王都ロークス 1 無くし物?
ちょっと迷走したいでs...
「「着いた〜!」」
アルトム森林のボスエリアを進み、森を抜けると平原が広がっており、その先に街の外壁が立っていた。
「うん、まだ着いてないな。どこだ? この平原」
「分からないね。街の人に聞いて回るしかないね」
「私にも分かりません。このような平原は沢山あるので名前は知りません」
へぇ〜こういう平原っていっぱいあるのか。
「そうか。まぁ、とりあえず王都に入ろうか」
「「うん!/はい!」」
いや〜、当然だけど『森を抜けたら即王都』なんて事はあるわけないよな。
そして王都の入口の門で―
「通行料として100Lを支払って下さい」
お〜、通行料がいるのか。なんか、『都市』って感じがするな。とりあえず3人分出すか。
「はい、300Lです」
「ルナ君? 私も払うよ?」
「いいよ。フォレストウルフ戦では戦わずに見学してもらったし、日頃からお世話になってるんただ。これくらい払わせてくれ」
リアルじゃお金を出すという行為に危機感を感じるが、ゲーム内なら危機感はそれほど無い。
モンスターを倒し、その素材を売るという、お金を確実に稼ぐ手段があるからだろうか。
「むぅ......分かった。でも次からは私も出すからね?」
「えー「いい?」......はい、分かりました」
ソルがそこまで言うならしょうがない。
「はい、確かに300Lです。それでは王都をお楽しみ下さい!」
「「「おぉ〜!」」」
門を抜けると地面には1本の大きな道が伸び、その先には噴水があった。
そしてその噴水の更に奥に、白くて立派な城が見える。
大きな道の両サイドには屋台がたくさん出ていた。
――今日は良い馬肉があるよ!
――この採れたての魚は美味いよ!見てくれ!
――鉱山前までの馬車を出すぞ!乗るなら今だぞ!
そんな声が聞こえる。
「活発な街だな」
「だね! 後で屋台も見て回ろうよ!」
「そうだな。まずは冒険者ギルドに行くか?」
「そうだね、依頼がどんなのあるか分からないとこれから大変だもんね」
お〜、ソルは堅実だな。俺はどうやってギルドで友達を作ろうか考えていたぞ。
「......そうだな。じゃあ行くか!」
「ルナ君? 今何考えてたの?」
ビックリした。思考が気付かれてたのかな。まぁ、別にやましい事じゃないから正直に言いますよ。
「友達作ろうと思ってた」
「男の人? 女の人? どっち?」
なんやえらい剣幕やな。少し怖いぞ。
「それは分からないな。ギルドで出会う人次第だ」
「......そっか。出来れば女の人はやめてね?」
「どうして? 俺の数少ない友達になれそうな人が......」
「だって! 私以外の人を見て欲しくないもん!」
おぅ......めちゃくちゃ可愛いな。っていうか、俺が他に好きな人ができるとでも思っているのだろうか。
「それは嬉しい事を言ってくれるな。それとな、真に俺の事を見てくれる人はソルしかいないし、他の誰かが俺の事を見ても、俺はそいつを好きになる事はないぞ?」
「ど、どうして? 『もしかしたら』があるでしょ?」
「無いな。絶対に無い。俺の心を数値化して、100あるとしよう。ソルの考えなら、俺がソルに対しての向けている数値は、大体80くらいか? そう思っているのなら、それは間違いだ。大間違いだ」
俺はどんな事にも没頭して―100を向けて―しまう人間だからな。
戦闘にも、生産にも、ソルにもな。
「いいか? さっきも言ったが俺の心を100とすると、俺がソルに向けている心は100だ。80でも99でもない。100だ。他の誰かに向ける、余りが出ないんだよ」
「ほ、ホントにホント?」
「ここで嘘をつく意味が無い。ソルには正直に言ってるぞ」
裏を返せばソル以外には嘘をついている。
......マサキ、今度全部話すからな......すまん。
「分かった。ルナ君を信じるよ」
「そうか。俺は昔からソルを信じてるぞ」
かぁ! こういう台詞は言うもんじゃないな! まともにソルの方を見れん!
それから3人で冒険者ギルドを目指して歩いた。
「おぉ、あれか」
「綺麗だね!」
「中はどうなんでしょうね?」
冒険者ギルドの外見は、白と灰色を組み合わせられた、かなり大きな建物だった。扉がなく、そのまま入れる造りになっている。
「ここから見た感じ、中もめちゃくちゃ綺麗だな」
「そうだね! 早く入ろ?」
「「は〜い」」
そうして冒険者ギルドに入るとウィンドウが出てきた。
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『冒険者ギルド:王都本部』
ここでは他の冒険者ギルド同様、依頼の受注や冒険者同士の交流ができます。
『他の冒険者ギルドとの違い』
・雑貨屋もギルド内にあるので、ここで買い物もできます。
・様々な情報を買うことが出来ます。
・イベントの参加申請が出せます。
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「おや? ......なるほど」
「ギルド内で買い物出来るのはいいね! 忘れ物をした時にいちいちお店まで行かなくていいのは便利だよ!」
「そうだな。俺達、基本的に必要な物とか要らないから買う必要もない気がするけどなぁ......」
「あぁ〜......確かにそうかも」
雑貨屋、使われない可能性大!
「いや、使うかも」
「え? どうして?」
「ポーション作る時に必要な瓶は、今のところ雑貨屋でしか見たことないんだ。だから買いに来ると思う」
あの瓶、作り方も知らないしな。流石にガラスの作り方は教えてもらってないし、買った方が早いだろう。
「そう言えばそうだったね。いっぱい作ったのに忘れてた」
うっかりさんだなぁ。ポーション問題は結構大きいからな。今度、沢山買いに来ることになるだろうな〜
そうしてウィンドウの確認を終え、カウンターに向かう。
「こんにちは! 冒険者ギルド王都本部へようこそ! 本日はどのようなご用件ですか?」
友達をつく......じゃなかった。
「イニティから来たんですけど、どんな依頼があるのか調べに来ました」
危ない危ない。『友達を作りに来ました。ここにはどんな人がいますか?』とかアホなこと言いかけた。
そんなこと言ってたらソルにぶん殴られるかもしれない。
「依頼の確認ですね。ではギルドカードを出してください」
ん? ギルドカード? ......インベントリに無いんですけど......
ソルに小声で言う。
「ソル、ギルドカードの出し方って知ってる? インベントリに無いんだけど......」
「え? ......私はあるよ? ......ほら、これ」
そう言ってソルが出したのはギルドカードだ。
名前とランクが書かれているな。
......俺、このカードを見た記憶が無い......
「分からないな。とりあえず直接聞いてみる」
無いもんは無いんだから仕方ない。初期の頃の俺はどこに仕舞ったんだ? ......ってか俺、レイナさんからギルドカードを受け取ったか?
「すみません。ギルドカードが見つかりません。インベントリ以外に収納されたりしますか?」
「え? ギルドカードはインベントリに特別品として収納されるので直ぐに分かると思うのですが......」
え? 特別品? なんそれ? 俺のインベントリに特別品なんて無いぞ?
「......無いですね。ステータスを見せるのでそれではダメですか?」
「え〜っと......それでは身分の証明としては不十分でして......」
やばいじゃん、俺。身分不明の怪しい奴認定された?
「あ、あの〜一応ギルドマスターの面談を受けてもらっていいですか? イニティのギルドと確認を取って頂いて、問題なさそうなら再発行ということになるのですが......」
まぁ、しゃーないよな。ここで断ったら、それこそヤバい奴として見られるかもしれん。
「分かりました。面談させてください」
「はい。では着いてきてください」
そう言われて俺達はギルドの奥に連れていかれた。
あれ?ギルドカード受け取ってなかった?って思った方は第5話をチェックです!イベントカットをしたルナ君が見れると思いますよ!
次回、『王都ロークス 2 新たな友達』です!よろしくお願いします!
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