ステルスミッション!王都解放を見届けよ!
プロット内で迷走しまくる作者。これで目標が年内100話ってマジですか?
金曜日の学校も終わり、家に帰ってユアストにログインする。
「リル〜」
「はい、父様!」
名前を呼ぶと俺の体から光が飛び出て、リルが出てきた。
「今日の生産は一旦休憩だ。この後にアルトム森林の攻略が行われるらしくてな、覗かないか?」
「それは、ボス討伐を見学するということですか?」
「まぁ、そうとも言えるが1つ、普通と違う点がある。それは『誰にも見つからない』事だ」
ふっふっふ。誰にも見つからずにボスの情報を得て、攻略組がピンチになりそうなら助けてあげたいのだ。......助けられるか分からないが。
そこでリルが言う
「う〜ん? どうして見つからないようにして行くんですか?」
くっ! その首を傾げるの可愛いすぎだろ! 反則だ! お兄さん全部教えちゃう!
「それはな、リル。もしかしたら『隠密』みたいなスキルがあったりしたら開発出来るかも知れないだろ? それに、ボスの情報が欲しいからな。生産も、後は聖剣を作るだけ......ってところだからな。先の情報が欲しいんだ」
他にも、プレイヤーを見続けたら『鑑定』とかあるかもしれないからな。あったら習得したいなぁ。
「なるほど、得心しました。今回の見学は一石二鳥という訳ですね」
「そそ、そゆことです。後な、気になる語り人が居てな、そいつの戦闘を見たいんだ」
今日犬子もいるはずだ。正樹が言ってたからな。あの人の戦闘を見てみたい。どんな武器を使うのか、どんな動きで戦うのか、どんな戦略を持っているのか、知りたいのだ。
「そうなのですか。でも、どうやって見つからずに見学するんですか?」
「よく聞いてくれた! それはな、こいつを使う。リルの分もあるからな!」
俺はそう言って2つの指輪を出す。
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『アンジェリカの指輪』Rare:18 製作者:ルナ
付与効果『生命力増強:300』『魔力増強:500』
『魔法防御:80%』『気配隠蔽補正:特大』
『魔法反射30%』『AGI補正:大』
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『真・ギュゲースの指輪』Rare:17 製作者:ルナ
付与効果『魔力増強:500』『STR補正:中』『DEX補正:中』『INT補正:中』『AGI補正:中』『気配隠蔽補正:特大』
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「こいつらはそれぞれ、『気配隠蔽補正:特大』が付いてる。これを付けとけばバレることはないだろう」
「また......これは魔具以上、神器未満のアクセサリー達ですね......」
「そうなのか? 神器はあの指輪しか知らないからな。一般的に知られる神器の性能が見たいものだ」
「父様? 神器は一般的に知られていませんよ! それに神器というのは、それこそ幻獣やエルフなどの長命の種族、後は国の上層部くらいしか知りませんよ?」
「え? って事はフェルさんって上層部? ......ってあぁ、前に『王都1番の鍛冶師』って言ってたな」
「そういう事です」
納得しましたよ。はい。
「っとまぁ、神器云々はここまでにして、この指輪達を付けて覗きに行くぞ!」
「わかりました。母様はどうするのですか?」
「ソルは行かないって言ってたからな、今回は2人で潜入だ」
実は学校で聞いておいた。『ちょっとやりたいことがあるから一緒に行けない、ごめんね?』って言っていた。
『やりたいこと』ってなんだろう? 俺が手伝えることなら手伝いたいものだ。
「分かりました! 狩りと買い物以外で父様と2人きりで出かけるのは初めてですね!」
確かに、そういえばそうだな。
「だな。楽しんで潜入しよう。......あ、もし見つかっても問題ないぞ。そのまま見学するだけだから」
「はい!」
そして潜入ミッションが始まった。
「よし、森林だな。指輪付けてくぞ。俺とリルはテイム関係にあるから気配隠蔽は効かないから、それを頼りに見失わないでくれ」
「分かりました。ところで、見学対象の語り人の方達はどちらなのでしょう?」
あっ
「知らないや......てへ」
「もう! なんでですか! この森、かなり広いんですから、虱潰しに探すのは無理ですよ!」
「うーん。やってしもうたなぁ」
そういや、マップとフレンド機能を使って、マサキだけなら見つけられるんじゃないかな?
「もしかしたらマサキを見つけられるかもしれない」
「そう......ですか? なら、それを試しましょう。もしダメでしたら、指輪を使って全力疾走でボスの所まで走りましょう」
「だな」
リルには『アンジェリカの指輪』渡してるから、AGIの値がとんでもない事になってるんだよなぁ。
......近いうちに『テイムモンスターにアクセサリー装備不可』とか修正されたら俺、泣くぞ。
そう思いながらマップを開き、詳細項目でフレンドを探す。するとマサキが見つかった。
「あ、出た。見つけたぞ、マサキ」
「それは良かったです。早速向かいますか?」
「もちろん。80mくらいの距離を維持して見学しようか」
「はい! 行きましょう!」
マサキとの距離はあんまり遠く無かったので、リルと手を繋いで歩いて行きました。...えぇ、ピクニック気分ですよ。
「お、いたいた」
アルトム森林に入ってから2キロほど歩いた所に、マサキのいる攻略組がいた。
「人数は......13人ですか? 多いですね」
「ホントになぁ。ってかメンバー面白いな」
マサキ達は多分、4パーティで攻略に行くみたいだが、そのメンツに見覚えがある。
まず、マサキ達のパーティ。剣士、戦士、弓術士、魔法士のバランスのいいパーティだな。
次に、『クロノス』君のパーティだ。正直に言って、クロノス君くらいしか知らない。
え〜っと、クロノス君が剣士で......っていうかマサキのパーティと同じようなパーティだな。バランスタイプだ。
そして3組目は、クロノス君と出会った時の、もう片方のパーティだな。
こっちは全員女の子で、全員弓術士か? 後方支援に徹する感じかな?
そして最後は1人、『今日犬子』君だ。
彼、1人なのか。1人で戦えるほどに強いのか、単に仲間がいないのか分からないな。道中に戦闘が起きる事を祈ろう。
「バランスが良いようで悪いパーティだなぁ」
「ですね。森での戦闘なんですから、斥候役の人がいないのはあまり、よくありませんね。私が過去に行ったことがある森林ですと、モンスターが罠をはりますから、このパーティですと全員死にますね」
何その森林、こっわ!
「ま、ちょこちょこと見させてもらおう」
そして13人は少し話した後に歩き出した。方向は丁度、ボスの居そうな開けた場所へ向かってた。
「お、戦闘だな。犬子君は出るかな?」
道中で戦闘が起きた。相手はオークだな。この人らのレベルを知らんが、オークはそこそこめんどくさい。
「犬子君キター!」
犬子君が前に出てくれた。よしよし、君の獲物は何かな?剣?拳?弓?刀?それとも、鋼糸?
「あ、『魔剣術』か。なんだ」
火属性魔法の魔剣術だった。彼の持っている剣が炎を纏っている。
......何気に初めて見るな、『魔剣術』は。
そして犬子君はオークに一気に距離を詰め、オークの腕を切った。
「浅いな。火でダメージを上げてもアレでは足りない」
「ですね。精度はそこそこですが、威力が足りません。油断させるために敢えて力を抑えてる雰囲気でも無いですし、多分あれは全力でしょう」
すっごい拍子抜けな感じだった。
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「マサキ君!助けてくれ!僕では力が足りない!」
「任せろ!」
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「あ、やっぱり。マサキ達大丈夫かな? オークを一撃で殺れなかったら、ボスはキツくないか? ......ボスがなんなのか知らんけど」
「......まぁ、彼らは人数は居ますから。力でダメでも連携さえ取れれば大丈夫でしょう」
それもそうだ。
俺は普段、1〜3人でしか動かないし、みんなバラけるから戦闘は確実に1人なんだよな。最近は誰かと共闘することが無い。だから連絡が分かんないや。
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「犬子! オークの足切るぞ!」
「あぁ!」
ザンッ! ザンッ!
ザンッ! ザンッ!
「よし! 真白達! 後は頼むぞ!」
「「「「はい!」」」」
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「連携は取れてそうだな。でも2撃で足1本か......足りなくね?」
「ですね。でもまぁ、彼達も理解していることでしょう。だからこその『魔剣術』や『魔弓術』なんでしょう」
『魔弓術』? っと思ってたら、『真白』と呼ばれていたプレイヤー達は、赤や青、緑や黄色と言った、色とりどりの矢を放ってた。
「あれが『魔弓術』か。綺麗だな。習得したらソルに見せてあげたいな」
「そうですね!」
セクスタプルショットの1本ずつに別属性の魔法を使えたら、めちゃくちゃ綺麗になるんじゃないかな? ......出来るのか知らんけど。
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「お疲れ様! やっぱりオークは面倒くさいね!」
「「「「お疲れ様です!」」」」
「お疲れ様〜次はガーディ達も出てくれよ? 前線2人はきちぃ」
「分かってるよ。今回は犬子さんが前に出たんだからいいだろ?」
「良くない! いくら犬子でも2人はきついの!」
『ははは!』
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「なんかアイツら楽しそうだな」
「そうですね。かなり仲が良さそうです。良い信頼関係は良いチームワークを作る、とは言ったものですね」
その言葉はどこで覚えたんだ? リル。
それからも見学は続き、エリアボスのいる場所まで来た。
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「じゃあ作戦立てるか! 犬子は案ある?」
「うーん、ないかな? だってボスについて何も分からないんでしょ?」
『ですね〜』
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え? こいつらモンスターリスト見てないのか?
「なぁリル、なんでこいつらボスの情報知らないんだ?」
「私には分かりません。ですが予想はできます。彼らは語り人です、語り人は独自の情報共有が出来るんでしたよね?ですからそこで情報を集めるのに集中して、現地人に何も聞かなかったんじゃないですか?」
「なるほどな。単純に情報収集能力が無かっただけか」
「はい」
......なんで現地人に聞かなかったんだ......ギルドならレイナさんとか、スパーダさんという、モンスターのスペシャリストがいるのに......
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「じゃあガーディ達が前に出て受け止めて、その隙に後衛部隊と俺達魔剣士組が出るって感じでいいか?」
『はーい!』
『おう/うん!』
「よし、ならどんなモンスターが出てもいいように構えとこう。驚いて転んだらダメだぞ?」
「ははは! マサキ君、それは流石に無いでしょ〜」
「ま、それもそうだな。じゃあ、始めるか! 王都解放は目前だ!」
『おー!!!』
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「始まるみたいだな。影から見守ろう。もし全滅レベルでダメージ受けてたら俺が出るよ」
「分かりました。なら私は父様の横にいるとします」
「はいは〜い」
ちくしょう! リルはなんて可愛いやつなんだ!
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「「来るぞ!」」
『『『『グルルルル!』』』』
「「マジ?」」
「盾部隊行くぞ!」
『おー!』
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マサキと犬子君が呆然としてるな。
まぁ、気持ちは分からんでもない。目の前に体高1.8mくらいの狼が4匹も出てきたら、そりゃあ驚くだろう。
「リル、あいつら大丈夫だと思うか?」
「......微妙ですね。確実にわかるのは、力が足りない事でしょう。盾持ちの方が上手く注意を引き付けて、1匹ずつ倒すのが無難ですね」
まぁ、そうだよな。そのための盾持ちだろうし。
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「「「 ぐわぁぁ!!」」」
「大丈夫か!?」
「めっちゃ痛いっす! 逆になんでガーディさんは平気なんですか!」
「俺は......なんでだ?」
「おいガーディ前見ろ!」
『ガルル!』
「ふっ!」
「「えぇ〜」」
「なんだよお前ら!」
「いや、本当になんでそれ受け止められるんですか?」
「なんでって......あ! ルナさんから貰ったアクセサリーかも!」
『え?』
「確かに俺らは貰ってたな。とんでもない性能のやつ」
「そうだ! それの効果の『盾術補正』が馬鹿みたいに高いんだ! それで受け止められてるんだ!」
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「ははは! リル、見たか? アクセサリーが役に立っているってさ! 嬉しいな!」
「はい! あの性能なら納得ですね!」
確か、『盾術補正:大』と『VIT補正:大』、あとは『攻撃吸収:1%』だったかな?
「いや〜いいね! タルさんもこんな気持ちなのかな〜」
アクセサリー屋を開いてみるのも面白そうだ。
自分が作ったアクセサリーで喜んでくれるなら、こっちも嬉しい。
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「とりあえずガーディがヘイト買って! もう1人は補佐で! 俺と黒の巣と犬子で1匹持つから、あと3匹頼む!」
『おう!』
「真白ちゃん達、魔弓術の準備いい? 僕達が一体抑えるからまず、その1匹を仕留めるよ!」
『はい!』
「行くぞ黒の巣! まずは足切るぞ! 犬子はタイミングズラして!」
「「分かった!」」
「「オラァ!」」
ザンッ! ザンッ!
「行くよ!」
ザンッ!
ズババババババババ!!
『ガルゥ!』
「あと1回くらいで行けそうだな! 準備いいか?」
「「もちろん!」」
『はい!』
「黒の巣、次は目を突こう。ルナがフェンリル戦でやってた感じで行くぞ!」
「分かった!」
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「あ〜あ。マサキ達気づいてねぇ」
「ですね。これは父様の出番が来るのでは?」
「だな。剣と弓と魔法、どれがいいかな〜」
そう、マサキ達は気づいていない。『ガーディじゃない方』の盾持ちが倒されていることに。
「よし、拳でいこう」
魔剣は見せたくないし、他の剣は強化してから使いたい。弓は論外だ。耐久値がマッハで消えてく。そうすると後は魔法か拳な訳だが、俺の魔法は『属性系統外魔法』の『木魔法』だからな。見せたくない。
って事で、最後に残った拳君だな。
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「よし、1匹終わった!」
「「次!...え」」
『え!?』
「すまんそっち行った!」
『『『ガルルルルル!』』』
「ガーディ! なんで!? もう1人の盾持ちは!?」
「死んだ! 俺だけアクセサリーで耐えてるんだよ!これでも2分は持たせた!」
「マジか......犬子、黒の巣、やれるか?」
「僕はキツいなぁ......どうする? 逃げる?」
「俺も正直不安ですね。援軍とかいません?」
「黒の巣君、それは難しいね。ここに来れるのは森林を踏破しなきゃだから、そんな人は攻略組しかいないし、攻略組はこのメンツ以外は今日は無理でしょ?」
「そう......ですよね。じゃあ、逃げます? フレンドに負けたメールだけでも送ろうかな......」
「メールか......あ!」
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「マサキが気づきそうだな。行くぞ、リル」
「はい!」
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「お呼びですかな? マサキ君」
『え!?』
マサキ達に近づいてから指輪を外したので、急に現れたと思うだろう。『気配隠蔽』しゅごい。
「ちょっと待ってな。とりあえず犬を片付ける。あ、犬子君じゃないぞ?」
そう言ってから『フォレストウルフ』2体に拳を向ける。
「リル、片方いる?」
「大丈夫です。父様がやっつけちゃって下さい」
「あいよ〜」
リルのSTRには遠く及ばないが、『真・ギュゲースの指輪』のお陰でSTRが爆上がりだ。
「オ゛ラァ!」
ドゴォ!
『グルゥ......』
「よし、ワンパンだな。フェンリルとは比にならん弱さだ。じゃあ、次行くぞ?」
ドゴォ!
『ギャン!』
フォレストウルフがぶっ飛んで行ったが、耐えた。
「ありゃ? 倒せてないじゃん。ってことはさっきのは手負いか......マサキ達! 横取りしてごめんなさいパーンチ!」
必殺、『ごめんなさいパンチ(キック)』を2体目にぶつけた。
ドガァ!
『キックじゃん!』
『グルゥ......』
2体目のフォレストウルフもポリゴンになった。
「よし、リル。撤退するか見守るか、どうする?」
「残り一体だけですし、見守りましょう」
「分かった。って事でマサキ! クロノス君! 犬子君! 頑張れ! 乱入してごめんな?」
「「「あ、はい」」」
『ガルルルルル!』
「おすわり! 父様がお話し中です!」
『キャーン!』
「「「「え?」」」」
リルが『おすわり』と言った瞬間に、フォレストウルフがおすわりした。
フェンリルだから......だよな。よし、ありのままを受け入れよう。
「さ、父様、お話は済みましたか?」
「いや、まだだな。それで、3人はどうするんだ? ガーディ君は今回復中みたいだし、時間なら稼いでやろうか?」
「ルナ、お前が今稼いでるんだよ」
「ホントだ! ははは! マサキは上手いこと言うな! ......はぁ。で、どうするんだ? 前衛4人と後衛8人で一体殺れるだろ?」
ちょっと俺のテンションがおかしい。
「そ、そりゃあ、なぁ? 黒の巣、犬子」
「そ、そうだね。頑張ろうか」
「は、はい!」
「ん。じゃあ後衛の近くで見守ってるから頑張れ。リル、行くぞ。」
「はい、父様!」
俺達は手を繋いで後ろの方に行く。見学会だ。
「あ、フォレストウルフのおすわりは解かなくていいのか?」
「忘れてました! では解きますね! 『よし!』」
『ガルゥ!』
「「「おわぁ!」」」
「あ......まぁ、大丈夫だろう」
3人がフォレストウルフ体当たりを食らってたが、生きてることを祈ろう。
「やぁ、ガーディ君。アクセサリーが役に立ったようで良かったよ」
「ルナさん......マジでルナさんなんですね」
「俺以外にも銀髪のやつはいるからな、もしかしたら別人かもしれんぞ?」
「ははっ、もし別人なら、アクセサリーの事は知らないはずですよ。誰にも言ってませんでしたから」
「そうなのか。そりゃ1本取られたな。んで、大丈夫か?回復ポーションならやるぞ」
「いえ、黒の巣さんの所の『ヒポポタマ巣』さんが聖属性持ちなんで、大丈夫です」
あ? 『ヒポポタマ巣』だと?
「どいつだ?その名前のやつは。掲示板で俺の事を『銀髪パパさん』と呼んだやつだよな? 戦って教えてやりたいぞ。パパさんの強さを」
「はっはっはー! それならさっきので十分見たから必要ないのだー!」
なんか出てきた。茶髪にオレンジの目の女の子だ。
「君が『ヒポポタマ巣』か」
「そうだよ! ルナさんよろしくね?」
「はいはいよろしく。ってかあの時いたよな? 全然気配感じなかったんだけど」
「うっ......ルナさん、それは私の傷をえぐる...」
「あ......そうか。それはすまんな」
「なんですかその『あ...』は! 余計に傷つきますよ! 責任取ってください!」
「嫌だ。取るとしてもソルの責任しか取らんからな」
なんか自爆した気がするぞ〜
大丈夫かな? 俺。......うん、大丈夫じゃないな、俺。そろそろちゃんと考えてから発言しよう。
「えっ......ルナさんはソルさんとそんな関係なんですか!?」
「いや、違う。」
「そうですよ、タマ巣さん。リルちゃんがいる時点で察してください。もっと先の関係です」
あぁ......そういえばそんな事言ったんだっけ......なんか余計に話がややこしくなってきたな。暫くしたら真実を話さないとな。
「あの〜いいですか? そろそろ前衛がボスの足を切るんですけど......」
真っ白な髪の毛の子がこっち向かって言ってきた。
「おっと、すまんな。じゃあ俺とリルは近くにいるから、そっちは頑張れ。ガーディ君は早めに戻ってあげないとあいつら死ぬぞ」
「は、はいぃ! 直ぐに!」
そうしてガーディ君が前線に戻り、上手くヘイトを買って援護してる。
「ガーディ君上手いな〜」
「ですね。彼は戦士としてかなり有能ですね。」
さぁ、そろそろ後衛部隊の準備が整うかな?
すると、フォレストウルフの足を切ったタイミングでマサキが叫んだ。
「今だ!」
ズババババババ!!
「「お〜」」
近くで見るとかなり綺麗だな。魔法と魔法を纏った矢は本当に綺麗だ。
『ギャン! グルゥ...』
「「「「倒した!」」」」
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『アルトム森林』エリアボス『フォレストウルフ』がプレイヤー『マサキ』『ガーディ』『イリス』『ルヴィ』『黒の巣』『ヒポポタマ巣』『アルテミ巣』『真白』『茜』『蒼』『翠』『今日犬子』『ルナ』によって討伐されました。
エリアボス討伐により、『王都ロークス』が解放されました。
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「長いな。そして盾2人しかいないのはダメだな。っていうか『クロノス』じゃなくて『黒の巣』だったんだな。一気にカッコ悪く見える」
「父様の言う通りですね。女の子達が皆後衛なのはよろしくないです」
そうリルと話していたら犬子君が来た。
「初めまして、ルナさん。僕は今日犬子と言います。援軍、感謝します」
「ご丁寧にどうも。ルナです。横取りしてごめんなさい」
「そんな! 横取りだなんて思ってる人はいませんよ。黒の巣君達にレベリングのアドバイスをしたのでしょう? それを聞いて、時間をかけてレベリングをしなかった僕達が悪いです」
「そうですか。でも忠告通りにレベリングしたならレベル25はあるはずなんだがなぁ。それなら誰も死ななかっただろうに......」
そう話してたら問題の黒の巣君が来た。
「いや〜パーティ組んでたら経験値が分散するの忘れてまして、全員が緩やかに上がったんですよ。それで今、22レベなんです」
「あ〜!! なるほど。パーティ組んだら経験値は分散するんだな、知らなかった」
『え?』
なんか全員に振り向かれた。
「え?」
「ルナ、マジで知らなかったのか?」
「あぁ。パーティ組んでちゃんと戦闘したのって、マサキ達にレクチャーした時と、ソルと一緒に『弓術』取った時だけだからな」
「え? それじゃあリルちゃんとパーティ組んで戦わないんですか?」
ガーディ君、君の質問には完璧な回答はできない。そもそもリルはテイムモンスターだから分散しないんだろう。ここは上手いこと乗り切ろう。
「そうだな。戦闘に入る前にパーティは解散している。視界に名前が出るの、鬱陶しいだろ? だから戦闘前に解散してるんだよ」
『なるほど』
「じゃ、俺達帰るわ。今日は王都解放を見届けに来ただけだから。素材も置いてく、要らんからな」
そう言ってリザルトを確認せずにアイテムをぽいぽい出した。毛皮とか爪とかがあるな。
「じゃ〜な〜」
「ま、待ってください!」
「どうしたんだ? ヒポポポポポポタマ巣さん」
「『ポ』が多い! ってそうじゃなくて、本当にいいんですか? この素材達、売れば2万Lはすると思いますよ?」
あ〜なるほどね。お金の心配ね。
「要らないよ。金なら森林の狩りで数十万稼げるし、俺が作ったアクセサリーを売れば、1つ数万から数百万はするだろうしな。だからそっちで分けてくれ」
『え......』
アクセサリーの値段については知りません。適度に言いました。
......今度タルさんに聞いてみよう。適当な魔具を持ってこっと。
「じゃあ、みんなお疲れさん。頑張ってレベリングしろよ〜、王都の武術大会で戦おうな〜」
『は、はい』
「よしリル、全力ダッシュで帰ろう」
「分かりました!」
俺は『真・ギュゲースの指輪』を付ける。
リルは普通に力を入れるだけだな。
「じゃあ、『よーいドン』で行くぞ」
「はい!」
「よーい」
「ドン!」
ズバァァァァァァン!!
「おわぁぁあ!」
リルの風圧に思いっきりぶっ飛ばされた。
「し......死ぬ......」
フェンリル戦の体当たりより痛いっす。HPが12しかない。
嘘やろ?あれからレベルが上がってんのにこんだけ食らうとか、リルはどんなスピードで走ってんだよ。後ろの攻略組見てみろよ。顎外れてるぞ。
「......ふぅ。ポーションは美味くも不味くもない」
俺はポーションを飲み、そう呟いてから走った。
リルさん、フルパワーで走るとソニックブームが発生する模様。こっわ。
次回はステルスミッション(笑)から帰ってきて、土曜日の直前までいけたらいいですね!
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くだらないことやユアストのあれこれ(ネタバレ有)を呟いてます!




