消費とかヤバそう......
「じゃあ歩いていくか。アミー、留守を頼むぞ」
「はい! お任せ下さい!」
そうして改めて王都案内が始められた。
まず、案内される前に王都の地図を貰ったのだが、『へ〜』ってなるような感じの、イメージ通りな感じの造りだった。
王都の中心に王城があり、王城を守るように街が出来ている。そして街の外側には巨大な防壁がある、そんなイメージ通りだった。
「ここが宿屋だ。安い上に評判もいい。それに2人部屋もあるぞ。私は使ったことがないがな」
「使ったこと無いんですか......」
「そりゃあ家を持ってるからな。私クラスになると、王から豪邸を貰えるぞ」
「「豪邸?」」
「お? 気になるか? はははっ、それならお前達が武術大会で優勝すれば分かるぞ。今期は多分、語り人と私達で分けられるだろうが、どちらでも報酬はそこまで変わらないだろう。その時に家くらいなら貰えるぞ」
おぉ〜! 殊更武術大会に出たくなった! 早く開催されないかな?
それから宿を取り、また案内が再開された。
次に案内されたのは生産所だ。
「ここが語り人用の生産所だな。イニティより充実してるはずだ。ディクトには及ばないだろうがな」
「ディクト?」
知らない言葉が出てきた。イニティの後に言うって事は地名かな?
「あぁ、ディクトはここから北西に行った所にある街だ。エルフやドワーフが多い街だな。この国で1番多いはずだ」
「そうなんですか。いつかは行ってみたいですね〜」
「だね! そういやルナ君、ここで剣の強化をするの?」
「ん? 剣? ......あぁ、アイアンソードか。そうだな、鉱山で鉱石を採れたらしたいな」
「なんだ、お前達はドゥルム鉱山に行くのか」
「はい。最初の予定じゃ、ドゥルム鉱山に行くために王都に来ましたから」
「そうかそうか! なら道具屋へ案内しよう」
「お願いします」
「あぁ! 任せろ!」
俺達、武術大会優勝者、詰まるところこの世界最強の人を案内人にしてるんだよな。良いのかな?
......よし、ここであの思考を使おう。『ゲームだから......』思考だ。ゲームなら例え王様だろうが盗賊だろうがプレイヤーを案内するからな。
そして歩く事10分、道具屋に着いた。
「ここだな。今のうちに道具を買っておくといい。これから語り人も多くなるだろうし、早めに買っておいて損は無いぞ」
「分かりました。では買っておきます」
アルカナさん、語り人が嫌いって言ってたなぁ。
過去に何があったんだろう。......過去って事は運営陣が何かやらかしたのかな?
「いらっしゃい。何をお求めで?」
「ドゥルム鉱山で使える道具を一式ください」
「あいよ。ほら、これなんてどうだい?」
道具屋のおっちゃんが出したのは1つの杖だ。
「これは?」
「こいつは魔力で変形する杖さ。ほら、こうやって魔力を流せば......ハンマーになるし、こうすればツルハシにもなる。どうだ?」
す、凄くファンタジー感のある道具だ! 良いな!
「お幾らですか?」
「本来15万Lのところ、なんと10万Lだ。あんた達は語り人で最初の客だからな、サービスだ」
あっるぇぇ? マサキ達、来てないのか? ってかあの攻略組で誰も来てないってことだよな!? どゆこと? 後でメールしとこうかな?
「では、3つください」
「あいよ! 30万Lだ」
俺がおっちゃんに金を出そうとするとソルが──
「ルナ君、私も出すからね」
「はいはい。じゃあ10万出してくれ」
「え? 15万じゃないの?」
「ん? あぁ、リルの分だからな。俺が出した方がいいだろ?」
「だめ。私も出すよ! だって、一応親子だよ?」
ぐっ......そういえば......そうでした。
はぁ......これから色んなプレイヤーの前で親子親子言われたら、マジで定着しそうだな。
いや、ヒポポタマ巣のせいで『銀髪パパさん』って言われてるんだっけ? もう手遅れじゃん。
「......分かった。15万ずつな」
「うん!」
「毎度あり! また必要になったら来てくれよ?」
「もちろんです。では、ありがとうございました!」
「おう! 幸せにな〜」
あ、あっぶねぇ! 転けかけたわ! なんて事言うんだおっちゃん!
そして道具屋から出ると、もう日が暮れそうだった。
「案内はこれくらいでいいか?」
「はい。ありがとうございました。後は自分達の足で行ってみます」
「それがいい。今までにない出会いがあるかもしれんしな」
「私も、ありがとうございました!」
「あぁ、ソルもリルもまた会おう。それじゃ、これからはギルド公認魔法士として、冒険者として頑張るといい」
「「はい!」」
そうしてアルカナさんは転移で帰っていった。
「いいなぁ。俺も転移が使えるようになりたいな。絶対に便利だろ」
「そうだね! でも、転移となると消費MPが多いんじゃないかな?」
「だよなぁ。俺もそれは思ってた」
きっと、アルカナさんみたいにポンポン転移するのはプレイヤーには無理だろうな...
いや、神器を使えばワンチャンスあるのでは?
「ま、とりあえず宿屋に戻るか。明日から頑張らないと」
「明日からって、今日も沢山頑張ったよね? カレンさんと戦って、フォレストウルフとも1人で戦って......これまでも生産続きだし、少しは休もう?」
「そうですよ。父様は働きすぎです。少しは私と遊ぶべきです」
あぁ......確かにそうだな。このままやってゲームを楽しめなくなったら嫌だし、メリハリをつけるか。ってかリルはただ遊びたいだけでしょう?
「そうだな。明日は王都観光でもするか」
「うん!」
「はい!」
こうして陽菜と付き合い始めた日は終わった。
宿屋でログアウトして思った。
「俺、今日頑張りすぎじゃね?」
と......
明日は日曜日、公式生放送もあるのかな?
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名前:ルナ Lv60
所持金: 665,840L→515,840L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E)
HP:690
MP:1,190<500>
STR:2,610(200SP)
INT: 610
VIT: 1,120(50SP)
DEX: 2,140(150SP)
AGI: 810(20SP)
LUC:305
CRT:43
残りSP:170
取得スキル
戦闘系
『剣王』Lv70
『王弓』Lv44
『闘術』Lv74
『刀術』Lv13
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『自然魔法』Lv1
生産系
『神匠鍛冶』Lv59
『神匠:金細工』Lv67
『裁縫』Lv83
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv93
『木工』Lv1
『料理』Lv10
『錬金術』Lv1
その他
『テイム』Lv2
<>内アクセサリーの固定増加値
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次回からスピーディーに行きたいですね。多分無理ですけど。
とりあえず告知をば
第3章〜完〜
です。次回から第4章をスタートします。楽しんでくださると幸いです。
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